コシナ NOKTON40mmF1.2 Aspherical Zマウント 主な仕様
●焦点距離:40mm
●最短撮影距離:0.3m
●最大撮影倍率:1:4.9
●レンズ構成:6群8枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:10枚
●フィルターサイズ:58mm
●大きさ・重さ:φ67.7×53.9mm・315g
●付属品:フード
例によってニコンのお墨付きだから安心!
本レンズもまたニコンとのライセンス契約の下で開発・製造されており、電気通信対応となっているので安心感がある。対応ボディと最新ファームウェアの組み合わせによってボディ内手ブレ補正とExifデータ記録などの機能が動作する。
撮影は絞り優先オートとマニュアルで、絞り操作は実絞りとなる。これからマニュアルレンズデビューする人にとっては少し難しいかも知れないが、露出とピントを自分でコントロールする楽しさを味わう良い機会になると思う。
基本的なスペックはEマウント版とほぼ同等で重量は315g、絞り羽根は10枚、最短撮影距離は30cmとなる。レンズ構成も同一だが、Zシステムに最適化した光学系の調整を行っているという、酔狂の如きコダワリは、昨今の効率化・性能重視のトレンドとは一線を画する情熱的な手法であり、それだけでも購入動機を刺激されるようだ。
ファインダーを覗くと、そこはもう天国!?
手にした感じはこれまでのコシナレンズと同様に、高いクオリティがあり満足度が高い。試用した個体はシリアルナンバーが1番(!)だったこともあり、他のフォトグラファーの薫陶をこれまでにも受けているのか、他のコシナレンズと比べて明らかに操作感が軽く、到着時には少しスレ感のあるピントリングの操作感だった。が、市場に流通する個体はいつものコシナレンズと同じ操作感だと思われる。
ファインダーを覗くと、そこはもう天国。個人的にピッタリ来る画角であるというのが理由の最たるところだが、これが実に気持ち良い。50mmは少し長く、35mmだとちょっとワイド。その間をちょうど埋めてくれるのが40mmだと思っている。
一説には肉眼に近い画角と言われているが、世代差や育った環境はある程度影響しそうだ。ちなみに筆者は昭和50年代後半の生まれで、パンケーキの43mmがどストライクだったこともあり、この40mmも「どストライク」です。
しかもF1.2の大口径なので、EVFからでもピントの薄さが確認でき、まるでOVF機で撮影しているかのような気持ちになる。
これにはもちろんZの覗きやすいEVFが大きな役割を果たしてくれているのだが、このレンズの為に現在進行系でZを買おうと画策するくらいには気持ちの良いレンズだ。
過去にEマウント版をテストしたことがあり、その時も心地良いレンズだとは思った記憶があるが、正直ここまでの感動はなかった。やはり撮影して楽しいボディと組み合わせることで、このレンズの魅力はさらに輝きを増すようだ。
Zボディとのマッチングは…ゆ、許そう。
外観はZボディとマッチしているとは思えない。それでも豊田の美意識で言えば色気も味気もない、効率化最優先のデザインと質感のZレンズと組み合わせたときよりもZが可愛く見えるから不思議なものだ。こういう気持ちにさせてくれる製品とはプライベートでも仲良くしたい。
絞りと撮影距離で描写の変化を楽しめる、いわゆる「絞りが効く」レンズではあるけれど、基本的にはかなり高性能で、絞り開放でも甘さやフリンジなどの収差は少なく、最新の高性能レンズ、例えばZ50mmF1.2Sの描写を好ましく思っている人でもNOKTON40mmF1.2の写りは魅力的に見えるのではないだろうか?
上述の通り、ファインダーを覗くだけでも楽しいので、撮影はもちろんメチャクチャ楽しい。肉眼での距離感と写りの距離感が近いのでピントの薄い世界に直接触れているような、独特の没入感がある。どんな些細なものであってもレンズを向ければそこに新しい世界が誕生するかのようで、捗るのだ。
Eマウント版の記憶と比べて(画素数もエンジンの世代も違うので写真はナシ)本レンズとZ 7Ⅱで撮った写真の方が、より繊細で描写性能そのものが向上しているような印象だ。が、それはZマウントへの最適化も少なからず影響しているだろう。Eマウント版で楽しんでいるユーザーであっても、Zと組み合わせることであらたな表情に触れることができるので、ドキッとしてしまう可能性はありそうだ。
ということで、画角さえ合えば、ズッポリとハマってしまうレンズの代表格だと思います。合う合わないという話はあれど、ZユーザーでMFを厭わないのであれば必携というか、全力でオススメしたい1本です。
画像比較 NOKTON40mmF1.2 Aspherical VS Z40mm f/2
ニコン Z40mm f/2 主な仕様
●焦点距離:40mm
●最短撮影距離:0.29m
●最大撮影倍率:0.17倍
●レンズ構成:4群8枚6
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:52mm
●大きさ・重さ:φ70×45.5mm・約170g
●付属品:-
やっちゃイケないコンセプトの違う2本を比べてみました。比較対象はZ40mmF2です。このレンズは軽量コンパクトが売りで、性能は良いけどお手軽&お手頃ではなかったZレンズラインナップに風穴を開ける存在、というかZの裾野を広げるべくして投入されたレンズ。
全体的にチープだしプラマウントです。その代わり驚異の約170gという軽量がウリ。実販価格も量販店で3万6000円前後(税込)と、価格が右肩上がりのフルサイズミラーレス用の純正レンズとしては福音の如き存在。
まあ、NOKTON買う予算で3本買えちゃうからね、本当は比べてはいけません。クラウンと1/3の価格で買えるヤリスを比べるようなもので、非常に野暮な行為ですが、そこを敢えてやってみましょうとも。
TEST 1 いつものシーン F2.8
いつものシーンで比べた感じだと、Z40mmはZレンズの中では絞りが効くレンズで使って楽しいですが、NOKTONと比べると周辺部のボケ方が汚い感じ。あと同じ絞り値でもNOKTONの方がボケが少し大きく見えました。
TEST 2 逆光耐性 F11
逆光耐性についてはほぼ互角。強いて言えばZ40mmの方がクリアな感じで、NOKTONの方がフレア感がありますが、誤差というか好み次第。どちらのレンズも絞り込んだ方がフレア・ゴーストが目立つ感じでした。個人的にはどちらも好きなフレアの出方をするので、とてもいい感じです。
TEST 3 最短撮影距離&絞り開放
最後は最短撮影距離付近でのボケ感です。撮影距離はレンズ先端から約30cm弱。撮影倍率がNOKTONの方が大きいので、実際にNOKTONのカットの方が少し大きく写っています。Z40mmは少しウルサイ感じがしますが、お値段考えるととてもバランスが良いね。
少し滲んでいるところがZとしては新鮮です。NOKTONはまだ1段以上余裕があるので、表現力で勝っています。
こういうシーンだとZのAFは役に立たないので、至近端での使い勝手としてはイーブン。
ということで、お値段が3倍するからNOKTONの写りが3倍良いということもなければ、Z40mmの写りが半分以下ということもありません。Z40mmの良さは気軽にいつでもどこでも持っていけるレンズであるところ。その代わり情熱に訴えかけてくるような、撮影する喜びに溢れたレンズではないけど、十分に楽しい1本。
NOKTONは兎に角ひたすらに楽しい。その代わり手間かかるのと価格が高い。どちらも方向性が違うので、肌に馴染む方を選ぶのが良いと思います。
Z40mmに対する不満は、プラマウントであるせいか、ホコリを寄せやすいです。静電気かな? 帯電防止とかしてあると思いますが、NOKTONと比べて明らかにマウント部にホコリが付きやすく感じました。