月刊カメラマン2018年2月号から7月号にかけて、異なったジャンルのトップ写真家6人が、お気に入りの富士フイルムXFレンズを使用して作品を発表、気に入っている理由や使用感をレポートした。今回は2018年6月号に掲載した第5回「モータースポーツ×小林 稔」の記事を再掲する。

サーキットの限られた場所、あらゆる条件下で撮影可能な
「XF100-400㎜F4.5-5.6 R LM OIS WR」

画像1: サーキットの限られた場所、あらゆる条件下で撮影可能な 「XF100-400㎜F4.5-5.6 R LM OIS WR」

▲400㎜でSUPER FORMULAのマシンを切り撮る。実際には600㎜の超望遠レンズを手持ちで振り回していることになる。マシン上面、ヘルメットに露出を合わせたことにより、周りを黒く落とした。
■絞り14 1/640秒 ISO200 フィルムシミュレーション:プロビア
*共通撮影データ:X-H1

画像2: サーキットの限られた場所、あらゆる条件下で撮影可能な 「XF100-400㎜F4.5-5.6 R LM OIS WR」

▲スタート前のヘルメットの中の目を狙う。開放なのだがとてもシャープで、ISO10000でありながら、肌の再現がナチュラルである。うっすらと見える白い前ボケも、超望遠レンズならではの効果だ。
■絞りF5.6 1/6400秒 ISO10000 フィルムシミュレーション:クラシッククローム

往年のベルビアの色合いを
高感度で使える

 SUPER FORMULA、SUPER GTのオフィシャル・フォトグラファーを20年以上務めてきて、自分の中では何か今までと違う写真を求めていた。そんな時に出会ったのが富士フイルムのXシリーズのカメラだった。最も気に入ったのは「フィルムシミュレーション」機能であり、長年フィルムはベルビアを使っていたので、忘れていたあの色合いをデジタルカメラで再現できることに喜びを覚えた。カラフルなモータースポーツの世界ではベルビアの色が似合っているのである。フィルムのベルビアは感度はISO50、100だったので、当時は暗くなるとスローシャッターしか使えなかったが、デジタルとなった今はISO1600でもベルビアを使えるわけで、速いシャッターでマシンを止めることもできるようになった。

 やはりモータースポーツでは長いレンズが必要だが、このXF100-400㎜ F4.5-5.6 R LM OIS WRは35㎜判換算では152 - 609㎜相当となるので、サーキットでも充分な長さである。世の中のフルサイズ指向はあるものの、現在は安全のためコースのセーフティーゾーンが拡がり、我々もより長い望遠レンズが必要となる中でAPS-Cサイズは却って有効でもある。そしてズームレンズなので、サーキットの限られた場所からの撮影では構図を作りやすく、この1本でいろいろなバリエーションの写真が撮ることができる。また、当然、雨の中でのレースもあるわけで、そんな時、最前面のレンズに付いた雨粒もフッ素コーティングのお陰でムラ無く簡単に拭き取れるため、現場でのストレス軽減となっている。

 モータースポーツの写真は走るマシンを撮るだけではなく、それを操るドライバーも被写体となる。XF100-400㎜レンズは、走り出す前の集中している彼らの心を乱すことなく、少し離れた場所からドライバーの表情を捉えることができる。ここでもズームレンズの良さが発揮でき、望遠側を使えばヘルメットの中の鋭く光る目までも鮮明に、まるでマクロレンズのようにアップで写しだしてくれる。そしてこんなに長いレンズなのに手ブレ補正が効いているので、手持ちで撮れるフットワークの良さもとても嬉しい。ベルビアが大好きな私だが、最近はドライバーを撮るときにはクラシッククロームを選ぶことが多くなってきた。しっとりとした色合いが、ドライバーの表情に合い、より人間味を写し出してくれるのだ。

 使う機材に触発され、新しい写真が生まれることは大切だと思っている。このレンズを使うことでサーキットのコースサイド、ピットで今までとは一味違った写真が生まれてきたのは間違いないことだ。正直、ミラーレス一眼で速い動きもののスポーツを撮ることはなかなか難しいことだが、それよりもこの出てくる画像の良さに引き込まれ、使える場面では積極的にX-H1を持つことにしている。これからも、X-H1とこのレンズで、モータースポーツの魅力を写真を通じて伝えていきたいと思っている。

今回の撮影で使用したフジノンXFレンズとXシリーズ
XF100-400㎜F4.5-5.6 R LM OIS WR

画像: 今回の撮影で使用したフジノンXFレンズとXシリーズ XF100-400㎜F4.5-5.6 R LM OIS WR

●レンズ構成:14群21枚●絞り羽根枚数:9枚●最短撮影距離:175cm●最大径×長さ:Φ94.8×210.5㎜●重さ:1375g●フィルター径:Φ77㎜●実勢税込価格:24万2460円※

富士フイルム X-H1

画像: 富士フイルム X-H1

●有効画素数:2430万画素●撮像素子:X-Trans CMOSⅢ●標準ISO感度:ISO200~12800●ボディサイズ:W139.8×H97.3×D85.5㎜●重量:約673g●実勢税込価格:25万8660円

VPB-XH1(バッテリーグリップ)

防塵・防滴・耐低温マイナス10℃対応。バッテリーを2個装填でき、撮影枚数は最大約900枚(ノーマルモード)。●実勢税込価格:4万2260円

※実勢税込価格は2018年6月上旬のフジ直販サイト、フジフイルムモールのものです。レンズも同様です。

小林稔
Minoru Kobayashi

画像: 小林稔 Minoru Kobayashi

1955年生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、「CAR GRAPHIC」の社員カメラマンとして8年勤務。独立後はアウトドア、スタジオを問わずクルマとモータースポーツの写真を撮り続ける。日本レース写真家協会(JRPA)会長。

*掲載した記事は月刊カメラマン2018年7月号当時のものです。

This article is a sponsored article by
''.