そんな時、ある写真家に作品を見ていただき、「写真に勝るものはない訳だから写真で全てを伝えて欲しい」というアドバイスを貰い、作者自身の中で蠢いている感情を写真で表現しようと決意したという。制作の中で写真を選ぶことに最も重点を置き、これまで撮ってきた6年間のデータを見返し写真の裏側に想いが写り込んでいるかどうかを芯としてセレクトを重ねていった。
また、モノクロームで表現する事により色という情報を排除し、見せたい部分に焦点がいくように努めた。写真には時の感情が写ると考える。それは、コントロールをしようとしてもどうしても見えてしまうのではないだろうか。山田氏は、自分自身の中に揺れ動く「心」を写真に刻み込みたいと望む。刻み込まれた心を紡ぎ合わせた時、それは作者自身を写真で体現し、また彼自身が生きた証となるから…。
山田 凌プロフィール:1996年、香川県丸亀市出身。19年、日本大学芸術学部写真学科卒業。現在、日本大学芸術学部写真学科助手。