写真家・大和田 良の個展「THE AUTO」が2021年3月10日(水)より開催中。東京・表参道のピクトリコギャラリー&ショップにて、3月21日(日)まで。
イワユル「クルマのキマリ写真」とは全く異なるアプローチ
「ロマネコンティ」や「盆栽」など、ジャンルを問わないモチーフ選びで作品制作を続ける大和田氏。海外でもそのハイクオリティな作品制作は高く評価されているが、氏が今回、選んだのはクルマ。
「今回の作品はクラシックカーをモチーフに、車というプロダクトから描き出される造形的な魅力と、そのオーナー達の持つ車を通した文化や生活、情熱についてを巡る作品となります」
…ということだが、14台の国産車や外国車のヒストリック名車の、ボディ内外装の部分を切り取った作品は、イワユル4輪誌ギョーカイで「キマリ」と呼ばれるクルマの撮影カットとは全く異なる。各車の象徴的な部分をクローズアップして、アーティスティックに切り取る…というのともまた違うのだ。
「磨き上げられたメッシュホイール」や「生産から50年を経てもキレイなままのアクリルウインドウ」、「経年により微妙に歪んだボディのちりあわせ」「オーナーが愛してやまないであろうホイールアーチの切り返し」「キズ一つないクロームメッキのバンパー」『ボディ同色の幌のテクスチャー」などなど、作品にはオーナーが愛車に寄せる愛情やこだわり、想いといったものが滲み出てくるような…オーナーの顔や人柄が伺えるような作品なのだ。
切り取られたひとつの風景
特徴的なのは、アスペクト比が16:9と横長に統一されたことと、アクリル板にプリントを貼り付けた展示。
これらは、予め想定されつつまとめられたようで、「切り取られたひとつの風景のようなモノを表現したかった」という。愛車を見るときのオーナーの視点が再現されているかのようだ。
また、アクリル板の貼り付けは、『ロマネコンティ』の作品展の時同様に、プリントの平面性を出しつつ、UVカットすることで退色を防ぐ効果もあるという。つややかな透明感あるテイストで色彩を引き立てている。
撮影はフルサイズ1眼でシフトレンズを使用。写り込みを避けつつ、場所を選んで1台あたり20分から30分でサクサクと撮影したという。
ちなみに、作品展のフライヤーにも使われたオレンジのフェアレディZ432Rは筆者の紹介によるが、それ以外は、街角で「コレは!」というクルマのオーナーに声を掛けて、後日撮影させてもらったモノだとか。
「このシリーズはまだ続けていきたいので、もっと台数を撮って重ねていきたい」と語る大和田氏。クルマ好きは車種を当てるのも面白いかもしれない。筆者は14台中、半分ぐらいしか分からなかったけれど(^_^;)
展示詳細
期間:2021年3月10日(水)~ 21日(日)*月・火休廊
時間:11時~19時(日曜のみ17時まで)
*コロナウィルス感染拡大状況によって変更となる場合がある。
会場:ピクトリコ ショップ&ギャラリー表参道
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-14-5 Cabina表参道1F
TEL:03-6447-5440