シグマ 18-50mmF2.8 DC DN | Contemporary Xマウント 主な仕様
●焦点距離:35mm判換算27-75mm相当
●最短撮影距離:12.1(W)/30(T)cm
●最大撮影倍率:1:2.8(W)/1:5(T)
●レンズ構成:10群13枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:7枚
●フィルターサイズ:55mm
●大きさ・重さ:φ61.6×76.8mm・285g
●付属品:フード
◆F2.8通しながらも驚異のディメンション!
開放F2.8通しの標準ズームとしては異例の小型軽量サイズで驚かされた人も多いだろう。というのも、Eマウント版では驚異の290gだったからだ。今回紹介するXマウント版ではさらに軽い、狂気の285gというからお手上げですね。
この数値はフジユーザーではお馴染みのXF18-55mmF2.8-4.0 R LM OISの310gよりもさらに軽い。
純正レンズのメリットとしては光学手ブレ補正を搭載しているので、組み合わせるボディを選ばず手ブレ補正の恩恵を受けることができること。
がしかし、X-S10やX-T5などのIBIS(ボディ内手ブレ補正)を持つ機種であれば、このシグマレンズの方が優位となるはず。しかも接写性が高くワイド端では約0.35倍、テレ端で約0.2倍と撮影領域が広い。純正レンズは最大倍率が0.15倍とマクロ性能がイマイチですから。
Xマウント版のサードパーティ製ズームレンズといえば、ますはタムロン。写りは良いけれど歪曲補正と周辺光量補正の最適化が甘かったことから「やはりXマウント版は難しいのか?」と思っていたが、本レンズでは杞憂でした。焦点距離・撮影距離を問わずほぼ完璧に補正が働きます。
レンズのビルドクオリティはシグマのコンテンポラリーラインのそれ。と言っても純正レンズより質感は高いように思うのは私だけか? ただしズームの操作感はスムースだけど高級感という感じはあまりない。もちろん、お値段以上ではありますが…。
ボディとのマッチングも問題なし。シグマのポテンシャル高し!
写りは至近端以外は基本的にシャープ。至近端以外では絞りによる描写変化はあまりないタイプのイマドキの優等生レンズです。絞り開放で周辺部には少しフリンジが出るかなぁ、という程度だが、そもそも価格とスペックからしてそこまで求めるのは酷というかお門違いでしょう。
一応言っておきますが、周辺部は特にワイド側・遠景シーンではF4.0でも甘い感じ。しかし80cmを切るシーンだとシッカリしていたので、得意な領域をシッカリと持ったコンセプトで設計されているレンズなのでしょう。普段使いで明るくて高性能なコンパクトズームを、っていう狙いで設計されていると思うので、そういう使い方すると最高に気持ちがいいですよ。
今回の試用期間中はX-H2SとX-H2、さらにX-T5とX-Pro2に組み合わせてみましたが、ヘンテコな動作もなく、ほぼ純正レンズの使用感で使えたことに心底感心。もちろんX-H2世代でのトラッキングAFも全く問題ありませんでした。
サードパーティレンズはどうしてもファームウェアの完成度で印象が大きく左右されてしまう傾向にある。動作が不安定だと「やっぱり純正じゃないから」というネガティブな印象になるし、さらに撮影中に不具合あると信用できない、となるからね。
ここは歪曲補正しかり、AFやIBIS、AE/AWBに対して悪さしないファームの完成度を実現したシグマ開発陣の仕事っぷりは本当にお見事です。
フォーカスブリージングも非常に軽微。というか私の感覚だと気付かないくらいによく抑えられていたので、動画での使用も問題ナシ。この辺はシグマの巧みな戦略を感じました。
見事なバランスは日常使いで威力を発揮するハズ
ウットリするような写りではないものの、ソツなく不満なく写るし接写性も高くて解像感も高め。それでいてF2.8通しの軽量コンパクトなズームレンズっていうワガママ放題を叶えたこのレンズの登場に、フジ以外のメーカーもビビってると思う。
性能特化で写りが立派だけどサイズとお値段も立派すぎるレンズが増えているが、それで嬉しいのって一部の人だけでは? と思うことが多いので、こうした日常使いできるバランスの良いレンズの登場はとても嬉しい。
レンズを買う動機として明文化しやすいのは画質の良さなのだが、実際に運用するとなると、画質性能とは異なるベクトルの性能も非常に大切になってきます。
加えて、写真道楽を長く続けようと思うと「お小遣いや少しの背伸びで手に入るレンズやシステムがある」という点が非常に大事。何かを我慢しなければ続けられない趣味は、経験上続かないからね。
総じて好印象しかないレンズ。しかも手の届く価格帯にあって、F2.8通しでコンパクト。写真ファンに優しい1本として手放しで推奨できる。特にX-T5との組み合わせが最高で、X-T5のキットレンズは本レンズにすれば良いのに、と真剣に思いました。
純正にはない魅力に溢れていますな
一応ですが、F2.8に絡む純正レンズを持っている、もしくは検討している人に向けて。
本レンズはXF18-55mmF2.8-4.0 R LM OIS持ってる、もしくは検討している人がチョイスするのにピッタリです。より軽量で、開放F値の変動も無く、接写性が高いので、純正レンズの上位互換的な立ち位置にあります。
X-T5に組み合わせるレンズを探している人にもベストマッチ。もちろんX-T4やX-S10でもGoodだね。
XF16-55mmF2.8 R LM(赤バッジ)持ってる人だと、シグマレンズの魅力はサイズってことになります。赤バッジの方がAF-C時のピント精度がちょっと上だし、豊田の眼には写りも良いと思いました。
拡大して解像感だけ比べるような観察方法だとそれほどは違わないけど、1枚の写真として比べるとやっぱり赤バッジが良いと思いました。なので、赤バッジ持ってる人が買い換えるのはちょっと役不足な気がします。だけど日常使いしたくて赤バッジのサイズがちょっと億劫になっているなら検討するのがオススメ。
タムロンに17-70mmF2.8があります。写りは正直タムロンの方がが良いと思うけれど、使い勝手が悪いので自分ならシグマか純正赤バッジを買うでしょう。