前半(↓にリンクあり)ではRF85㎜F1.4のみをフィーチャーしたが、キヤノンの85mmはRF85mm F1.2 L USM、RF85mm F1.2 L USM DS、RF85mm F2 MACRO IS STMと現行だけでも4本もあり、ラインアップは盤石なのだ。で、さらにそこに私が愛用中のEF85mmF1.4L IS USM(残念ながらカタログ落ちした様子)も加え、総勢5本のバトルロワイヤル! とはいえ諏訪(光二)カメラマンみたいな客観的評価ではなく、あくまで筆者の独断と主観(それは偏見!とツッコミ希望)によるものなので、そこんとこヨロシクお願いいたします。

野下義光氏プロフィール
1963年生まれ 熊本県出身。中学三年生から写真を始めると同時に縁あったのか、月刊カメラマン創刊。以来読者として関わる。4年間のサラリーマン経験を経て、夢を追い故大山文彦に師事。ポートレートにおいては、月刊カメラマンの表紙・巻頭グラビアも担当し、多数のアイドルグラビア写真集にも携わる。近年は、料理からモータースポーツなど、広告媒体で幅広く活躍中。AE-1以来の生粋のキヤノン党。

※撮影共通データ
■キヤノン EOS R5 Mark Ⅱ  ISO200 高輝度側諧調優先D+ CRAWからDPP4にて現像 ピクチャースタイル:ニュートラル ●モデル:沙倉しずか

まずはキヤノン85mm軍団のサイズ感&動作感第一印象

画像1: まずはキヤノン85mm軍団のサイズ感&動作感第一印象
画像2: まずはキヤノン85mm軍団のサイズ感&動作感第一印象

RF85㎜F1.4

画像: RF85㎜F1.4

絶妙にしてベストなサイズ感と重量感。重すぎず軽すぎず、大きすぎず小さすぎず。鏡筒が太くないので片手でのレンズ交換も不安はない。とはいえ、万が一を想定して、レンズ交換は座ってカメラバッグなどのクッションの上で行うのが定石だ。カメラを三脚に固定した場合は両手で持つのも同じく定石。

AFは申し分なく素早いが、相応にVCMの音は聞こえる。とはいえそれも静かな室内での話で、実際の撮影中は意識するほどの音量ではなかった。

RF85mm F1.2 L USM DS

画像: RF85mm F1.2 L USM DS

サイズ感も重量感も威風堂々。求めるスペックを追求したらこんな大きさになっちゃいました、と言わんばかりの妥協無き振り切りがすさまじい!! もちろん、望遠ズームとかの方が物理的質量は大きいが、見た目に対する重量感は、むしろもっと重たく感じた。

無駄に大きい私の手でも、片手でのレンズ交換は細心の注意を払った。筆者が愛用中のRF24-105mm F2.8 L IS USM Zの方が大きくて重いが、85mmF1.2はズングリむっくりで鏡筒は太く、指のひっかけようもないので、正直閉口してしまったことは否めない。

RF85mm F1.2 L USM

画像: RF85mm F1.2 L USM

サイズ感も重量感はDSと全く同様なので割愛。AFや音も同じなので、こちらに記す。やはりUSMならではのほぼ無音。耳をレンズに近づけてやっとスルスルっとレンズ内部が動く音が微かに聞こえた。撮影中には聞こえなかったのは言うまでもない。

AFも快速で言うこと無し。出来が良すぎて悔しいので(笑)、敢えて粗探しするならば、USMによるマニュアルフォーカスのリニア感の乏しさ程度か。最も、このレンズ及びDSをMFで用いるシーンは果たしてあるのだろうか?

RF85mm F2 MACRO

一気に庶民的な見た目と質感。Lレンズと比べたら可哀そうな立ち位置ではある。とはいえ安っぽさは微塵もなく、質実剛健な造りが好印象。RF85㎜F1.4ほどスリムではないが、もちろんF1.2みたいに馬鹿でかくはないので使い勝手は良い。

AFの動作感も必要十分。音はジージー聞こえてAF動作の存在感を現すが、撮影中は意外なほど気にならなかった。

EF85mmF1.4L IS USM

画像: EF85mmF1.4L IS USM

F1.2程ではないものの、RF85㎜F1.4と比べると一回り、いや二回りは大きい。逆にRF85㎜F1.4のコンパクトさが際立つ。一眼レフ用のレンズなので、フランジバックが短いミラーレス専用レンズと比べると設計の自由度が狭い故の大きさなのかも。

重さもそれなりだが茶筒みたいな円柱形ではなく、メリハリある凹凸のお陰でレンズ交換も容易だ。USMならではの静粛性も今でも第一線で戦える(ひいき目かな)。ひとつ気になるのが、レンズ単体で振るとカタカタとISの揺れがあること。実際には問題ないが、当初は大丈夫なのか不安になった。

中距離にて絞り開放ポートレート対決!

画像: 中距離にて絞り開放ポートレート対決!

背景を大きくボカしてウヤムヤにするのではなく、ロケ場所の雰囲気を活かせる画作りこそが85mmポートレートの真骨頂。引き絵でもさほどモデルと遠くなり過ぎないことも重要な要素。それでもってF1.2やF1.4の力業なら背景も十分にボケる。正に85mm単焦点レンズを熟知した筆者ならでは(自画自賛)の作例だ。

詳細は各レンズの解説を読んでほしいが、総評としてはDSではない「素」のRF85mm F1.2 L USMが期待とは裏腹に最も好印象。大口径85mmのステレオタイプ的な理想を感じた。DSは、もちろん描写力もボケ味も非の打ちどころはないが、なぜか同じ開放F1.2でもボケが小さい。更に高額なのに何だか損した気分になる。

RF1.4は、超弩級相手だと中庸に感じるが、全方位隙のない高次元のオールマイティと言ったところか。EF1.4、まだまだ最新や超弩級相手でも戦える戦闘力がある。F2マクロ、悪くないところかむしろ良い。Lレンズ相手に大健闘を称えたい。

◆RF85㎜F1.4

画像: 周りが個性的過ぎて普通に思えてしまうが、解像感、立体感、ボケ味全てが高次元にバランスよくまとまった新時代のスタンダード。逆にそのまとまりの良さが個性的のなさにも感じられるが、むしろ撮影者の演出意図を忠実に再現できる力量がある。逆に言えばヘタクソもそのまま露呈する。

周りが個性的過ぎて普通に思えてしまうが、解像感、立体感、ボケ味全てが高次元にバランスよくまとまった新時代のスタンダード。逆にそのまとまりの良さが個性的のなさにも感じられるが、むしろ撮影者の演出意図を忠実に再現できる力量がある。逆に言えばヘタクソもそのまま露呈する。

◆RF85mm F1.2 L USM DS

画像: 断トツで高価なレンズだが、ちょっと肩透かしされた気分…。F1.2の大口径ながらF1.4をも凌駕する解像感も質感描写も見事としか言いようがないが、ボケがなぜか非DSよりも小さくてF1.4とあまり変わり映えしない。ボケ味そのものは非常に素直だが、これはRF1.4も同様。このレンズのポテンシャルを存分に引き出すには、短時間の作例撮影では筆者の力不足が否めない…。

断トツで高価なレンズだが、ちょっと肩透かしされた気分…。F1.2の大口径ながらF1.4をも凌駕する解像感も質感描写も見事としか言いようがないが、ボケがなぜか非DSよりも小さくてF1.4とあまり変わり映えしない。ボケ味そのものは非常に素直だが、これはRF1.4も同様。このレンズのポテンシャルを存分に引き出すには、短時間の作例撮影では筆者の力不足が否めない…。

◆RF85mm F1.2 L USM

画像: これこそ大口径85mmレンズだよねと、筆者の理想像を具現化したかのような描写とボケ味と大きなボケ。ポートレート派には自信を持ってお勧めできる!

これこそ大口径85mmレンズだよねと、筆者の理想像を具現化したかのような描写とボケ味と大きなボケ。ポートレート派には自信を持ってお勧めできる!

◆RF85mm F2 MACRO

画像: Lレンズ相手に大健闘。F2とさほど大口径ではない分、解像感も描写力もLレンズたちと遜色はない。ボケ味がちょっと雑だが、どこまで重要視するかによりけりだろう。

Lレンズ相手に大健闘。F2とさほど大口径ではない分、解像感も描写力もLレンズたちと遜色はない。ボケ味がちょっと雑だが、どこまで重要視するかによりけりだろう。

◆EF85mmF1.4L IS USM

画像: DLO(デジタルレンズオプティマイザ)をMAXならRF勢にも負けない解像感。ただしDLOをMAXにするとザラつくこととトレードオフ。逆にRF勢がDLOナシでも解像感MAXとなることとは対照的に、DLOの施し度合でソフトな描写も可能となるのが、このレンズの醍醐味でもある。ボケ味も勝るとも劣らない。

DLO(デジタルレンズオプティマイザ)をMAXならRF勢にも負けない解像感。ただしDLOをMAXにするとザラつくこととトレードオフ。逆にRF勢がDLOナシでも解像感MAXとなることとは対照的に、DLOの施し度合でソフトな描写も可能となるのが、このレンズの醍醐味でもある。ボケ味も勝るとも劣らない。

クロップで疑似135mmとしてみました!

画像: クロップで疑似135mmとしてみました!

前編でも書いた通り、基本はクロップでここぞという状況のみフルサイズで撮影するスタイルが定番となった筆者だが、85mmとて例外ではない。むしろ85mmこそ適度なパース感の使いこなしが楽しめる中望遠と、クロップ135mm相当の明らかな望遠レンズとしても楽しめる一番美味しい焦点距離でもある。

ここまで大きく背景をボカすと、もはやF1.2とF1.4の差は現れないが、それよりも気になったのがRF85㎜F1.4が明らかに画角が広い(焦点距離が短い?)。モデルは座ってカメラは三脚なので撮影距離は同一だが、違いは作例の通り。F2 MACROの作例がないのは…撮り忘れです。すいません。

筆者なりの考察と想像だが、RF85㎜F1.4は動画撮影を意識したシネレンズに近い設計思想なのかもしれない。いわゆる「フォーカスブリージング」への配慮だ。一般的な静止画(写真)用レンズは、近距離だと画角が狭くなる光学的現象をわざわざ補正したりしないのが普通。最新設計となるRF85㎜F1.4は、できるだけ画角変化が起こらないよう、動画での使い勝手の良さを考えているのかも。

◆RF85㎜F1.4

画像: 基本、あまのじゃくの筆者なので(笑)、何かしらケチつけてやろうと重箱の隅々まで粗探ししたものの、何も見つけられませんでした。ごめんなさい。このレンズで描写力を不満に思う方がいたら、先に自分の腕を疑うべきです。

基本、あまのじゃくの筆者なので(笑)、何かしらケチつけてやろうと重箱の隅々まで粗探ししたものの、何も見つけられませんでした。ごめんなさい。このレンズで描写力を不満に思う方がいたら、先に自分の腕を疑うべきです。

◆RF85mm F1.2 L USM DS

画像: もちろんトップの描写力は揺るぎない事実だが、ここでも非DSへの優位性を見いだせなかった。それと、DSの特性として全く同じ露出(シャッター速度、絞り値、ISO感度、被写体の明るさ)でも1段程アンダーに写る仕様。さほど問題でもないが、メリットはない。

もちろんトップの描写力は揺るぎない事実だが、ここでも非DSへの優位性を見いだせなかった。それと、DSの特性として全く同じ露出(シャッター速度、絞り値、ISO感度、被写体の明るさ)でも1段程アンダーに写る仕様。さほど問題でもないが、メリットはない。

◆RF85mm F1.2 L USM

画像: F1.4と同等以上の描写力をF1.2でも叩き出しているのは凄い。DSも同様だが、こちらは露出アンダーにもならない分、使い勝手が良い。

F1.4と同等以上の描写力をF1.2でも叩き出しているのは凄い。DSも同様だが、こちらは露出アンダーにもならない分、使い勝手が良い。

◆EF85mmF1.4L IS USM

画像: DLOでRF勢並みの解像感が得られながら、RFにはないソフトな描写を自由に操れることが筆者が今でも愛用している大きな理由。ちょっと手間をかければ、DLOで解像感が増した画像と、素のソフトな画像をレイヤーして「瞳はシャープに肌はソフトに…」という凝った作品造りもできるのだ。

DLOでRF勢並みの解像感が得られながら、RFにはないソフトな描写を自由に操れることが筆者が今でも愛用している大きな理由。ちょっと手間をかければ、DLOで解像感が増した画像と、素のソフトな画像をレイヤーして「瞳はシャープに肌はソフトに…」という凝った作品造りもできるのだ。

オマケのマクロ対決!

画像: オマケのマクロ対決!

◆RF85mm F2 MACRO=フルサイズのまんま

画像: ◆RF85mm F2 MACRO=フルサイズのまんま

さすがMACROを冠するレンズだけあって、最短撮影距離の短さはもちろんだが、マクロ域の描写力、解像感、立体感が素晴らしい。ことマクロ域に関しては「Lレンズ」の冠を与えたくなる。

◆RF85㎜F1.4=クロップ撮影

画像: ◆RF85㎜F1.4=クロップ撮影

ちょっと反則?(笑)でクロップ撮影。クロップしても当然ながらMACROを関したレンズ並みには寄れないが、ここまで寄れれば必要十分。一般的にレンズは最短撮影距離やその付近では描写が甘くなると言われていたのは、今は昔。令和のRF85㎜F1.4にはそんな一般論は通用しない。

総評

画像: 総評

●RF85㎜F1.4
サイズ感、重量感、価格。そしてジャンルや撮影スタイルを問わないオールマイティーで高次元の描写力。ポートレート派はもちろん、全ての方々が満足できるに違いない。

●RF85mm F1.2 L USM DS

残念ながら筆者の力量と眼力では、このレンズの神髄は解らず終い。その分、底知れぬ奥深さの気配を感じた。機会があったらまたチャレンジしてみたい。

●RF85mm F1.2 L USM

作品造りで筆者が選ぶとしたら、この一本を選ぶだろう。大口径F1.2ならではの魅力的なボケは、重さもデカさも許容できる。

●RF85mm F2 MACRO

意外、と言ったら失礼か? 期待以上のレンズだった。85mm入門としても価格も手ごろでマクロもこなす便利なレンズだ。

●EF85mmF1.4L IS USM

対決させてますます好きになった。描写力も令和のRF勢に引けを取らず。大事に使い続けたい。カタログ落ちだが、中古での入手も案外良いかな?

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