NIKKOR Z28-75mm f/2.8 主な仕様
●焦点距離:28-75mm
●最短撮影距離:0.19m(28ミリ時)/0.39m(75ミリ時)
●最大撮影倍率:0.34倍
●レンズ構成:12群15枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:9枚(円形絞り)
●フィルターサイズ:φ67mm
●大きさ・重さ:φ約75×120.5mm・約565g
●付属品:花形フード/ケース
スナップや常用に便利なコンパクト仕様
すでに新製品情報は出回っているので細かなスペックを並べることは避けるが、まずはこのクラスのポイントから。
この28-75mmという標準ズームは、タムロンがソニーEマウント用に発売しヒットしたクラス。
つまり24mmスタートが多い中、あえて28mmに抑えることでコンパクトかつF2.8通しという大口径を実現している。そこにニコンが純正Zレンズとして切り込んできた。事実タムロンの28-75mmをうらやんだユーザーも多く、純正がここを埋めてきたことの意味は大きい。
まず手にして思うのはやはりコンパクトで軽い!ということだ。もちろんそれはタムロンを使ったことがある人には既視感のあるものだが、「フルサイズ用大口径レンズは大きくて当たり前」であったこれまでの流れが変わったことをあらためて感じさせられる。
実際、持ち歩いてのスナップでは取り回しも良い。今回は大柄ボディのニコンZ 9で使用したが、それでも十分スナップしやすいものであった。もちろんスナップベースであればZ 7/Z 6の方がバランスはより良いだろう。
最短撮影距離も短く、日常を撮るという意味では困ることはない。そういう意味で日常のほとんどのシーンをこの1本でまかなえる便利レンズといえる。
正直に言えばもうちょっと広角、もうちょっと望遠というシーンもないわけではない。が、それらの要望を取り入れることでこのサイズ感を壊してしまうことを考えれば やはりバランスのいいところといえるだろう。
描写力=やや甘さもあるが合格点
さて気になる画質だが、まずテレ端/ワイド端でのシャープネスを見てみると、どちら側も中央、そしてそこから中間辺りまでのシャープネスは高い。
そして周辺部になると、テレ端とワイド端で表情が変わり、ワイド端は中央よりは当然シャープネスが落ちるが、その度合いは少なめ。テレ端は周辺部は甘くなる。
APS-Cサイズ程度の範囲であれば十分に高画質といえるが、それより外のエリアは甘くなるのだ。全体カットの右下部分を抜き出したカットも並べてあるが、テレ端の方はエッジの分離が悪くなり、またフリンジもわずかに出始めている。
ただポヤポヤになるわけではなく、コンパクトさをアピールしているレンズとしては合格点だろう。高画質を求めれば、当然ながら大柄なレンズになってしまうのだから。ちなみにフリンジはワイド端もSPS-Cエリアより外側はうっすらと発生しかけている。
逆光耐性=ゴーストは少な目も、太陽周辺の写りは独特
ワイド端
テレ端
逆光に関しては太陽をダイレクトに入れながら(掲載カット以外も含めて大量に)撮って試しているが、中央からちょっとでも太陽が外れると小さいがしっかりとしたゴーストが発生。
そこからもう外側に移動させ、APS-Cサイズのフレーム辺りに太陽を置くと一番発生が少なく、それより外側に置くと外側に向かって薄いゴーストが連なる。
またこれは前回レビューした100-400mmと同様だが、ピーカンの日の太陽をアンダーめに撮っても太陽の輪郭周辺は霞んで写る。これはボディに由来するものと思われる。シャープネスチェックのワイド端のカットにも太陽が写っているが、やはり太陽の周りの写りは独特なものだ。
ボディ内補正を使わなければ周辺光量はそれなりに落ちる。中央からジワジワというよりは、これもAPS-Cエリア外で急激に落ち込むタイプだ。もちろんこの辺りはデジタル補正でカバーできる。
まとめ バランズは絶妙も、ライバル同時発売されたアイツ?
さて、今回も細々と気になる点を並べてみたが、F2.8の大口径通し、軽量・コンパクト、価格も特別高額ではない、などの全体のバランスを見れば良くまとまっているレンズといえる。
欲を言い出せばそれなりに挙がるのは確かだが、そこをあえて抑えることでこのバランスを実現しているのだと捉えれば納得ができるモノだろう。そこにうまくハマる人にはこの上ないバランスのレンズとなる。
最終的に、同時発売のZ24-120mmとどちらを選ぶかといわれれば、筆者はZ24-120mmを選ぶだろう。その辺はまたZ24-120mmのレビューでお伝えしよう。