日本の鉄道はJR線だけでおよそ2 万km に及ぶ。国内の列車が素晴らしい景色の中を日々駆け抜ける様は「珠玉の絶景」の宝庫といえる。ここでは「見たことがない撮影地」や「写真で見たことはあるが、行き方がわからない撮影地」を中心に厳選した。今回も北海道編。今回を持ちまして、この「撮影地絶景ガイド」も最終回となります。この記事の詳細については弊社刊ムック「鉄道写真の奥義」をぜひご購入頂き、ご参照ください。
■文・写真/杉山 慧

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画像: www.motormagazine.co.jp
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宗谷本線(徳満〜兜沼)

日本最北の百名山、利尻岳。利尻富士の愛称をもつが、普段は雲に覆われ滅多に姿を現さないという。この日は日が傾くにつれて、夕空に全容が浮かんだ。作例は稚内から札幌まで、約5 時間かけて走行する特急「宗谷」。ここを毎日走るのは普通列車と合わせても上下1 日13 本のみ。計画的に撮影しよう。

画像: ■ 310mm 絞りF10 1/800 秒 ISO500 ※ 2019 年8月3 日18 時15 分撮影

■ 310mm 絞りF10 1/800 秒 ISO500 ※ 2019 年8月3 日18 時15 分撮影

徳満方向から国道40 号を稚内方面に向かい、線路と離れたあたりから1km 程で東側の山へ向かう林道がある。この林道に入り、最初の左カーブを抜けたところで、電線の下をくぐる。車はこのあたりの広いところに止める。電線に沿って草が刈られているので、電線の下を徳満方向へ70m程歩くと、電柱のあるあたりから宗谷本線を見渡せる。国道沿いからも撮影できるが、少しでも高い方が景色に奥行きが出て、利尻富士もより裾野まで写すことができる。

画像: 宗谷本線(徳満〜兜沼)

石北本線(生田原〜西留辺蘂)

狩勝越えと並ぶ北海道の峠である常紋を行く特急「オホーツク」。「オホーツク」は後期型のキハ183 系にハイデッカーグリーン車を組み込んだ編成で運転されている。キハ183 系は数年前まで函館・宗谷系統など北海道各地で見られた国鉄特急型気動車だが、今や活躍の場は石北系統の特急のみ。

画像: ■ 234mm 絞りF8 1/800 秒 ISO400 ※ 2019年8月5日10時56分撮影

■ 234mm 絞りF8 1/800 秒 ISO400 ※ 2019年8月5日10時56分撮影

有名な場所ではあるが、未舗装の道を数km に渡って走る必要があるので、車の運転はくれぐれも気をつけたい。生田原方向から線路の東側を並行する道路を走ると、山に入るところで舗装が途切れる。なお、冬季に除雪がなされるのはここまで。ここから未舗装のほぼ直線の道を進み踏切を渡ると、道は蛇行を始める。3 回目に線路に近づいたところにあるカーブが撮影地で、近年樹木が伐採された道路沿いの斜面から、大人数でも撮影できる。

根室本線(厚岸〜糸魚沢)

根室本線の釧路から先は花咲線と呼ばれ、厚岸の湿地帯や落石の海岸線を走り、道東の美しい車窓が凝縮されている。厚岸の湿原は尾幌川に沿っており、1組のレールがその真ん中を横切っている。作例は夕方の列車。逆光になるが、上り列車で通年日が当たるのはもう1本前の14 時台の列車だ。画面の左下には国道44 号が遮っている。

画像: ■ 160mm 絞りF8 1/640 秒 ISO1000 2019年8月4日17時47分撮影

■ 160mm 絞りF8 1/640 秒 ISO1000 2019年8月4日17時47分撮影

国道44 号を釧路方面から来ると、左手に水鳥の観察施設がある。同施設そばから始まる山が撮影地だ。この山が途切れるあたりで、国道から斜面に向かって細い獣道ができており、そこへ入る。車はこの先の線路側にある駐車帯に止めよう。斜面は滑りやすいので、草などに捕まって登ると良い。獣道を道なりに厚岸方向に進むとコンクリートの法面上から線路を見渡せるが、作例はさらに厚岸方向に進み、より高くなった場所だ。

画像: 根室本線(厚岸〜糸魚沢)

撮影・解説:杉山慧

1992年11月、静岡県出身。幼少期より鉄道に興味を持ち、日本大学芸術学部写真学科卒業後、ネコ・パブリッシングに入社し月刊誌[レイル・マガジン]の編集に携わる。2017年3月、鉄道写真事務所レイルマンフォトオフィスに入社。2018年12月レイルマンフォトオフィスを退社し、フリーの鉄道写真家として独立。独立後は月刊誌[鉄道ジャーナル]での写真撮影や原稿執筆のほか、レンズメーカー「タムロン」主催するに「タムロン鉄道風景Instagramコンテスト 2019」で審査員を務めた。

画像: 撮影・解説:杉山慧

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