発表から話題沸騰の富士フイルムの「X half」。筆者は発表時にちょっと気になり、触った途端に買うかもな……と感じた。そして結果、発売日に手元に来るくらいの早いペースで購入。今回は発売前の作例撮影のため、メーカーから機材を借用して撮影している。

共通撮影データ■絞り優先AE ISOオート1 ※施設内の写真、動画は施設の許可を得て撮影、掲載しております。

フジフイルム X half 主な仕様

画像: フジフイルム X half 主な仕様

●センサー:1インチ裏面照射型CMOS
●有効画素数:約1774万画素
●レンズ焦点距離:10.8mm(35ミリ判換算 約32mm)
●レンズ開放値:F2.8
●ISO感度:200~12800
●動画性能:FHD24P
●ファインダー:OVF 視野率90%
●ファインダー倍率:0.38倍 
●液晶モニターサイズ:2.4型TFT タッチパネル
●記録メディア:SD/SDHC/SDXC UHS-Ⅰ
●大きさ・重さ:約105.8×64.3×52.55.8mm・約191g(本体のみ)

話題沸騰! 大人のコンデジ!?

画像: 話題沸騰! 大人のコンデジ!?

本機のカラーラインナップはシルバー、チャコールシルバー、ブラックの3種類。レビュー用にはシルバーのカラーをお借りした。正直、触った感触はプラスチック感満載でオモチャっぽいのだが、約240g(バッテリー、メモリーカード含む)という軽さを考えれば文句は言えない。重いと持ち歩かなくなるのがカメラというものだ。

質感よりも何より、そのデザインが小憎たらしいくらい上手い! 四角と丸が気持ち良く融合したクラシカルなデザインは言うまでもなく、レンズの絞りリングの形状は、レトロ好きの心をくすぐるし、無駄なボタンを排除したシンプルな背面には様々なタッチ操作が可能な液晶モニターを搭載。しかも縦型だ。

サブ液晶は上下にスワイプすることで、フィルムシミュレーションとフィルターを変更できるのだが、この小窓がフィルムカメラを使っている錯覚を起こさせてくれるデザインで、これまた上手い!

これにフレーム切り替えレバーを引いてシャッターを切ってしまったら、フィルム時代のハーフカメラを愛していた方々は、たちまちこのカメラの虜になってしまうだろう。

恐ろしいほどのハーフカメラ愛用者ホイホイ!?

画像: ■絞りF2.8 1/125秒 フィルムシミュレーション:Velvia/ビビッド

■絞りF2.8 1/125秒 フィルムシミュレーション:Velvia/ビビッド

SNSとの親和性が高い縦型写真だが、ハーフカメラを愛用していた方は、逆に懐かしさを感じるのではないだろうか。スマホ撮影に慣れている層向けのカメラかと思ったが、もしかして、ハーフカメラを懐かしむ層向けのカメラなのかもしれない。

画像1: ■絞りF2.8 1/125秒 フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード

■絞りF2.8 1/125秒 フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード

日付入りの撮影も可能で、カスタム設定で簡単に切り替えられる。「写ルンです」っぽくて、これも懐かしむ層ホイホイかも。

画像2: ■絞りF2.8 1/125秒 フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード

■絞りF2.8 1/125秒 フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード

最短撮影距離は約0.1mと、被写体にかなり寄った撮影が可能。小さい背面液晶とファインダーでは、接写時はなかなかピントの確認がしにくいが、このカメラにそういう利便性を求めるのは野暮というもの。

画像: ■絞りF2.8 1/85秒 フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード

■絞りF2.8 1/85秒 フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード

横位置の写真を撮りたいときは、単純にカメラを横に構えればOK。ストレートボディで小型なデザインなので、ちょっと構え難さは感じた。横構図の撮影で水平、垂直を保つには慣れが必要そうだ。

賛否両論!? 「期限切れフィルム」フィルター

画像: ■絞りF2.8 1/125秒 アドバンストフィルター:期限切れフィルム(ニュートラル)

■絞りF2.8 1/125秒 アドバンストフィルター:期限切れフィルム(ニュートラル)

話題沸騰の一要因は、アドバンストフィルターの「期限切れフィルム」という名称だろう。筆者もその名称を聞いたときに、大切にとって置き過ぎた期限切れフィルムをしょうがなく使うことはあっても、わざと期限切れにして使うことなんてあり得ないし、エモさに振り切りすぎちゃったんじゃ?と、思ったりもした。

だが、実際にフィルターを使ってみると、とっても楽しい。「期限切れフィルム」はグリーン、レッド、ニュートラルの3種類が選択でき、それぞれちょっとずつ色味が違う。ニュートラルがどんな被写体にも似合いそうなくすみ具合だ。グリーンとレッドの2種類は、フィルムの種類による期限切れ時の色傾向の違いを表しているのだろうか。

このフィルター名称は日本を代表するフィルムメーカーだからこそ名付けられたのだろう。他のカメラメーカーが名付けたら、炎上どころでは済まなそうだ。いっそ、もっと思い切って「冷蔵庫保管5年目の期限切れフィルム」とか、「うっかり常温保管10年選手期限切れフィルム」なんてモードも、アップデートで追加してくれたらさらに面白くなりそうだ。

画像: ■絞りF2.8 1/125秒 アドバンストフィルター:期限切れフィルム(グリーン)

■絞りF2.8 1/125秒 アドバンストフィルター:期限切れフィルム(グリーン)

画像: ■絞りF2.8 1/125秒 アドバンストフィルター:期限切れフィルム(レッド)

■絞りF2.8 1/125秒 アドバンストフィルター:期限切れフィルム(レッド)

疑似フィルムカメラ体験ができる「フィルムカメラモード」

画像1: 疑似フィルムカメラ体験ができる「フィルムカメラモード」

本機には、設定した撮影枚数を撮り終えないと背面液晶で構図を確認しながらの撮影や、撮影した画像を再生できない「フィルムカメラモード」がある。撮影時はファインダーを覗いてシャッターを切るごとにレバーを引いて、フィルムカメラのように撮影するユニークなモードだ。

画像2: 疑似フィルムカメラ体験ができる「フィルムカメラモード」

撮影後は、専用アプリを使って現像を行う。フィルムロールを転送すると、アプリ上でリアルタイムに現像されて行くので、ついつい見入ってしまう。

撮影設定枚数は一番少なくて36枚なので、撮り切るまでは時間と根性が必要。サブ液晶をダブルタップすると、フィルムカメラモードをキャンセルして、通常の撮影モードに戻すことができるが、なんだか負けた気がしてなるべく使いたくない機能だ。ちなみに途中でキャンセルしても、そこまでに撮影した画像はアプリを通して現像、再生は可能。

筆者個人的には、フィルムカメラのようで、でも現像代を気にしないで撮影できるこのモードはかなり気に入ったのだが、今回は作例撮影故に36枚撮り切る前にフィルムシミュレーションを変えたり、フィルターを変えたりしたいシーンが多くあり、じっくり堪能できなかった。予約した自分のカメラが届いたら、改めて撮影したいと思う。

画像: フィルムカメラモードで作成されたコンタクトシート。パーフォレーションの細かい部分まで作り込まれていて感動!

フィルムカメラモードで作成されたコンタクトシート。パーフォレーションの細かい部分まで作り込まれていて感動!

ニコイチを楽しむ「2-in-1」撮影モード

画像: ニコイチを楽しむ「2-in-1」撮影モード

1枚目を撮影した後に、フレーム切り替えレバーを引いて2枚目を撮影すると、左右に画像を配置した組写真のような2-in-1撮影が可能だ。その場で組写真を作るのは運も必要な気がするが、アプリ上でも生成できるので面白い組み合わせを考えて、SNSにアップするのに向いている機能だと思った。

手持ち撮影のテストムービー

画像: ■画像サイズ:Full HD(3:4)1080 x 1440 フレームレート:24p ※サイドの黒枠は編集時に追加

■画像サイズ:Full HD(3:4)1080 x 1440 フレームレート:24p ※サイドの黒枠は編集時に追加

動画の撮影ももちろん可能だ。カメラボディが小さいので、手ブレはかなり気をつけないと厳しい。今回は手持ちで息を殺しながら撮影したが、本気で撮影するならジンバルが必要だろう。

ムービーは、フィルムシミュレーション「PROVIA/スタンダード」、「Velvia/ビビッド」、アドバンストフィルター「期限切れフィルム(グリーン)」、「ライトリーク」の順に繋げて編集してあるので、色味の違いとフィルターを面白さをちらっとご覧いただきたい。

13種類のフィルムシミュレーションと19種類のフィルター搭載

画像: ■絞りF2.8 1/125秒 アドバンストフィルター:ミラー

■絞りF2.8 1/125秒 アドバンストフィルター:ミラー

画像: ■絞りF2.8 1/125秒 アドバンストフィルター:魚眼

■絞りF2.8 1/125秒 アドバンストフィルター:魚眼

フジのカメラにおなじみのフィルムシミュレーションは全部で13種類、期限切れフィルムモードを含むアドバンストフィルターは19種類搭載されており、小さいながら遊びがいのありそうな中身に仕上がっている。

AFがー、背面液晶の見やすさがー、動画の画質がーなどと、利便性と性能にこだわる方には向いていないカメラだが、見せびらかしたくなる遊べる大人のカメラとして、近年では出色の出来だと言わざるを得ないカメラだ。

ぜひ、細かいことにこだわらず、このカメラでしかできないことをして、遊んでいただきたい。

画像: ■絞りF2.8 1/300秒 アドバンストフィルター:ライトリーク

■絞りF2.8 1/300秒 アドバンストフィルター:ライトリーク

画像: ■絞りF2.8 1/80秒 フィルムシミュレーション:ACROS

■絞りF2.8 1/80秒 フィルムシミュレーション:ACROS

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