フルサイズ対応RFレンズとしては初となるパワーズームを搭載したレンズが登場した。しかも上位モデルとなる“L”シリーズだ。発売は6月中旬から下旬とアナウンスされている。

■豊田慶記氏プロフィール
広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープ等の写真に感銘を受け写真の道を志す。スタジオマン・デジタル一眼レフ開発などを経てフリーランスに。作例デビューは2009年。カメラ誌でのキャリアは2012年から。カメラグランプリ外部選考委員。日本作例写真家協会(JSPA)会員。

※撮影共通データ■キヤノン EOS R6 Mark Ⅱ 絞り優先AE WB:オート

キヤノン RF20-50mmF4L IS USM PZ主な仕様

画像: キヤノン RF20-50mmF4L IS USM PZ主な仕様

●焦点距離:20-50mm
●最短撮影距離:0.24m
●0.14倍(20mm時)/ 0.33倍(50mm時)
●レンズ構成:11群13枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:67mm
●大きさ・重さ:φ79.9×98.4mm・約420g
●付属品:フード・ケース

実は従来型のズームレンズには懸念材料がありまして…

画像1: 実は従来型のズームレンズには懸念材料がありまして…

本レンズ最大の特徴は、ズーミング用にナノUSMを2基搭載し、パワーズーム内蔵としているところ。AF用にもナノUSMを別途1基搭載し、合計3基のナノUSMを持っている。ナノUSMと言えばオートフォーカス用のアクチュエータだと思っていたけれど、ズーム光学系を駆動させるのに十分なトルクがある、という事なのだろう。

筆者のこれまでの知識で言えば、フォーカスレンズ群よりも大きなズームレンズ群とそれを保持する内部鏡筒を動かしていると思うので、ナノUSMの可能性には驚かされるばかりだ。

画像2: 実は従来型のズームレンズには懸念材料がありまして…

パワーズームのメリットは「ズーム光学系をメカよりも高精度に動作させることができる」という点にあると思っている。というのも、従来通りのメカ駆動では、メカを動作させるための「遊び」が必要となり、高精度の加工が必須であった。だが電子制御ではメカ的な連結のない、いわゆるバイワイヤ方式とセンシング技術によってレンズの位置を理想的な位置に安定して駆動させることができるのだ。

例えば従来のレンズでは、厳密に言えばズームの行きと帰りで描写が違っていた。レンズレビュー時の体力測定時には、ズームの行きと帰りでそれぞれ描写性のチェックを行っていたのだけれど、それも過去のものとなりそうだ。

画像: 風車がブレている通りスローシャッターだけど、最近の手ブレ補正は何事もなく撮れるね。本レンズは標準ズームの中でも屈指くらいの制御の良さに思いました。ムービーで電子手ブレ補正利かしてるのかな? ってくらいLV映像がビタッと安定していて、撮影が上手くなった気がしました。 ■20mm時 絞りF10.0 1/10秒 ISO100

風車がブレている通りスローシャッターだけど、最近の手ブレ補正は何事もなく撮れるね。本レンズは標準ズームの中でも屈指くらいの制御の良さに思いました。ムービーで電子手ブレ補正利かしてるのかな? ってくらいLV映像がビタッと安定していて、撮影が上手くなった気がしました。
■20mm時 絞りF10.0 1/10秒 ISO100

画像: テレ側で路面の水の痕を撮ろうと思ってたら通り過ぎる人がいたので、路線変更してワイド端でパチリ。従来のパワーズームだと諦めていたと思うけれども、本レンズなら手動ズームの速度(時間)感覚で間に合っちゃうのでチャレンジしたら余裕を持って成功しました、の1枚。 ■20mm時 絞りF4.0 1/160秒 マイナス0.7露出補正 ISO100

テレ側で路面の水の痕を撮ろうと思ってたら通り過ぎる人がいたので、路線変更してワイド端でパチリ。従来のパワーズームだと諦めていたと思うけれども、本レンズなら手動ズームの速度(時間)感覚で間に合っちゃうのでチャレンジしたら余裕を持って成功しました、の1枚。
■20mm時 絞りF4.0 1/160秒 マイナス0.7露出補正 ISO100

当然フォーカスについても、ギアを介してフォーカスレンズ群を駆動させる方式のものについては同じことが当て嵌まる。ところが、ナノUSMとVCMはアクチュエータのトルクをダイレクトにレンズに伝達できるので、フォーカスの安定性が大きく向上している。

こういった事はワンショットでは気付きにくいが、1シーンで複数回ショットしたり、撮影枚数が非常に多い運用をしていると、時折「ん?」という描写になる場合がある。コレはレンズ内部の遊びによって、僅かに最適位置からレンズが外れてしまうことによって生じてしまうのだ。

しかし、バイワイヤとセンシング技術の向上によって安定した結果が得られるようになった。同時に、温度変化などについても制御側でそれを吸収できるようになったので、撮影環境によらず安定して理想的な描写(設計値に近い結像性)を得られるようになった、と言って良い。

異次元のズーミングフィール! 従来のイメージは捨て去るべし

画像: テストした中での逆光ワーストはこんな感じ。薄っすらとしたフレアと右下の端にチョロっと居るけど、ほぼ何も起こらないね。サスガはLレンズの感あります。F13より絞り込むと(EOS)R6 Mark Ⅱの場合は回折が気になりました。多分そうやって使うレンズではなくて、NDとかで光量調整するのが正しい使い方と思います。

テストした中での逆光ワーストはこんな感じ。薄っすらとしたフレアと右下の端にチョロっと居るけど、ほぼ何も起こらないね。サスガはLレンズの感あります。F13より絞り込むと(EOS)R6 Mark Ⅱの場合は回折が気になりました。多分そうやって使うレンズではなくて、NDとかで光量調整するのが正しい使い方と思います。

パッと見では本レンズがパワーズームであることは分かりにくく、通常のズームリングデザインの端にW-Tポジションが設定されているが、ズームリングはバイワイヤによる制御となり、ズームによる全長変化はない。

全長約10cm、最大径は約8cmのズングリムックリスタイルで、重さも単体で420gと、サイズ感的にはソコソコだが、構えるとかなり軽く感じられるのが面白い。
VCMでは磁石を搭載する都合上大きく重くなってしまうが、ここでもナノUSMの可能性を感じさせられた。

画像: ワイド端とテレ端での至近端でパチリ。どちらも開放絞りです。テレ側至近端だと少し柔らかな表現で雰囲気あって良い感じ。指2本程度離れるとスッキリシャープです。ワイド端のボケもキレイでチューニングが上手いね! ひょっとして、パワーズームをフローティングフォーカス的にも使えたりするのかな?

ワイド端とテレ端での至近端でパチリ。どちらも開放絞りです。テレ側至近端だと少し柔らかな表現で雰囲気あって良い感じ。指2本程度離れるとスッキリシャープです。ワイド端のボケもキレイでチューニングが上手いね! ひょっとして、パワーズームをフローティングフォーカス的にも使えたりするのかな?

通常ポジションのズーム操作トルクはかなり軽く、筆者個人の意見で言えば軽すぎて微妙な調整が難しく感じられた。対してパワーズームのレスポンスは異次元。これまでの手動ズームと遜色ない速度で駆動するので、パワーズームに対するイメージを完全に塗り替えられている。

シビアに言えば僅かなラグはあるが、1分程度で無視できるようになる。W-Tポジションでは操作感が軽すぎるということは無く、不思議と丁度良いし、微動と粗動の調整もやりやすかった。
本レンズを体験すると、これまでのパワーズームには戻る気にならない。パワーズーム界のゲームチェンジャーというだけでなく、構造上のメリットも含めて転換点になる製品になりそうだ。

描写力はLレンズならでは。開放から安心してお使いになれます

画像: 至近端まで1cmくらい。コレより寄るともう少し柔らかくなって、少し離れるとスッキリする中間くらいのところ。嫌な滲み方じゃなくて、キレイに滲んでくれるのでとても好感触。手ブレ補正が強力だから安心して色んな撮り方が出来て良いですね。 ■50mm時 絞りF4.0 1/400秒 マイナス0.7露出補正 ISO100

至近端まで1cmくらい。コレより寄るともう少し柔らかくなって、少し離れるとスッキリする中間くらいのところ。嫌な滲み方じゃなくて、キレイに滲んでくれるのでとても好感触。手ブレ補正が強力だから安心して色んな撮り方が出来て良いですね。
■50mm時 絞りF4.0 1/400秒 マイナス0.7露出補正 ISO100

使いはじめてすぐ感じられるのは強力な手ブレ補正の効果。どのズーム位置でも「常時電子手ブレ補正が効いているのかな?」と思ってしまうくらいにはLV映像が安定していた。スペック的には中央6段とのことだが、制御が良いのだろう。

パワーズームの使用感について、予想外に快適。特にW-Tポジションでは左手の操作量がとても少なくなり、グリップとフレーミングの安定感が明確にコレまでとは別モノ。これまで慣れていただけで、ファインダーを覗きながらズームするとそれなりに影響があるのだな、という再発見と、少ない操作で画角を滑らかに変更できる部分に「新しい」と感じる撮影感触でとても快適だった。

写りは、イジワルなテストを行っても何も起こらない。輝度差の大きなシーンでもエッジに色付きはなく、開放絞りから高い解像感があり、近距離から遠景までとても優秀な実力。流石はLレンズという納得感のあるものだった。

画像: 口径食の感じとハイライトエッジの色付きチェック。口径食は少しあるね。色収差はホントに何も起こりません。お仕事レンズとしてスゴイ楽が出来そうなニオイがプンプン。テレ側よりワイド側重視で、かつズームがF2.8通しじゃなくても良い運用ならかなりグラッと来る実力。 ■50mm時 絞りF4.0 1/80秒 プラス1.3露出補正 ISO160

口径食の感じとハイライトエッジの色付きチェック。口径食は少しあるね。色収差はホントに何も起こりません。お仕事レンズとしてスゴイ楽が出来そうなニオイがプンプン。テレ側よりワイド側重視で、かつズームがF2.8通しじゃなくても良い運用ならかなりグラッと来る実力。
■50mm時 絞りF4.0 1/80秒 プラス1.3露出補正 ISO160

逆光耐性も筆者の感覚では素晴らしいレベル。至近端から2cm程度は僅かに滲み、柔らかさのある描写となるところも、個人的には心地良く感じられた。その領域を外れると基本的にとてもシャープ。ワイド端でもボケは自然で、特に後ボケについては煩さが無く好印象だった。

シビアな事を言えば、周辺部の前ボケは少し美しさに欠けることと、あまり大きく絞り込むと回折の影響で、特に少しピント深度から外れた部分が妙に緩く見えてしまう場合があった。ということで、プログラムオートでカメラに委ねるよりも、Fv(フレキシブルAE)などで少しだけでも撮影者の意図を盛り込んで撮るのが良さそうだ。

総じて、不満らしい不満がなく、焦点レンジさえ納得できるなら安心してオススメできるレンズに仕上がっている。
やっていること(込められた技術)からするとかなりのバーゲン価格に感じられるが、実際に自分が選ぶか?と言われれば、それは全く別の問題という部分が難しい。撮影体験の新しさに対して、趣味運用の繊細な機微という壁を乗り越えるのは容易ではないからだ。

画像: 光線状態もあるけど、引きだとパッキパキにも写るね。こんなに軽いのに、それぞれのシーンで好ましい感じの写りにチューニングされていて、「これが令和最新のキヤノンレンズ…」という驚きがありました。パワーズームだけじゃなくて、全体的に使用感が新しいんだよね。将来的にお仕事レンズはコレが普通になっちゃうの? みたいな驚きね。 ■35mm時 絞りF6.3 1/2000秒 マイナス1.0露出補正 ISO100

光線状態もあるけど、引きだとパッキパキにも写るね。こんなに軽いのに、それぞれのシーンで好ましい感じの写りにチューニングされていて、「これが令和最新のキヤノンレンズ…」という驚きがありました。パワーズームだけじゃなくて、全体的に使用感が新しいんだよね。将来的にお仕事レンズはコレが普通になっちゃうの? みたいな驚きね。
■35mm時 絞りF6.3 1/2000秒 マイナス1.0露出補正 ISO100 

画像: 描写力はLレンズならでは。開放から安心してお使いになれます

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