路
「私は物心ついたときから鉄道と飛行機をこよなく愛している。そして、うち捨てられた廃墟にも特別な感情を抱くようになった。
鉄道は、とりわけ線路に興味が湧く。幾何学的な造形もさることながら、二条の線路の「みち」が何処かへ繋がっているかと思うと、未知の広がりを感じずには居られない。よく線路が人生に例えられるのも、何となく分かる。
あるとき廃線となったボロボロの線路を追っていくと、山中にひっそりと廃坑のコンクリート建物が朽ちていた。恐怖よりも美しさを感じ、朽ちている空間に吸い込まれる気がした。本来の機能を終えて眠りにつく線路と建物は、朽ちながらもかつて働きまだここに居るという存在を、自然と共存しながら示し精一杯生きているようだった。
昨年、縁あって一年間、北茨城と福島県を撮影する機会に恵まれた。福島県は難度も足を運んだ地ではあるが、四季を通じて訪れるのは初めてだった。両県には様々な状況におかれた鉄道があって、産業の基幹であったモノが人知れず眠っている。
廃鉱、鉄道、どれも共通するのは『みち』だ。産業を導いたみち、人と物資を運び都市を繋いだみち。この展示では『みち』を確たる目的をもって生まれたものと捉え『路』というテーマで一年間追った。
草木に埋もれる産業の路、原発事故によって寸断された動脈路線の路、生活の足としていつもの日常を走る路。それぞれ三部作構成で紹介する」
●会期:2018年2月6日(火)〜2月17日(土) *2月11日(日曜日)休み
●11~18時 *最終日は17時まで
●場所:ギャラリー5610 東京都港区南青山5-6-10 5610番館(東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅下車、B3出口より徒歩約3分)
吉永陽一
東京都出身、大阪芸術大学写真学科卒業。建築模型会社を経て空撮会社へフリーランス登録。空撮業務の他、鉄道の空撮「空鉄(そらてつ)」を日々探求し、紀行取材や集合撮影など陸空で活躍。日本鉄道写真作家協会会員、日本写真家協会会員。