昨今、各社から投入されるミラーレス上位機が「けっこうなお値段」ということもあり、なぁーんか相対的に「身近」になった感のあるライカ。そう、無理すれば買えないこともなくもない…(買わないけど)。ということで、今さらライカ/今からライカ。最新機種であるライカ M11を河田一規氏がレビューしますー。
で、ライカ M11は「買い」なのか??
ライカM8の登場から16年が過ぎ、デジタル化されたM型としては5代目となるライカM11。日本メーカーの各機種と比べて機能的な進化は少ないものの、撮影する写真のスタイルによっては高機能であることが必ずしも正義ではないのも確かなわけで、こういうスタンスのカメラが世界で1機種くらいあってもいいじゃんと心の底から思う。
そしてやっぱり感心してしまうのは機械的な作りの良さだ。たとえばバッテリーをイジェクトするレバーのカッチリとした操作感などは、同様の機構を先行搭載しているライカTLやライカSLと同じく官能的ですらある。
また、ボタン類の操作部材が極限まで少ない、無駄が全くない操作系も個人的に大好きだ。M10で唯一ネガティブに感じていた重さに関してもブラックボディでは解決されているし、そこかしこに代を重ねたゆえの完成度の高さが感じられる。
ピクセルビニングによるレンジ拡大が現時点で実効性を感じられないは残念だが、M11は通常時のダイナミックレンジが充分に広いので、それはあくまでも付加的な期待機能とも言える。
結論を言えば、ライカ好きであればこのM11は間違いなく「買い」なカメラだと思う。購入を躊躇させる唯一の問題はやはり税込み118万8000円という決して安いとはいえないその価格だろう。
M8の発売当初価格が50万円代だったのを考えるとほぼ倍増しているわけで、ここは確実に敷居が高い。
もちろんライカはカメラとしては資産価値が高いので、仮に5年後くらいにM12が発売された時に売却したとしてもそれなりの価格が付くはずであり、その点はちょっとプラス材料だ。
過度な進化に踊らされることなく、ライカならではの撮影プロセスを楽しみたいという人はぜひ!