キヤノン RF14-35mm F4 L IS USM 主な仕様
●焦点距離:14-35mm
●最短撮影距離:0.2m
●最大撮影倍率:0.38倍
●レンズ構成:12群16枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:φ77mm
●大きさ・重さ:φ84.1×99.8mm・約540g
●付属品:フード・ケース
主流は「小三元」に移りつつある?
昨秋の発売開始から、現在も品薄状態が継続中。鏡筒の赤いラインでお馴染み高性能Lシリーズのラインナップで、この上位機種には大三元の広角ズームとしてRF15-35mm F2.8L IS USMがある。
Lシリーズの贅をつくした光学設計ということで、明るい絞りと高い描写性能は魅力的ではある。が、30万円超える価格とレンズ単体重量840gはややヘビー。
これに対してRF14-35mmF4L IS USM は20万円台中ほどと、幾分ではあるがリーズナブルな価格。サイズも同540グラムの軽量な鏡筒は最大径こそ4ミリの差だが、全長は26ミリも短い。
気持ち小さいがしっかりと握れる太さで取り回しも良い。花形フードはやや小さい印象もあるが、これはコーティングや内面処理などで有害光への対策が万全という自信の表れか。何にしてもカメラバッグへの収まりも良いのが嬉しい。
上位機との違いは1mm。が、この違いは大きい!
ワイド端14mmは、上位機である大三元と数字上ではたった1mmの違いだが、超広角域ではその差は想像以上に大きくなる。さらに最短撮影距離が約8センチも短いため、近接撮影ではより強いパースペクティブを生む。
よって主被写体を画面内で大きく捉えながら周囲や背景の環境も見せるワイドマクロの表現力では、こちらの小三元・RF14-35mmF4L IS USMのほうが一枚も上手どころか2枚くらい上手に思える。
一方、パースを強調しないアングルでの一般的な撮影用途や24㎜や35mmなど他の焦点距離域も期待通りシャープでクリアな描写が得られる。優れた光学設計に加えてカメラ内での光学補正機能もしっかり効いての描写力ではあるけれど、この辺はやはりLレンズなんだなと感心させられる。
強力な手ブレ補正の恩恵を実感
撮影に連れ出してみる。普段見慣れた景色でも、アングルを変えながら強烈な遠近感をEVFで確かめてみる、その所作だけでも今までにない発見があたったりして被写体探しが楽しくなる。
そして5.5段相当の補正効果を発揮する手ブレ補正機能=ISも、三脚使用不可の室内や高感度に振りたくないシーンでは実に心強い。
パースペクティブ強調の撮影では、欲しい効果=雲台の可動角度ではセットできない微妙なアングル等=を得るために、地面や壁などギリギリ位置でのカメラを構える撮影になったりもするからだ。
ちょっとした撮影距離の差で画面の雰囲気が大きく変化することもあるため、手持ちライブビュー撮影時の安心感は大切なこと。
これまで、一眼レフEOS用のEF16-35mmF2.8L Ⅲ USMやEF16-35mmF4L USMをマウントアダプターを介して装着しているユーザーが買い替えに走るのは当然だと思う。と同時に、既にRF15-35mm F2.8 L IS USMの所有者においても、物欲は大いにそそられるはず。