日本の鉄道はJR線だけでおよそ2万km に及ぶ。国内の列車が素晴らしい景色の中を日々駆け抜ける様は「珠玉の絶景」の宝庫といえる。ここでは「見たことがない撮影地」や「写真で見たことはあるが、行き方がわからない撮影地」を中心に厳選した。今回は西日本地方をご紹介しよう。この記事の詳細については弊社刊ムック「鉄道写真の奥義」をご参照ください。
■文・写真/杉山 慧

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画像: www.motormagazine.co.jp
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山陰本線(保津峡〜馬堀)

京都駅から僅か20 分とは思えない深山幽谷の保津峡を行く山陰本線。大都市近郊とあって、日中は普通4 本、快速1 本、特急1 本と、高頻度のダイヤが組まれている。クルーズトレイン「TWILIGHT
EXPRESS 瑞風」も通過する(運転日注意)。

画像: ■ 150mm 絞りF8 1/1000 秒 ISO400 ※ 2019年6月4日13時24分撮影

■ 150mm 絞りF8 1/1000 秒 ISO400 ※ 2019年6月4日13時24分撮影

上の作例は221系で、この区間の普通・快速列車はほぼ全て同系列で運転される。画面右にあるトンネルの先にある鉄橋を渡る姿が見えるので、列車の接近は容易にわかる。撮影地は「唐櫃越え」と呼ばれる山道の途中にあり、馬堀方からアプローチする必要がある。車を鵜野川の堤防道路の広いところへ止めたら、如意寺を目指す。如意寺と宝泉寺に挟まれた道が「唐櫃越え」への入口である。 

画像: 山陰本線(保津峡〜馬堀)

動物避けのゲートを越えたあたりから本格的な山道が始まる。道なりに足場の悪い山道を50 分ほど登ると、尾根の峠にたどり着く。この峠の右手にある道へ入る。さらに10 分ほど歩くと、「みすぎ山」の山頂である。このあたりから動物避けの柵が左手にあるので、それに沿って下ると幅3m 程の砂利道に出る。

この砂利道を馬堀方面に100m 程戻った場所が作例の撮影地だ。反対に砂利道を保津峡方面に200m 程進めば、保津峡方の鉄橋を写すポイントだ。なお、ここまでの道中、「からと越え」と書かれた看板が随所にあるので迷うことはないだろう。

山陰本線(香住〜鎧)

山陰海岸ジオパークを象徴する名勝「鎧袖」を行くディーゼルカー。美しい日本海に夕陽が沈む夏の絶景を捉えた。普通列車は全てキハ40系で運転、特急「はまかぜ」は2往復がこの区間を通過する。

画像: ■ 48mm 絞りF5.6 1/500 秒 ISO2500 ※ 2019年6月4日18時58分撮影

■ 48mm 絞りF5.6 1/500 秒 ISO2500 ※ 2019年6月4日18時58分撮影

作例は時刻表と睨めっこして、画角に太陽がある時間にやってくる浜坂方面行きの普通列車を狙ったものだ。車体側面に光が回らないが、青い海バックに撮りたいなら午前中が良い。「鎧袖」の俯瞰へは途中から歩く必要がある。国道178 号の旧道を走り、香住の市街地を抜けると鎧方面への峠道が始まる。この峠道の途中左手に香住斎場がある。香住斎場の前の右カーブの内側に分かれる道がある。この道を5 分ほど進むと山を上る道が左に、山を下る道が右に分かれるY 字路に出る。この付近に車を止めて、山を上る道に徒歩へ向かう。

画像: 山陰本線(香住〜鎧)

5 分ほど歩くと岬の先端部へ向かう獣道が見える。この獣道を5分ほど進めば左に線路が見える。この場所でも撮影は可能であるが、作例の場所はさらに3 分ほど尾根筋を岬の先端に向かった場所である。周囲は伐採され見晴らしが良くなっている。害虫や野生動物の多い場所なので気をつけよう。

津山線(牧山〜玉柏)

約72万人が暮らす大都市、岡山の市街地に別れを告げ、旭川に沿って津山を目指す津山線の普通列車を狙う。山線は2往復にキハ120形が使われる他は、すべてキハ40系(キハ40形かキハ47形)で運転される

画像: ■ 185mm 絞りF8 1/500 秒 ISO400 ※ 2019年6月6日8時23分撮影

■ 185mm 絞りF8 1/500 秒 ISO400 ※ 2019年6月6日8時23分撮影

作例は津山線最長の4両編成を組む944Dである。津山方面行きの4 両編成はこの列車のみで、他の列車は1両ないし2両編成で運転される。撮影場所は標高457m の本宮高倉山の山頂付近。アンテナがあるので、車で山頂まで来ることができる。

画像: 津山線(牧山〜玉柏)

山道への入口は赤磐市山陽付近。山陽団地郵便局や山陽西小学校がある団地から県道250 号に向かって北北東に延びる道を300m ほど進むと「←高倉山山頂3.4km」と書かれた道路標識があるので、標識に従い鋭角に左折する。舗装された道を道なりに進めば山頂である。山頂広場の南側にある、植物の棚をくぐった一帯が撮影場所となる。

撮影・解説:杉山慧

1992年11月、静岡県出身。幼少期より鉄道に興味を持ち、日本大学芸術学部写真学科卒業後、ネコ・パブリッシングに入社し月刊誌[レイル・マガジン]の編集に携わる。2017年3月、鉄道写真事務所レイルマンフォトオフィスに入社。2018年12月レイルマンフォトオフィスを退社し、フリーの鉄道写真家として独立。独立後は月刊誌[鉄道ジャーナル]での写真撮影や原稿執筆のほか、レンズメーカー「タムロン」主催するに「タムロン鉄道風景Instagramコンテスト 2019」で審査員を務めた。

画像: 撮影・解説:杉山慧

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