マイクロフォーサーズを発表してから10年。立ち上げの経緯、印象に残る製品、そして10年経った今、開発者は何を感じているのか? 「画質とレンズを含めた機動性や携帯性を考えると、マイクロフォーサーズは理想的なバランスなんです」という山田久美夫氏が開発の裏側に迫った! 
※この記事は月刊カメラマン2018年10月号掲載時のものです。
画像: 山田久美夫

マイクロフォーサーズのキセキ ●解説:山田久美夫

世界初のミラーレス機であるパナソニックLUMIX G1、ミラーレスの歴史はここから始まったが「LUMIX G」システムとして当初から3シリーズを構想していた。やがてダブルフラッグシップに至るまでの多様な製品展開を見てみよう!

ミラーレスのメリットを活かす機能を搭載したLUMIX G1

 初のマイクロフォーサーズ規格であり、世界初のミラーレス機であるパナソニックLUMIX G1。2008年9月12日、ミラーレスの歴史はここから始まった。

 初号機であるLUMIX G1は、一眼レフユーザーにも違和感のないセンターEVFデザインを採用。ボディカラーはブラック・ブルー・レッドの3色展開。1210万画素モデルで、144万ドット相当のEVFを搭載。さらに2軸液晶や動体追尾AF、絞りやシャッター速度のリアルタイムプレビュー機能など、ミラーレスのメリットを活かせるさまざまな機能を搭載したモデルだった。レンズは14-45mmF3.5-5.6と45-200mmF4-5.6。ダブルズームながらも28~400mm相当をカバーできる、コンパクトなシステムとして登場した。

 翌年2009年春には上級機で動画性能を重視したGHシリーズの第一弾LUMIX GH1が登場。AVCHD規格のハイビジョン動画撮影に対応し、同時に動画用途を意識したコンパクトな超広角レンズ7-14mmF4と10倍ズーム14-140mmF4-5.8が登場。同年秋には、コンパクトなフラットデザインのGFシリーズ第一弾のLUMIX GF1が登場し、キットレンズとしてパンケーキレンズの20mmF1.7を発売。外付けEVFも用意されていた。

 第1世代のLUMIX GシリーズはLUMIX G1から1年あまりで開発当初から企画されていた基本ラインナップ3種が出そろうことになる。また、レンズもボディの個性に合ったものが順次ラインナップされていく。

 2010年秋にはフルHDで60fpsを実現した16メガ機LUMIX GH2が登場。youtubeや動画プロユーザーの注目度が高まる。また、テレビの世界で3D全盛時代だったということもあり、LUMIXにも3D用レンズ12.5mmF12が発売された。

 2011年には新ラインナップとしてフラットデザインの上級モデル「GX」シリーズ第1号機LUMIX GX1が登場。本格的なスナップ用モデルとしてLUMIX GX7/GX8シリーズへと受け継がれていく。

 2012年にLUMIX GH3が登場。LUMIX GH2から大幅に進化し、プロやハイアマチュアユーザーを強く意識。デザインや操作性も一新。センサー駆動/レンズ制御の240fpsに高速化。動画関連機能も強化され、スチル&ムービーというGHシリーズのコンセプトを明確に打ち出したモデルとなった。

「可能性の追求」こそが「LUMIX G」システムの魅力

 2013年、マイクロフォーサーズのコンパクトさを極限まで追求したクラス最小最軽量のLUMIX GM1が登場する。

 2014年、世界初の4Kムービー対応モデルLUMIX GH4が登場。4K30fpsの動画撮影に加え、この機能をフルに活かした4Kフォトの世界を展開する。単なる4Kムービーの切り出しではなく、静止画向けにチューニングしたものだ。4Kフォトはその後もファームアップで進化する。また超高速連写だけでなくレリーズ前記録にも対応、さらに、同社独自の「空間認識AF」も同機で初搭載。コントラストAFでも位相差検出でもない、第三のAFとして今も進化を続けている。

 同年、クラス最小のEVF搭載機LUMIX GM5が登場。超小型ボディながら、EVF搭載で望遠やマクロ撮影までフルにカバーできる小型軽量システムというマイクロフォーサーズの魅力を凝縮したモデルである。ただ、現在のところ、その系譜は途絶えている。

 2015年には、世界初のレンズとボディの手ブレ補正機能を連携させたDUAL.I.S機能搭載機LUMIX GX8が登場。イメージセンサーも新開発の20メガセンサーを搭載。防塵防滴機能を備えるなどLUMIX GH4と並ぶ、フラットデザインのダブルフラッグシップ体制となった。

 そして、昨年2017年には動画重視のLUMIX GH5に加え、ハイエンドの静止画モデルとしてLUMIX G9が登場。小型センサーの高速読み出し機能を活かした、18メガの高速連写が可能な6Kフォトを搭載する。さらに、コンパクトさと高画質をバランスさせたハイエンドレンズ「F2.8-4シリーズ」のライカレンズもラインナップし、総合画質をさらに向上させた。

 このようにレンズを含めたシステムとして、マイクロフォーサーズの特徴を最大限に活かしたダブルフラッグシップ体制が完成した。この10年でLUMIX Gシステムは、マイクロフォーサーズの特徴を活かしながら進化。ボディとレンズを含めた完成度の高い、高画質で小型で高速な、バランスの取れたカメラシステムを構築した。

 これまでにミラーレス機のさまざまな可能性を提案・実現しているパナソニック。この「可能性の追求」こそが「LUMIX G」システムの魅力であり、これこそがLUMIX Gシリーズ10年の歴史である。

※この記事は月刊カメラマン2018年10月号掲載時のものです。

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