■撮影共通データ:キヤノン EOS R6 MarkⅡ 絞り優先AE WB:オート
■豊田慶記氏プロフィール
広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープ等の写真に感銘を受け写真の道を志す。スタジオマン・デジタル一眼レフ開発などを経てフリーランスに。作例デビューは2009年。カメラ誌でのキャリアは2012年から。カメラグランプリ外部選考委員。日本作例写真家協会(JSPA)会員。
RF45mm F1.2 STM 主な仕様
●焦点距離:45mm
●最短撮影距離:0.45m
●最大撮影倍率:0.13倍
●レンズ構成:7群9枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:67mm
●大きさ・重さ:φ約78×75mm・約346g
●付属品:-
EF50mm F1.2L USMの再現…ここ、トヨタ的には微妙なんですけど。

もっと写らないと思っていた(失礼)辺りでのイジワルテスト。ほぼ至近端かつ開放絞りなのだけれど、予想より遥かに、というか普通に良かったので「おや?」となりましたよ。
■絞りF1.2 1/320秒 プラス1.0露出補正 ISO400
なぜPMo非球面レンズが軽量化のキモとなるか? と言えば、ガラスと比べて比重の軽い光学プラスチックを口径の大きなレンズに用いることで軽くできること、また非球面レンズは1枚のレンズに複数枚の仕事を担当させることができるで、レンズ枚数削減にも貢献する。
とはいえ、光学レンズ側で達成できる軽量化は、割合的にはそこまで大きくなく、鏡筒設計やメカ設計による効率的な構造とする方が軽量化への比重は大きく、メカ屋さんの努力を忘れているワケではありませんよ!!! レンズだから、ということで光学を主役にしていますが、製品コンセプトと光学性能のバランス。製造側のコスト感まで含めた総力戦で掴んだ結果の賜物である、という事は声を大にしておきたいところです。
ともかく、ガラスレンズでも難しい大口径の非球面レンズを金型に樹脂を充填して成形し、何かしらの不思議な処理によって精度の高い非球面形状の実現する技術に乾杯です。ともあれメーカーの公式アナウンスでは”EF50mm F1.2L USMを再現する” というコンセプトのようだ。その辺は我らが「デジカメWatch」さんの記事がとても分かりやすいので参照されたし。(https://dc.watch.impress.co.jp/docs/topic/special/2068796.html)

空気を読まない事を言えば、距離によってはボケの輪郭が強いね。ま、少し絞れば良くなります。全体的には「お前、本当にこの価格帯でのF1.2レンズなのか?!」と思わせる仕事っぷりにはビックリします。
■絞りF1.2 1/1000秒 プラス1.0露出補正 ISO100
で、乗っけからネガティブで大変申し訳ないのだけれども…、筆者はEF50mm F1.2L USMにポジティブな感情を持っていません。といっても「フォーカスシフトが…」や「収差が…」ではなくて、筆者が過去にテストした複数個体のバラつきが非常に大きくて、製品の実力がどこにあるのか分からなかったことが理由です。
あと、一眼レフだとAFしても精度良くピントは来ないし、当時のEOSのファインダーだとそこまでピント見えなかった。ちなみに友達が使ってた個体は素晴らしかったけど、テストした複数の整備品と新品はヘッポコだったから、おそらく精度に敏感なレンズ設計なのかな? と推測しています。もう時効だと思うのでぶち撒けましたよ。
いや、ナカナカどうして優秀っすよー。

1段と少し絞ったF2.0でパチリ。めっちゃ写るね、ええやん。てか、最新レンズなのに絞りで遊べる性格なので「よくこのキャラで製品化が許されたな…」と。なんというか、振る舞いがキヤノンっぽくないよね。
■絞りF2.0 1/160秒 マイナス1.0露出補正 ISO100
テストしてから3ヶ月ほど経つので、細かな使用感はほぼ覚えていません。記憶にあるのは「AFは遅いとまでは言わないけど、お世辞にも速いとは言えなかったな」くらいです。
と、ここで当時の「撮影メモ」を見返してみると
●得意な領域がハッキリしている
●ピント位置が3~4mくらいで廉価なレンズの写りになる
●すっごいシャワーゴーストが出る
●あと少し、寄りたい
とありました。

大口径レンズで試しているシーン。お高いレンズと比べると、ヌケが少し…と思わなくもないけれど、これはコレで表現が良いねぇ。色ズレもなく素晴らしい。
■絞りF1.2 1/80秒 プラス1.7露出補正 ISO100
「得意な領域」とは撮影距離のことを指していて、近距離は開放絞りから比較的得意な様子。大口径レンズって絞りを開けた状態で収差を少なくするのが難しいので、ソコをナントカする為に大きく重くなったり、お値段が高くなったりする部分があります。「大口径化で無茶したところを光学屋さんが頑張って高性能にしている」、もしくは「性能に振った結果、デカくて重くて高い」となっているのが実情です。
ということで、どう見てもお値段的に頑張っているから多少は我慢しているところがあると思っていましたが、良い意味で裏切られた感じです。もちろん不得意な領域で撮れば、やれ「収差がー」「フリンジがー」ってなるのだけれども、そういうのって製品コンセプト的にお門違いだからね。
つまりは「使いこなし」が問われるってことです。
次。「廉価なレンズの写り」について。これは、撮影距離によってパッとしない時がある、という意味で、画素数との兼ね合いもあると思います。上手く言葉に出来ないのだけど、ボケ部分が「砂っぽさのあるキレイじゃない滲み方」になることがある、と思いました。得意な領域での実力を知ってしまうと、「ん?」となる部分が悪目立ちしてしまうだけです。撮影時に絞るか距離を少し変えるかすれば良いので工夫を楽しみましょう。

後述になりますが「シャワーゴーストがー」って言ってるヤツ。写真の下部に放射状の線が出てるでしょ? イジワルテストしている時のひとコマで、絞りを変えながら程度を見ていました。表現効果に使えそうな、そんな気がしなくもないね。攻め甲斐はありそうです。
■絞りF1.4 1/640秒 プラス1.3露出補正 ISO100

強い光源を写し込んだ場合に出る輝点(?)みたいな方は、センサーとか傷めないかなぁ…という方面でちょっと気になりました。「そういう撮り方すな」という話ではあります。これも、中央の明るい部分の周囲に盛大にシャワーゴースト出てますね。やっぱり表現に使えそうな気がする。
■絞りF1.2 1/640秒 プラス2.3露出補正 ISO100
シャワーゴーストについて。特定角度で強い光源を配置した時に、盛大にシャワーみたいな放射状のゴーストが出ます。が、製品のコンセプト的に文句言うのは野暮かな? って感じ。個人的には光学レンズっぽくて好きですぜ。
接写性について。これはね、撮っている時の感覚的に、画角から期待するよりも寄れません。あと5cm寄れれば…と何度も思ってたし、メモにも寄れないことの愚痴を残していました。
キヤノン純正でありながら、ここまで「攻めた」のは嬉しい!

上述の「廉価なレンズの写り」と言っているカットです。ちょっとだけヌケ感が悪いというか、そういう感じの写りになる条件があります。これを逆手に取って、ネガフィルムっぽくしたいなら楽だね。
■絞りF1.2 1/800秒 プラス0.3露出補正 ISO100
EF50mm F1.2L(USM)より随分良いので、キヤノンさんは余計な事言わない方が良いのでは? と思っちまいました。大口径レンズに夢を持っている人には、現実をちゃんと教えてくれるし、特徴を掴んで使いこなせれば、ちゃんと写りに酔っぱらえるだけの実力があります。
だからこそ、既に色々経験している “もう後戻り出来ない人たち” にとっては「思ったより良いぞ、楽しいぞ」と夢中になれるんじゃないかな。つまりは「技術的な成長を実感できる」という意味でも、推奨したい1本かと。
高性能が尊ばれる現代の製品としては、結構攻めた企画(十分に高性能だと思うけれども、他の超高性能大口径レンズが狂った性能だから、このレンズが相対的にアレに見えちゃう可能性がある)だと思うし、こういった楽しい製品があるのは良いことなので、心から応援しています。なんてったって純正だからね。EOS Rシステムの快適性が担保されてるから安心感が違うよね。






