そして時は経ち令和8回目のCP+、各メーカーはこれを契機にカメラグランプリに向けて鎬(しのぎ)を削る・・・な〜んてことは、ギョ〜カイの関係者を除いて実はあんまり無かったりすると思うのですが、ここはひとつ落ち着いた眼差しで各メーカーのハレの場を、『トヨ魂 番外編』として豊田慶記氏とともに振り返ってみたいと思います(編集部・モリタ)。
SIGMAの世界観を具現したブース展開
白いヴェールで囲まれたブースは荘厳で、どこか伊勢神宮の「御幌(みとばり)」を連想させる独特の世界観。ブース内では製品ラインナップをドンと据え、写真集コーナーとタッチ&トライコーナーがありました。
個人的には写真集コーナーを毎年楽しみにしていたのですが、年々縮小されていく様子を少し寂しく思いつつも、管理という難しい問題があるので、仕方ないとも考えています。
イベント内でワールド・プレミア(85mm F1.2 DG | Art)があったことは特別感があって嬉しかったです。当事者(目撃者?)になれたような気がするから。
タッチ&トライコーナーでは4月中旬に発売される35mm F1.4 DG Ⅱ|Artも試用することができました。HLA(High-response Linear Actuator)といういわゆるリニアモーターをAFアクチュエータに採用していて、F1.4の大口径レンズとは思えないAFレスポンスに驚かされました。ニコンZマウントやRFマウント版が登場すれば、いろいろと勢力図が変わるだけのポテンシャルを秘めていますが、現状ではEマウントとLマウントだけ。

4月中旬に発売される35mm F1.4 DG Ⅱ|Art。昨年9月に発売された35mm F1.2 DG Ⅱ|Artに続いての発表です。恐らくF1.2を設計しているときからF1.4は企画されていて、それぞれ何を目指すか?を見極めながらまとめられてのではないか?と思います。
また、タッチ&トライコーナでは製造で出た廃材(絞り羽根製造時に出た廃材)を用いたオブジェを展示していたことにも面白さを覚えました。
抜き材を見てみると、製造の素人(筆者)の目にも工作精度の高さを感じられ、シグマのブランドイメージに対する興味の誘導が上手いな、と。無駄にしない精神のようなものも感じられるし、表現という行為に共感する姿勢を持っているとも感じられます。

ブースの中央にで〜ん!と吹き抜けのようにつるされたオブジェ。レンズ絞りの抜き材を使ったそうですが、現代アートにも思える様は、シグマBFの美学に通じる!?
写真集のブースがあることも、「俺達は表現を大事にしているぜ!」という前フリとして凄く利いているよね。こういった「イメージ」を抱かせることはとても重要で、その企業がどういった思想を持って運営しているか?という漠然とした印象が、伝わるのと伝わらないのとでは、応援できる・出来ないの差に繋がるだけのインパクトがあると思っています。
不特定多数に訴求するのか、お客様になってくれそうな(シグマの世界観に共感を持ってくれる、の意)ところに注力するか。そういった判断も明確で、フルラインアップではない企業の思い切りの良さみたいなものを感じました。
最新技術のスゴさを体感できる! そう、これぞまさに it's a SONY

タッチ&トライやAFモーターの技術展示、写真作品の展示などそつない構成だけど、全体としてαがもたらす新しい撮影体験を楽しんでもらう構成になっていて、中でもα7 Vに比重を置いたブース設計になっているように思いました。
特にミニ四駆の撮影体験があったことにはブッたまげました。というのも、カメラのAFが苦手なのは低照度や低コントラストなどの条件的な弱さに加えて、像面での移動量が大きな対象が挙げられます。
ミニ四駆のような近距離でソコソコ速く動く小さな対象が、カメラは大の苦手です。たとえば飛行機のような絶対的な速さを持つ一方で撮影距離は遠い対象よりも、風にそよぐ近距離で撮る花の方が像面での移動量が大きくなるので、カメラにとっては手強い相手になります。
こういった「速そう」というイメージと実際の難易度が一致しないところも、撮影技術の面白さであります。

コレ、編集部・モリタも試したのですが、そもそも高速で走るミニ四駆をフレーミングするのが大変で、ヤナ汗をかきました。でも、まれに上手くフレーミングすると瞬時にAFが食い付く!というスゴさが味わえました。技術の進化を体験させることで商品力をアピールするとは、こういうコトなのでしょうねぇ。
話を戻して、ミニ四駆の速度はだいぶナーフされて(抑えられて)いたけれど、それでも経験者でも満足に撮るのが難しい条件を、一般ユーザーに体験してもらうというのは本当にチャレンジングなことだと思いました。実際に体験した人なら、見ている以上にフレーミングが難しいことが理解できたことと思います。
問題点はその凄さが伝わりにくいこと。ミニ四駆の写真を見せられても余程の経験者でなければ、撮影難度の高さを実感し難く、例えば戦闘機などのほうが難しそうに思えてしまいます。
戦闘機をたとえとして挙げた理由は、物理的に速いのでフレーミングは非常に大変ですが、対象が大きく、距離も基本的にはソコソコあって像面での移動量は限定的です。つまりカメラ的にはそこまでハードではありません。一方でイメージ戦略的には非常に有効なので、パフォーマンスの良い素材です。
話をもどして、ミニ四駆ではレンズ側のAFレスポンスの高さも重要なので、ソニーがこれまでに推進してきたレンズの小型・軽量化とリニアモーターの積極採用がまさに花開いています。AFでは慣性の法則が働きますので、内部で動作するレンズは小さく軽い方が優位なのです。
少なくともニコンで同じことをやろうと思うと、最低限ニッコールZ 70-200mm f/2.8 SのⅡ型とZ8を持ってこなければ、それこそ話になりません(それでもα7 Ⅴの方が歩留まり上だと思うけれど)。
しかし、α7 Ⅴであれば、よりコンパクトでお安く、しかも誰でもお手軽に達成できてしまう凄みがある。こういった技術に対する理解が深まれば深まるほどに、展示に秘めたメッセージに気付きがあるのもソニーの特徴だと思いました。
SONY信者ならずとも、カメオタにはメシウマ♪な展示群

さらにレンズとカメラの具の展示があったことも好印象です。特にレンズ(FE70-200mmF2.8 GM2)は構成部品を大変に美しく並べてあって、そのまま持ち帰って壁に飾りたい気持ちで一杯になりました。
またα7Ⅴの基板にも驚かされました。「映像エンジンとAIアクセラレーターを統合しワンチップ化」をアピールしたものですが、実際に見るとそのコンパクトさに驚かされます。α7 Vを実際にテストしてみると、性能はもちろん、ワンチップ化による高い省エネ性にも唸らされました。こういった事実を眼の前にすると、他社に先駆けてワンチップ化を達成したソニーの技術力には背筋が伸びる思いがしますし、他社も追従してワンチップ化を達成してほどなくのタイミングでソニーは改良型を投入してくることは明白。
トップランナーが何故強いのか?ということを、改めて思い知らされる気がしました。今後しばらくはソニーの先進性が色褪せることはなさそうです。



