■チャーリィ古庄氏プロフィール
1972年東京生まれ、旅客機専門の航空写真家。世界の航空会社や空港からのオーダーを受けこれまで100を超える国や地域に訪れ航空写真を撮っている。訪れた空港は世界500か所以上。世界で最も多くの航空会社に搭乗した「ギネス世界記録」を持つ。旅客機関連の著書、写真集は30冊を超え、サミットなどのVIP機公式記録カメラマンを務めた経験もあり。飛行機とヘリコプターのパイロット資格を保有。空撮用のヘリコプターも所有している。
RF15-35mm F2.8 L IS USMのインプレッション
F2.8通しながら、ズーム全域で高い描写力を発揮

保存されているクラシカルなダグラス DC3型機。撮影場所はわずかな光源しかないため、三脚を据えて長秒露光を行ったが、画面の端までキレイに夜空も表現されていた。
■ EOS R1 15mm 絞り F5.6 30秒 ISO1600 WB:3500K
■共通撮影データ/ピクチャースタイル:風景 AI被写体認識:乗り物 ワンショット
EFレンズ時代は焦点距離が16-35mmだったが、RFになり15-35mmに変更。ワイド端でわずか1mmの拡大だが、ワイドレンズの1mmの差は大きい。類似のレンズでRF14-35mm F4のレンズもあれば、多少安価な RF15-30mm F4.5-6.3もあるので、通常の撮影では開放F値がF4でもF4.5でも問題ないが、仕事で使うとなればどの広角レンズが良いか悩む。

私の場合、夜間の暗い駐機場で撮らなければならない場合や、夜間至近距離で動いている機体を狙うケースもある。そうなるとF2.8だと1段分シャッター速度を上げることができるこのレンズは手ブレ、被写体ブレの可能性が減るのがありがたい。
ワイドレンズの場合、周辺の画像が流れてしまうことや、夜景撮影時に照明灯などの光源があるとゴースト、フレアが出現することもある。だが、このワイドズームは3枚のガラスモールド非球面レンズと2枚のUDレンズを採用しており、色にじみを除去し、端の歪みが取り除かれているのがポイントだ。また手ブレ補正効果も最大5段分あるため、遅いシャッター速度を使用する際に強い味方となり、ミスが許されないプロの世界で最大限のパワーを発揮してくれる。

富士山静岡空港の撮影会。機体が3機並んだときに薄い雲が太陽を覆ったためプラスの露出補正をかけて撮影。コーティングのおかげか、空の青さと雲のハイライト部分も階調が豊かに表現されている。
■EOS R1 20mm シャッター速度優先AE(1/500秒 絞りF8 プ ラス0.7露出補正) ISO250 WB:オート
絵に関しては、ズーム全域で高画質なのがありがたい。スムーズな操作性とレンズの大きさも良い。F2.8の L なので決して小さくはないが、スペックの割に840g と軽いレンズである。また、フィルター径は82mmとなっており、RF24-70mm と共通なので、フィルターを併用できるのがありがたい。

超広角レンズでないと入らないポイント。レンズの性能が悪いと画面端が流れてしまうが、全く問題なく写し出してくれた。
■EOS R5 MarkII 15mm シャッター速 度優先 AE(1/1600秒 絞り F9 マイナス0.3露 出補正) ISO800 WB:オート
通常、飛行機撮影で広角レンズはあまり使用しないかもしれないが、航空会社の格納庫見学やコクピット見学、空港制限エリア内ツアーで至近距離から機体を撮るチャンスも近距離からの撮影もだいたいこと足りる。また広く青空を入れたワイドなカットも撮ることができるので、使用頻度はそれほど高くないが、一本持っておくと、ここぞという場面で作品にできる便利なレンズでもある。
Photo&Text:チャーリィ古庄
RF15-35mm F2.8 L IS USMのスペック
- 焦点距離=15~35mm
- レンズ構成=12群16枚
- 画角(対角線)=110°30′~63°
- 最短撮影距離=0.28m
- 最大撮影倍率=0.21倍(35mm 時)
- 最小絞り=F22
- 絞り枚数=9枚(円形絞り)
- フィルター径=82mm
- レンズフード=EW-88P(付属)
- 最大径×長さ=約φ88.5mm×126.8mm
- 重量=約840g
価格:オープン(実売34万6500円)
発売日:2024/9/27