阿部さんによるZ 7Ⅱ、Z 6Ⅱのインプレッション
ニコンのフィルム時代のカメラから現行デジタル一眼レフ、ミラーレス機まで歴代のカメラに精通し、メカニズム解説にも定評のある写真家・阿部秀之さんにZ 7Ⅱ、Z 6Ⅱをさっそく実写インプレッションしてもらった。さて、その進化はニコンの「本気度」をどれだけ感じさせてくれるのだろうか。
外観ってドコが変わってるの?
パッと見た感じではZ 7とZ 6との違いはまったくわからない。そしてZ 7とZ 6がそうであったようにZ 7ⅡとZ 6Ⅱもそっくりで、異なるのはZ 7ⅡとZ 6Ⅱというロゴだけのように思える。だが、ボディを舐め回すようにチェックするとトップカバーのNikonのロゴが記されている部分の形状変更を発見した。Z 7ⅡとZ 6Ⅱの方がロゴが立って正面からしっかり見える。
外観があまりにもそっくりなので最初は金型を流用かと思ったが、そうではないのがわかった。それにしてもこれほど外観を踏襲してくるのは、デザインに対する強い思い入れと自信を感じる。
実際の感触はどうよ?
グリップを握ってみる。わずかだが形状変更されて指掛かりがさらに良くなっているのがわかる。細かなことだが、コマンドダイヤルのローレットも変わった。刻みを粗くして指掛かりを向上させている。手袋をしていても回せる。もうひとつグリップの内側にはfnボタンが2個あるが、Z 7とZ 6より高さを出している。誤作動を防止しようという狙いから低めになっていたが、逆に押しにくさがあった。どれも良い改良点だ。
操作系も改良がある。Z 7とZ 6ではドライブモードの切り替えを前後2つのコマンドダイヤルとで設定していたが、7ⅡとZ 6Ⅱは1つのダイヤルで設定可能になっている。操作の簡略化は嬉しい。
デュアルスロットになりました!
グリップの手前側には、カードスロットがある。Z 7とZ6では、XQDカード(のちにCFexpress Type Bカードに対応)1枚のみ使用できたが、Z 7ⅡとZ 6Ⅱでは、CFexpress Type Bカード(XQDも使用可)とSD(UHS-Ⅱ)同時に2枚を使用できるデュアルスロットになった。
Zの開発に当初は、コンパクト化のためにあえてメディアはXQDカード1枚にこだわっていたが、SDカードを使いたいユーザーはとても多く、それに応えた形になった。ただし、ボディの高さは67.5から69.5㎜と2㎜高くなっている。すでにZ 5も登場しているが、Z 7やZ 6がほしかったが、SDカードが使えないことがネックになっていた向きには最高の仕様になった。
EVF(電子ビューファインダー)はどうよ?
EVFは369万ドッドVGAで変更はない。だが、ここにも痒いところに手が届くような細かな改良がある。Z 7とZ 6ではEVFでも画像モニターでも、画面内に情報表示があり煩わしく感じることがあった。これを静止画撮影中には機能していない録画ボタンを押すと、情報表示が消え全画面表示に切り替わるようになった。
また連写しているときにZ 7とZ 6ではEVFの見え方がたどたどしい感じがあったが、滑らかに見えるようになった。コマ間の表示フレーム数を増加したという。さらに画像モニターをチルトしているときZ 7とZ 6では身体が近づくとアイセンサーが機能してEVFに切り替わってしまうことがあったが、チルト時にはアイセンサーが自動的にオフになる。以前から気になっていた目立ち過ぎる水準器表示が変更された。シンプルでになりすっきりした。
イメージセンサーは?
イメージセンサーに変更はない。有効画素はZ 7Ⅱは、45.8MP、Z 6Ⅱは24.5MPだ。なので画質に変化はない。イメージセンサーが同じだと聞いて進化がないと感じる人もいるだろうが、アベはそうは思わない。発売から2年経ってもZ 7とZ 6の画質には、まったく文句をつけるところがない。特にZ 7の高精細とZ 6の高感度が素晴らしい。画作りは安定していて画素も増やす必要はない。ならばイメージセンサーを替える必要はない。
画像処理エンジンもEXPEED 6と変わっていないが、デュアルエンジンになって大幅に高速化されている。連写コマ速はZ 7の最大約9コマ/秒からZ 7Ⅱは10コマ/秒へ。Z 6ⅡはZ 6の最大約12コマ/秒から14コマ/秒へアップしている。バッファーはZ 7Ⅱで77コマとZ 6Ⅱは124コマ。この差は大きい。特にZ 6Ⅱで動体を撮影したが、限界がないというか、無限に撮れる感覚だ。シビレル!
AF(オートフォーカス)性能は?
AFはイメージセンサーが同じなので、像面AFの測距点に数には変更がない。だがAF低輝度限界は、Z 7の-2EVからZ 7Ⅱは-3EVへ。Z 6ⅡはZ 6の-3.5EVから-4.5EVへ広げている。
AFは操作性の改良も多い。ターゲット追尾の操作性が改善された。ファンクションボタンにターゲット追尾を設定しておくと、オートエリアから瞬時に切り替えることができる。3Dトラッキングライクな操作が可能になった。
瞳AFはオートエリアだけでなくワイドエリア(L)でも機能するようになった。AFエリアを限定すると瞳の検出精度が向上するうえ、対象を見失なったときでも再検出がしやすくなる。また瞳AFの人物と動物の切り替えがZ 7とZ6ではメニューだったが、AFエリアモードに入り、ファンクションボタンからコマンドダイヤルで簡単に切り替えられるようになった。
さらに動画撮影時も瞳AFが対応するようになった。さらに電源をオフにしてもフォーカス位置を記憶させることが可能になった。レンズのフォーカスリングのリバースにも対応している。