写真の新たな媒体、SNS( ソーシャル・ネットワーク・サービス)この連載では写真家・中野幸英さんが、SNS から生まれた新たな文法= リテラシーを実際に投稿者と会って検証・共有していきます。今回はHAI HUYNHさん(トラベルフォトグラファー)をご紹介します!この記事は月刊カメラマン誌に掲載されたものです。

Slow down

ベトナムで生まれ育った彼が最初に買ったカメラはキヤノンのSureshot(日本語名はオートボーイ)だった。
趣味であるキャンプやモータースポーツに写真を使ううち、旅をし始めた彼はその後Powershot G7 やソニーのα 7 Ⅱなど、トラベルフォトグラファーとして機材を揃えていった。

彼は鞄から弁当箱のような銀色のカメラを引き出してきた。「Mamiya6」。久しぶりに見た旧型のマミヤ6 はとても綺麗でしばし見とれてしまった。
その後に出してきたα 7 Ⅱにはマウントコンバーターを介してFD85mmF1.2L がついている。

2015 年にロンドンに住む友人から刺激を受けた彼は、一気に中古カメラやフィルムにも目覚めてしまった。富士フイルムのTX-1のパノラマなど、今は特に熱中してる時期なのだそうだ。

どこに魅力があるのかと聞くと少し首をひねってから、「People wants slow down.」と説明する。機材を考え、チェックして、撮影後は現像を待ちセレクトする。

そのプロセスが「まるでプレゼントのようなものだ」と彼はいう。

Never met before

InstaMeet というWEB サイトがあり、近所のInstagramのオフ会とも言えるイベントを探すことが出来る。その中でも大きいIGersJP というグループの中で彼は古参のメンバーだ。

彼自身IMCJP というグループを立ち上げている。2011 年には石巻に災害ボランティアとして出向き、東京に戻るとSNSを使ったドネーション(募金)のシステムを始めたという。

彼はソーシャルネットワークを幅広く使っている中で、逆に写真を媒体にしている気がする。 休日にはグループの撮影会などのイベントを開き、毎回新しいメンバーを含めた幅広い層の人たちが参加しているという。

多くのカメラメーカーや中古カメラ屋と、愛している風土のある日本に住み、新たな友人関係を日々育んでいる。

今までに見たことのない日本。今までにあったことのない人。彼の話を聞き終わると、取材の終わった東京が写真の町に見えてくる。

写真・文 中野幸英さん

画像: 写真家。作品制作、コマーシャル撮影をはじめ、動画撮影や講師、東北復興プロジェクトのメディア担当など多岐に活動。

写真家。作品制作、コマーシャル撮影をはじめ、動画撮影や講師、東北復興プロジェクトのメディア担当など多岐に活動。

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