EOS R10をさらにシンプル=かんたんキレイに。
先に登場したEOS R10との違いは、主に操作性。R10は2ダイヤルでサブ電子ダイヤルとマルチコントローラーを持ち、ボディ前面にフォーカスモードスイッチを持つなど、小型ボディにミドルクラスの操作性を詰め込んだモデルとなっていますが、R50は1ダイヤルとなり、エントリー向けに簡単に扱えるように構成されています。
EVFのドット数は同一の約236万ドットながら背面モニターはR50が162万ドットと、より高精細なパネルが採用されているのは興味深いポイント。ちなみにボディ内手ブレ補正はどちらも持っていません。
AFシステムは非常に強力で、エントリークラスながら上位モデルと同等の被写体認識AFを持っており、人物(瞳/頭/頭部/胴体)と動物(犬/猫/鳥)、乗り物(車/バイク)にも対応するなど本気の性能です。
本機で最も驚かされたのが、EOS KissM2よりも小型なこと。本機はより小径なEF-M(φ47㎜)ではなく大径なRFマウント(φ54㎜)を採用しているのにも関わらず、です。キヤノンの開発陣の意地と矜持を感じさせられました。
また新たな試みとしてアドバンスA+とクリエイティブブラケットが追加され、より簡単キレイの性能を高めています。
RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM 主な仕様
●焦点距離:88-336mm(35mm判換算)
●最短撮影距離:0.3m(W)/0.35m(T)
●最大撮影倍率:8群11枚
●最小絞り:F22(W)-32(T)
●絞り羽枚数:7枚
●フィルターサイズ:55mm
●大きさ・重さ:φ69.0×92.9mm・約270g
●付属品:-
今回、EOS R50と同時に発表されたのがRF-S55-210mm F5-7.1 IS STM。小振りな太巻きサイズは、これまでRF-S用の望遠レンズはありませんでしたので、本レンズの登場でエントリー向けのEOS Rシステムが完成した、と見ることが出来そうです。
驚異的なフルオート性能。まさに「押すだけ」で解決!?
今回試用したのはホワイトボディ。非常に小型ではありますが、ホールド性が良く、カメラを振り回しても手から滑り落ちることはなさそうですし、撮影中に手が触れるすべての面が面取りしてあり、肌当たりが柔らかいところも注目してほしいポイントです。こうした非常に細やかな配慮をしているのはキヤノンだけの特徴でもあります。
撮影してまず感じるのが高いAF性能。全域AFでも撮影者の意図どおりにAFしてくれると感じられる制御で大変に快適でした。撮影シーンを問わず安定して高速かつ正確にAFしてくれるので信頼性も非常に高く安心してカメラ任せにできそうです。
被写体認識についても強力で、何気なく鳥にレンズを向ければパッとAF枠が追従する様子は感動的でした。現状で突出した被写体認識性能をキヤノン機は持っています。
新機能のアドバンスA+については、筆者が試した限りのシーンでは自動で電子シャッターになることと、撮影後に必ず処理時間が発生することもあり、発展途上の感が強かったことと撮影リズムが掴みにくく、積極的に試そうという気持ちにはなりませんでした。
新レンズのRF-S55-210mmとR50を組み合わると約600g少々と、望遠レンズを付けているとは思えない驚異の軽さ。重量バランスも良く、レンズ側のISで手ブレを気にすることフレーミングも安定して撮影できました。
このレンズは写りも良く、特に遠景側では「このサイズのレンズがこんなに写るの!?」という驚きがあります。接写性もよく最短でレンズ先端から50cm程度まで寄れるというのも魅力。このクラスの望遠ズームとしてはニコンZ50-250mmが最良の望遠ズームだと思っている筆者ではありますが、甲乙付けがたい光学性能に感心しました。
さらに言えば強力なAFシステムを持つEOS Rシリーズには大きなアドバンテージがあります。開放F値が暗いのでISO感度はガンガン上がる傾向とはなりますが、単焦点レンズで運用しつつ、ちょっと望遠が欲しい時の懐刀としてそっと忍ばせるレンズとしても良さそうです。
「撮影者の矜持=操作性」を残しておきたいならEOS R10。
画質性能的に特徴的なものはありませんが、突出したAF性能と簡単操作によって、「簡単キレイ」は次のステップへと進み他社をリードしています。つまりビギナーにオススメ出来る唯一のカメラです。またEOS R50はエントリー機だからと言って撮影性能的に我慢している部分はなく、被写体認識AFが強力に撮影をサポートしてくれるので写真の腕が上達したかのような気持ちになれるところもGood。
筆者個人としては、より積極的に操作できるEOS R10の方がオススメですが、EOSR50のこのサイズ感とホワイトボディの可愛らしさはどうにも魅力的。またRF-S18-45mmのシルバーカラーはEOS R50のレンズキットでしか手に入らないという悩ましさがあります。