ニコンから発売されたDXフォーマットの単焦点レンズ「NIKKOR Z DX 24mm f/1.7」は、明るい開放F値1.7を有しながらも小型・軽量化に成功しているコスパのいいレンズです。今回は、本レンズとNikon Z 30の組み合わせで、北海道の旅スナップとショートムービーでレビューいたします。

動画撮影レンズとしての素養は?

画像: ※撮影共通データ ■ニコン Z 30 WB:オート ■絞りF1.7 1/200秒 ISO500 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード

※撮影共通データ ■ニコン Z 30 WB:オート
■絞りF1.7 1/200秒 ISO500 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード

ニコンの公式サイトでは、他のレンズよりも噛み砕いた説明が多く見られました。これはキットレンズを卒業して最初の単焦点レンズとして購入する、あるいはスマホやオールドコンデジからステップアップして、本格的に写真を始めたいと思っている層にアプローチしたいのかなと思いました。

そうなると、この開放F値を活かしたふんわりとした大きなボケと、点光源の玉ボケは重要視したいところでしょう。
ボケの描写は、シャープ寄りのレンズが多い最近の流行りから大きく逸脱してとても柔らかいです。筆者はカリカリよりもふんわりが好みなので、このナチュラルな優しいボケ味には好印象を持ちました。

点光源のボケは、価格に比例してグラデーション少なめの平面的なボケです。が、絞り開放でも画面の隅々まで丸みのある形を保っており、性能の高さに驚かされました。

画像: NIKKOR Z DX 24mm f/1.7 ショートムービー ■使用アクセサリー:KANI ND2-64 Valiable + CPL youtu.be

NIKKOR Z DX 24mm f/1.7 ショートムービー ■使用アクセサリー:KANI ND2-64 Valiable + CPL

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ここでの動画はすべて手持ちで撮影しています。電子手ブレ補正を使用したいのと、編集時にスローモーションにしたかったので、1920×1080:60pで撮影して1920×1080:24pで書き出しています。最終的にはスローモーションと倍速、100%通常速度を併用して仕上げました。

絞りはジャンプ場ではF8からF11、ラベンダーやウイスキー工場のシーンでは開放のF1.7で撮影。明るいシーンでは、部分的に可変式のNDフィルターを使用しています。
開放でも絞っても大きく描写が変わらない、動画では使いやすいレンズだと感じました。ですが、AFの駆動音は結構大きくて、AF使用時やフォーカスを移動しながらの同録は厳しいですね。

動画の最後に、ピントを移動させて最後にアウトフォーカスにしたシーンを入れました。AF性能が高いので、動きものでなければ動画撮影時でも素早くピントが合います。あまりにも素早いので、ここでは動画編集時にスローモーションにして、フォーカスブリージングがわかるようにしてみました。F1.7の浅い被写界深度のせいもありますが、フォーカスブリージングも少々目立ちます。

少々辛口の評価となってしまいましたが、これは購買ターゲットが近いであろう「NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VR」のAF駆動音の小ささと、フォーカスブリージングの自然さが筆者の印象に強く残っていたためです。

小型軽量、そして…寄れる!

画像: ■絞りF1.7 1/640秒 ISO100 WB:自然光オート ※ピクチャーコントロール:風景

■絞りF1.7 1/640秒 ISO100 WB:自然光オート ※ピクチャーコントロール:風景

ボケが気になる勢としては、前ボケの描写も重要ですね。茎のような細かい被写体は多少煩さを感じる描写ですが、花の部分の柔らかいボケの描写は素直に綺麗だと感じました。とろけるような細かいグラデーションで前をボカしたいなら、本レンズの10倍以上の価格帯のレンズを使いましょう。

画像: ■絞りF8 1/100秒 ISO100 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード

■絞りF8 1/100秒 ISO100 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード

本レンズは最大径約70mm×40mm、重さ約135gと、とても小さくて軽いのがメリットのひとつ。安価なレンズにありがちなレンズフード別売りではなく、付属しているのもいい点ですね。レンズフードは内側にすぼまるような形で、慣れるまでは不思議な形状に心がざわざわしました。

画像: ■絞りF1.7 1/100秒 ISO100 WB:自然光オート ※ピクチャーコントロール:風景

■絞りF1.7 1/100秒 ISO100 WB:自然光オート ※ピクチャーコントロール:風景

最短撮影距離は18cmとかなり寄れるので、マイクロレンズ好きな筆者としては、撮りたい被写体にぐっと近付けて楽しかったです。葉のフチというニッチな場所にピントを合わせる際も、タッチAFでフォーカスポイントを任意の位置に決めてシャッターボタンを半押しすれば(少し風のある状態で被写体が揺れていましたが)、それほど苦労なくピント合わせが行えました。

画像: ■絞りF1.7 1/250秒 ISO320 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード

■絞りF1.7 1/250秒 ISO320 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード 

季節柄、明るい被写体にレンズを向けがちですが、アンダー部のグラデーションがしっかり出るので、雨上がりのしっとりとしたムードの撮影も楽しめました。そう、楽しいんですよ、このレンズ。35mm判換算で36mm相当と、望遠画角好きの筆者にしては範疇外な本レンズだったのですが、撮っていてとにかく楽しい!

大きくボカせるし、明るくふんわりできるし、アンダー部もコントラストが高いからベタッとしないし、ピント面はしっかりシャープだから眠い画にならないし、小さくて軽いし……。

画像: ■絞りF1.7 1/320秒 ISO100 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード

■絞りF1.7 1/320秒 ISO100 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード

この撮影日は、いきなり雷を伴う大雨が降ってきて大変でした。さすがに大荒れの時間帯は雨宿りをして過ごしましたが、小降りになってきた時点で撮影再開。防塵・防滴設計なのもGOODポイントです。

画像: ■絞りF1.7 1/160秒 ISO1000 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード

■絞りF1.7 1/160秒 ISO1000 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード

画像: ■絞りF1.7 1/640秒 ISO100 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード

■絞りF1.7 1/640秒 ISO100 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:スタンダード 

柔らかい色彩のテーブルフォトと、鉄分高めのダークな色合いのスナップの両方を楽しめるのは、ボケの描写はナチュラルながら優しく淡く、ピント面はどんなに浅い被写界深度でも質感をしっかりと描き出す描写能力があるからでしょう。

画像: ■絞りF1.7 1/1250秒 ISO100 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:ポートレート

■絞りF1.7 1/1250秒 ISO100 WB:5200K ※ピクチャーコントロール:ポートレート

変な癖がない自然な描写の本レンズは、その特徴的な明るい開放F値のお陰で、ファインダーを覗いた途端に撮影が楽しくなります。今までNikon Z 30のキットレンズしか使っていなかった方は、本レンズを購入すると別次元に行けますよ!

逆に、すでに色々なレンズをまわってレンズジプシーになっている方、重い機材に疲れている方は、本レンズを使うと撮影を始めた頃のような新鮮な気持ちになれるでしょう。

NIKKOR Z DX 24mm f/1.7 主な仕様

●焦点距離:35mm判換算36mm相当
●最短撮影距離:0.18m
●最大撮影倍率:0.19倍
●レンズ構成:8群9枚
●最小絞り:F11
●絞り羽枚数:7枚
●フィルターサイズ:46mm
●大きさ・重さ:φ約70×40mm・約135g
●付属品:フード 

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