裏面センサー、AIプロセッサーなど、当然と言えば当然の「大幅進化」。
本年7月28日に発売されたソニーのAPS-Cミラーレス機「α6700」。本機は2019年11月に登場したα6600の後継機となる。最近はVlogカムの活躍ばかりが目立った同社のAPS-C機だが、満を持してついに「真打ち」が登場した?
これまでα6000番台シリーズは、2014年登場のα6000から外観デザインをほぼ踏襲していたが、今回ようやく刷新。背面液晶がチルトタイプからバリアングルタイプに変更されたことと関係しているのか、メディアスロットはバッテリー室との同居から独立し、カメラ左側面に移動した。
この辺りの雰囲気はフルサイズ機のα7Cと似ている。操作性についても、外観の刷新に伴って変更されている。
たとえばグリップはより大型となり、メディアスロットはカメラ左側面に移動しただけでなく、UHS-Ⅱ対応となった。α6600はバッファの多さにかまけて大量に撮影してしまうと書き込みにかなり待たされたので、順当とは言えこの点が改善されたことはとても良い。
撮像センサーと画像処理エンジンについても世代を跨ぐ進化となり、裏面照射となる最新の有効約2600万画素の“Exmor R CMOS”と最新の“BIONZ XR”の組み合わせとなる。
エンジンの処理性能は何と性能比較をしているかは不明だが、従来機から約8倍高速であることがアピールされている。
さらにα7R Vなどと同じAIプロセッシングユニットを搭載しているので、AIによる高度な被写体認識AF(人物・動物・鳥・昆虫・車/列車・飛行機の検出に対応している)を楽しむことができるようになった。
グリップ、EVFも改善。が、ボタン類の質感は…まだまだ不満。
手にした印象は、特にグリップ形状が変わったことが好印象だ。筆者は手のサイズが大きい(手袋はLL)ため、グリップ形状にはかなり「ワガママ」。しかし、一連のαシリーズで最も手に馴染んだのには驚かされた。また従来機になかった前ダイヤルが装備され、フルサイズαと混在でも違和感がないのは歓迎したい。
EVFも期待よりは覗き心地が良く実用的だ。正直、α7Cのような覗き心地であったらどうしようか? と危惧していたので…。
気になったのは、電源スイッチのノブの位置が変わったことにどうしても慣れることができなかったこと。さらにMENUボタンが押しにくいこと。同じく静止画/動画/S&Qモード切り替えダイヤルの操作性。特に最後のモード切り替えダイヤルはギシギシと質感が悪いので「22万(ソニーストア価格)するカメラなのに、コレで良いんかい?」とちょっぴり萎えました。
圧巻のAF性能。X-T5が急速に霞んできましたー。
今回組み合わせたレンズはキットのE18-135mmF3.5-5.6 OSS。
撮影しての印象は「AFとAE/AWBがかなり賢い」でした。特にワイドエリア(いわゆるオートエリア)では、意図しないところにAFする機会はほとんど無く、画角内の距離情報を上手く捉えることができていると感心させられた。
仮に被写体をロストしたり、上手く見つけられなかったりしても、いたずらに至近端にサーチしに行く機会が少なく、総じてAF時間がとても短いことが印象的。AFが迷いにくいことを体感できるってのはスゴイことだと思う。
トラッキングAFについても、某社のカメラのようにビックリするような暴れ方をしない、とても信頼できるのもであった。
本当は「昆虫認識AF」をテストをしたかったのだが、撮影日があまりの高温でということで虫などは見当たらず…。ということで鉄道模型でAFのテストを軽くやってみた。
結果は、多少暗かろうが何の苦もなく撮れるので「やはり(フジ)X-T5とは次元が違うな」というのが正直な感想。X-T5もかなり良いのだが…。
飛行機の検出についても同様で、AF枠表示の最小サイズに対して対角でちょうど収まるサイズであれば正確に飛行機を検出することができた。しかも精度も良い。良い意味で目眩のする性能に達していると感じた。