キヤノンの新世代APS-Cミラーレス2台が登場…って、もうとっくに出てるじゃん!…とゆー皆さん、コンニチハ(-_-) 先の『間違いだらけレンズ選び! 2022』(7月21日発売)にて、速報でデモ機での軽いインプレをお届けしましたが、製品版の実写インプレはチト時間がかかりまして…(^_^;)
ま、編集部・モリタがムック制作にかまけてサボっていただけですが、ビッグネームの2台、しっかり豊田くんに製品版インプレをして頂きましたよ〜! …ってなわけで、いつものトヨ魂とはチト違うテイストでお届けいたします♪
まずは新機種2台のオサライから♪
APS-CフォーマットのミラーレスEOSにはEOS Mシリーズが既に存在しているが、新世代となるEOS RシリーズのAPS-Cミラーレスカメラが2台登場した。
ひとつはEOS R7。画素数はEOS 90DやEOS M6 Mark IIなどと同じ約32.5MPだが、新開発となるCMOSセンサーと映像エンジン「DIGIC X」を組み合わせ、電子シャッターで最高30コマ/秒のAE/AF追従撮影が可能。メカシャッターではEOS Rシリーズ最速となる最高約15コマ/秒&最高シャッター速度1/8000秒という俊足を誇る。
フルサイズのEOS R3やR5/6シリーズと同等のボディ内手ブレ補正とレンズISの協調制御で最大約8.0段の補正効果を達成しており、EOS 7Dと同じ「7」を冠するモデルの新世代機であることを強くアピールしている。
キヤノン EOS R7
■発売日:2022年6月23日
■価格:実売19万7780円(ボディ)/ 24万6180円(RF-S 18-150mmキット)
■大きさ:約132.0×90.4×91.7mm
■重さ:約612g
●APS-Cサイズ●約3250万画素●キヤノンRFマウント●ISO100~32000(※拡張ISO51200)●約30コマ/秒(電子)●0.39型OLED EVF 約236万ドット●3.0型 約162万ドット●バリアングル タッチパネル●SDXC(UHS-II対応) デュアル
もう一台はEOS R10。EOS Rシリーズ最少最軽量となる約429gのコンパクトボディを持つエントリー機だ。イメージ的にはKissシリーズに相当しそうではあるけれど、Kissの名はつかないので、今後さらに「簡単キレイ」なミラーレス機が登場する可能性はある。
R7との主な違いは、センサーが新開発の約24.2MPということ、ボディ内手ブレ補正を持たないこと、サブ電子ダイヤルを持たないこと、電子シャッター時は最高約23コマ/秒であること。また、動画記録がクロップ時にのみ4K60pとなり、クロップなしでは4K30pとなるほか、メモリーカードスロットもR7はデュアル(UHS-Ⅱ対応)で、R10はシングル(UHS-Ⅱ対応)ということなど。
R7と比べて少しずつ控え目となっているが、実用十分な性能であることに違いはなく、ミドルクラスの操作性を持っているので、踏み込んだ撮影にも応えてくれそうだ。因みに、どちらの機種でもRAWバーストモードの利用ができるのは嬉しいところ。
なお今回、R7とR10に合わせてAPS-Cフォーマット用(RF-S)の2本のズームレンズも登場した。こちらも併せて、実写レビューで使用感などを報告したい。
キヤノン EOS R10
■発売日:2022年7月28日
■価格:実売12万8480円(ボディ)/14万3880円(RF-S 18-45mmキット)/17万6880円(RF-S 18-150mmキット)
■大きさ:約122.5×87.8×83.4mm
■重さ:約429g
●APS-Cサイズ●約2420万画素●キヤノンRFマウント●ISO100~32000(※拡張ISO51200)●約23コマ/秒(電子)●0.39型OLED EVF 約236万ドット●3.0型 約104万ドット●バリアングル タッチパネル●SDXC(UHS-II対応) シングル
RF-S18-150mmとのコンビでAF、画質とも上々のEOS R7
では、まずはR7の実写インプレから。ボディ単体で約20万円(税込)という、APS-C機としては堂々たるプライスタグを掲げ、7Dシリーズの後継機であることアピールしているR7。だが、第一印象は少し物足りない。価格に対してスペックは十分以上のものがあるが、質感が全く見合っていないのだ。このあたり、7D Mark IIユーザーが本機に触れた場合にガッカリするポイントのひとつだろう。しかし、その一方で防塵防滴構造などは高いレベルになっているという。
実際に手にしてみると、グリップの感触は悪くなく、剛性感も申し分ない。EOSらしい操作性の良さとシリーズを通して一貫した操作デザインを踏襲しているので、EOSを使ったことがある人であれば迷うことなく操作できるだろう。マルチコントローラーと一体化されたサブ電子ダイヤルは親指側に傾斜して設置されており、指のアクセスが良い。
236万ドットのEVFは、スペック的には物足りなさを感じていたが、実際には覗き心地が良く精細感についても不満は全くない。起動直後の表示安定性や、アイセンサーの反応も良く、一眼レフに近い感覚で撮影ができる。縦位置グリップは用意されないが、バッテリーも兄貴分のR5/6と共通というのもいい。
デモ機の好印象を裏切らない製品版
製品版前ファームのデモ機状態でも印象は良かったが、その後、製品版で実写した感想は非常に好感触。簡単に言えば「出し惜しみを感じさせない良機」だ。
APS-CのEOSといえばDSLR時代だけでなく、EOS Mシリーズでもピント精度に泣かされたものだが、その不満は完全に払拭された。少なくともEOS R5/6と比べてAFが劣っているとは微塵とも思わず、AFは非常に高いレベルにある。水槽の魚を狙ってみたが、苦もなく瞳認識をし続けていたし、その掴みも良かった。マルチコントローラーの反応も良かったが、AIサーボでAFをトラッキングさせて撮った方が快適だった。
描写はキットレンズのRF-S18-150mmの実力が高いのか、上々の仕上がり。AF性能が良いのはもちろん、画質的にも「どうせ便利ズームだろう…」と高を括っていたのが良い意味で裏切られた。AE/AWBの精度も良く、キヤノンらしい中庸さで扱いやすい。正直に言えば、EOS 90DやM6 Mark IIなどのAPS-C32.5MPセンサー機の画質に良いイメージを持っていなかったこともあり、驚かされた部分のひとつ。RF-Sレンズが今後どのようなレンズ展開をするのかも含めて、とても楽しみだ。
APS-Cエントリーミラーレス機でベストな1台・EOS R10
一方、EOS R10はAPS-Cミラーレス機のミドルクラス以下で屈指の魅力を持った1台と感じた。小さいのにグリップが良く、EVFのレスポンスにも不満が無いだけでなく、R7同様にAF性能が素晴らしく、ローエンドに留めておくにはもったいないレベル。高感度画質についても筆者の目にはR7より美しく見えた。「現状の印象で」という注釈付きにはなるが、感覚的には1.5段程度はR10の方が優れているように感じた。解像感についても24MPクラスのAPS-C EOSではベストだろう。
APS-Cのエントリークラスといえば、ファインダーが小さい点が不満だが、バランスの良い倍率で、パッと見で全体を確認しやすく満足度は高い。R10は価格なり(ボディ単体で税込み約13万円)の質感となるが、R7よりもお得感を強く感じた。ボディ内手ブレ補正がないことについては、キットレンズのRF-S18-150mmとの組み合わせにおいては特に不満を感じることはなかった。
…と、好意的な印象が支配的なR10ではあるが、不満点が無い訳ではない。というのも、Kiss M2にはあったバッテリー蓋のスプリングがR10ではなくなっている。EOS Rシリーズのローエンドであるとはいえ、販売価格はそれなりにする製品なので、コストダウンを感じる部分が多いのは正直残念だ。カメラの性能は申し分ないが、愛せるかどうか?については、あまり考慮されていないと感じるのはいささか寂しく感じてしまった。
また、キットレンズRF-S18-45mmの画質がイマイチなところも不満点のひとつ。コンパクトではあるが、撮影距離が1m未満では周辺画質が結構気になる。スマホ感覚で撮影すると、ちょっとビックリしそうである。画質にコダワルなら18-150mmとのキットを選びたい。
APS-ミラーレスの新星2台をジャッジすると…!?
総じてEOS R7&10とも、デモ機での好印象は製品版でも概ね変わらなかった。筆者はフジXシリーズユーザーではあるが、APS-Cフォーマットのミラーレスに非常に心惹かれるカメラが登場したことを喜ばしく思う。
使い勝手に関わる部分の作りが良く、特に操作性の良さとAF性能が素晴らしい。「簡単キレイ」のレベルが全てのメーカー含めて頭1つ抜けているのだ。
ハイアマチュアにとっては、カメラを操る面白さといった趣味性の高い部分については、ボディの質感も含めて注目すべきところはないが、それはソレ。コンセプトが違うとポジティブに受け取ることができる。実質、EOS Mシリーズがレンズを含めてなくなりつつある中、一眼レフのEOS Kissシリーズに置き換わる形で進化していく新シリーズを歓迎したい。