この企画は月刊カメラマン誌で連載していたジャンル別フォト講座「スナップ」の続編です。講師は写真家・大門美奈さんです。

主観的な関係という意味の「風景」

時間は容赦なく流れていく。本来であれば今あなたがいるはずであった場所、そこで出会ったであろう人々、カメラに収めていたであろう風景。あなたが心を動かされる風景とは何だろうか。客観的には「景観」という言葉がふさわしいだろうが、ここではあくまであなたと場所の間、主観的な関係という意味で「風景」という言葉を選びたい。

画像: ▲オアフ島・ダイヤモンドヘッドのサーフポイント。まもなく夕暮れを迎える時間、ローカルのサーファーた ちが次々と海へと入っていった。 ■シグマdp3 Quattro 絞り優先AE(F3.5) WB:オート ISO100

▲オアフ島・ダイヤモンドヘッドのサーフポイント。まもなく夕暮れを迎える時間、ローカルのサーファーた
ちが次々と海へと入っていった。
■シグマdp3 Quattro 絞り優先AE(F3.5) WB:オート ISO100

あなたがある風景を見てレンズを向けたとき、なぜそれを撮りたいと思ったのか。外に出て撮るという行為が困難な今、少し考えてみてほしい。そこにはあなたの視覚以外の感覚を刺激したものがあったのかもしれない。午後の気持ちの良い風が吹いていたのかもしれないし、多少お酒が入って気分が良かったのかもしれない。あなたが子どもの頃過ごした場所と似た要素があったのかもしれない。

画像: ▲テニスコート近くに停まっていた風景に溶け込むような色合いの車。夕陽のオレンジの写り込みを強調する ように現像した。 ■シグマdp3 Quattro 絞り優先AE(F3.5) WB:オート ISO100

▲テニスコート近くに停まっていた風景に溶け込むような色合いの車。夕陽のオレンジの写り込みを強調する
ように現像した。
■シグマdp3 Quattro 絞り優先AE(F3.5) WB:オート ISO100

そうした背景があったと仮定すると、同じ場所で同じ景観を誰かと眺めていたとしてもそれは同じ風景ではないはずだ。どのカメラを使用するかとか、どの画角のレンズを選ぶかといった以前に、あなたと私が別人であるのと同様に、そこで見ている風景もひとりひとり同じであるはずがないのだ。

画像: ▲フィレンツェで突如大群のムクドリによる周回に出会った。恐怖を感じるほどの光景だったが彼らが巣に戻 るまで長い間空を眺めていた。 ■シグマdp3 Quattro 絞り優先AE(F5.6) WB:オート ISO100

▲フィレンツェで突如大群のムクドリによる周回に出会った。恐怖を感じるほどの光景だったが彼らが巣に戻
るまで長い間空を眺めていた。
■シグマdp3 Quattro 絞り優先AE(F5.6) WB:オート ISO100

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