コシナ フォクトレンダー NOKTON40mmF1.2 Aspherical RF-mount 主な仕様
●焦点距離:35mm判換算40mm
●最短撮影距離:0.3m
●最大撮影倍率:1:4.9
●レンズ構成:6群8枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:10枚
●フィルターサイズ:58mm
●大きさ・重さ:φ70.8×56.4mm・400g
●付属品:フード
RFマウントということで、例によって収差補正は反映されず
同スペックのレンズが既にソニーEマウント、フォクトレンダーVMマウント(ライカMマウント互換)、ニコンZマウント、の3マウントが既に発売されている。例のごとく、本レンズもレンズ構成図こそ同じだけれども、EOS Rシステムに「最適化」すべく再設計された光学系を持つ。
操作性についても、フォーカスリングの回転方向はキヤノン純正と揃えられており、ローレットパターンについてもEOS Rシステムが採用する意匠に準じたダイヤパターンが採用されている。
電子接点を持っているので、対応機種では撮影情報のExif記録対応、3軸のボディ内手ブレ補正、拡大・ピーキング・フォーカスガイド(EOS RPのみ非対応)の3種類のフォーカスアシスト機能が利用可能。 その一方で、カメラボディでの電子補正には対応していない。が、LrCなどで現像する際に補正を適用することは可能だ。
また、カメラ側からの絞り設定は出来ず、レンズ側の絞りリング操作のみとなる点にも注意が必要である。
注意点として、EOS R/RP/R6の3機種では撮影条件によって周辺部にマゼンタ被りが生じる場合があるとアナウンスされている。
「狂気なまでクォリティ」は相変わらず…
既発のNOKTON50mmF1 Aspherical RFと同様に、レンズ外観もRFシステムに最適化されている。具体的にはレンズのローレットパターンがダイヤパターンとなっていて、まるで純正レンズの様な自然なマッチングだ。
このマウント毎に本当の意味で「最適化」する姿勢は、ユーザーとしては嬉しい限りだけれども、一方で収益性や効率という観点では、素人目にも非効率でコストがかかるハズ。それでもやっちゃうその狂気こそがコシナの特色なのだろう。
ということで、いつものコシナらしさが本レンズにも存分に発揮されております。
開放口径F1.2というスペックの割にはコンパクトに出来ており、全長は56.4mm(フード装着状態で約70mm程度)で、単体重量はちょうど400gと比較的コンパクトに仕上がっている。「手のひらセンサー」ではズシリと心地良い重さを感じたが、想像よりも軽いことに驚かされた。
ちなみにRF24-105mm F4-7.1 IS STM(約395g)やRF15-30mm F4.5-6.3 IS STM(約390g)とほぼ同等の重さだ。また、サイズ感で言えばRF24-50mm F4.5-6.3 IS STM(全長58mm)やRF35mm F1.8 MACRO IS STM(全長約63mm/約305g)辺りが近似している。
NOKTON50mmF1 Aspherical RFと同様に、絞りリングにはクリックのオンオフを切り替える機構が搭載されている。
ちなみにコシナの公式Youtubeはこちら
MFレンズゆえ、それなりのEVF採用機を選びましょう
質感と操作感は申し分なく、ピントリングの重さは適切で、絞りリングの感触も心地良し。この瞬間がコシナですね。もはや毎度おなじみなので、このクダリは省いても良いのでは? とすら思っています。
今回組み合わせたボディは1/8000秒以上のシャッター速度が選択できるという理由でEOS R6 MarkⅡを選びました。EOS R6 MarkⅡのEVFは結構良いと思っていますが、このクラスのEVFで体験すると立体感とかも必要以上に分かるので、お部屋の中で弄り回しているだけでも軽く3時間くらいは没頭できます。
そして嫌なことがあったとしても「家にNOKTON40mmF1.2がある」や「今日はNOKTON40mmF1.2を持ってきている」と思えば、心を健全に保つことが出来そうです。
フォーカスアシスト機能は例によってフォーカスガイドを選択しています。気になる人はWebカメラマンで以前紹介しているNOKTON50mmF1 Aspherical RFの記事を参照して下さい。
ちなみに本レンズについてもZマウント版のインプレが公開されています。いま気付きましたが、本レンズはEマウント版やZマウント版よりも重いんだね。
周辺光量はシーンによってガッツリ落ちる場合アリ
Zマウント版と比べると、Z版の方がキレが強い感じです。これはシステムの画作りの違いだと推測していますが、より自然な描写に感じられるRF版の方が写真を眺めていて心地良いように思いました。
描写の傾向そのものは同じ印象で、開放絞りからでも割とシャープでスッキリ系。だけど、撮影距離と絞りの関係によっては収差コントロール出来る余白が残されているので、光を読みつつ絞りとフットワークで描写を操る楽しさがあります。
周辺光量はシーンによってはガッツリ落ちる場合アリ。同一条件でZ版と比較したワケではないので、あくまでも印象論になりますが、Z版よりも光量落ちは目立つ感じ。
もしかしたら、最新の純正レンズしか経験したことない人だと、ちょっとビックリするかも知れません。
公式から注意喚起のあるマゼンタ被りについては、色弱のワタシには正直良く分かりませんが、言われてみればEOS R6 MarkⅡでもシーンによっては僅かに被って見えるような…。
あと電子先幕シャッターで開放絞りからF2.0あたりの絞り設定で撮影すると画像にムラが生じる場合があります。この部分に関してはNOKTON50mmF1のインプレでも触れていますが、キヤノン機で大口径の他社製レンズ使うと露光ムラみたいなのが目立ち易い気がします。
これをもって40㎜画角・究極の一本に認定し〼。
まとめとしては、べらぼーに楽しいレンズです。40mm画角の大口径レンズとしては究極の1本って言っても過言ではないのでは? と。
40mmの雄と言えば、シグマの40mmF1.4 DG HSM Artが挙がります。こちらの描写は、それはそれは素晴らしいけれども、いわずもがなデカくて重い(EFマウント版で脅威の1.2kg+マウントアダプタ)ので、日常使いには不向き。
過去にLマウント版をLUMIX S1で楽しみましたが、写りには感動したけれども積極的に持ち歩きたいとはお世辞にも思えなかった。ということで、諸々含めて常用できるレンズとしては本レンズが究極の1本という感想です。すっげー楽しいし、30万円みたいなトチ狂った価格ではなく、少しの背伸びで手に入ります。
特に、EVFを覗いた世界があまりにも自然な画角なのに、写真の立体感って言えばいいのかな? 大口径レンズを通して見た時のピントの薄さがしっかりと分かる。肉眼とファインダーの境界線上をウロウロする不思議な撮影感触があるところが一番印象的でした。
50mmだと少し写真的な印象が強いのだけれども、40㎜だと丁度良いバランス。35mmはちょっと広いし、EVF上ではそこまで立体的には見えないので、40mmが色々丁度良い感じがします。