ニコンZマウントのDXフォーマット対応レンズとしては初となるマクロレンズ(ニコン的に言えば「マイクロ」)が2025年10月末に発売された。最大撮影倍率は0.67倍となり、フルサイズ換算で言うところの 「”等倍相当” のクローズアップ撮影が可能」がセールスポイント。それでいて重さは約220gしかなく全長も約7cmと、なかなかコンパクトに仕上がっている。

■豊田慶記氏プロフィール
広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープ等の写真に感銘を受け写真の道を志す。スタジオマン・デジタル一眼レフ開発などを経てフリーランスに。作例デビューは2009年。カメラ誌でのキャリアは2012年から。カメラグランプリ外部選考委員。日本作例写真家協会(JSPA)会員。

■撮影共通データ: ニコン Z50Ⅱ WB:オート

NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7 主な仕様

画像: NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7 主な仕様

●焦点距離:35mm判換算52.5mm
●最短撮影距離:0.16m
●最大撮影倍率:0.67倍
●レンズ構成:7群8枚
●最小絞り:F16(∞)/F22(最短撮影距離時)
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:52mm
●大きさ・重さ:φ約70×72mm・約220g
●付属品:-

フルサイズのマクロ=MC50mmもありますが…。

画像: 重さ以外にAF動作も軽やかなので、色んな撮り方にチャレンジしたくなるところがニジュウマルです。APS-Cフォーマットのマクロレンズで一番好き、まである。接写時の写りも素晴らしいね。 ■シャッター速度優先AE(F2.4 1/640秒) プラス1.7露出補正 ISO1000

重さ以外にAF動作も軽やかなので、色んな撮り方にチャレンジしたくなるところがニジュウマルです。APS-Cフォーマットのマクロレンズで一番好き、まである。接写時の写りも素晴らしいね。
■シャッター速度優先AE(F2.4 1/640秒) プラス1.7露出補正 ISO1000

ん? 全長70mmだとMC50mmの方が短くない?? と思った皆さん、大変にスルドイ。というか詳しすぎるので自重して下さい。

現状、Zマウント用のマクロレンズはMC 50mm f/2.8とMC 105mm f/2.8 VR Sがあり、本レンズと競合するのは価格とサイズ感の近いMC50mmと推測。こちらはフルサイズ対応でありながら、本レンズよりも全長が4mm短い約66mm。重さは約260gと少し重いけれど、許せる範囲内でしょう。
ちなみにMC50mmのインプレは↓で数年前にやっているので興味があれば併せて確認してみて下さいまし。

話をもどして…。
本レンズはフォーカス位置を問わず全長不変、ってところも売りのひとつ。全長が変わらないメリットとしてはワーキングディスタンス(至近端時のレンズ先端からピント位置までの距離)が変わらないので取り回しが楽。

ちなみに本レンズのワーキングディスタンスは約7cmだけど、撮影時の体感としてはそこまで取り回しに注意を払わなくても良い感じでした。シーンによってはレンズや撮影者自身の影が写り込む場合があるってことは否定しないけれど、スペックから想像するよりもズボラで問題無い感じ。この感覚には個人差があります。

MC50mmはレンズが伸びることもあって、ワーキングディスタンスは約5cmです。この接写時の2cmは、結構違う感じがします。

昨今のニコンでは「お値段以上」が当たり前??

画像: 昨今のニコンでは「お値段以上」が当たり前??

今回組み合わせたボディはZ50Ⅱ。合計で約800g弱だけど、重量バランスとグリップが良いせいか撮影中に重さを意識することはナシ。たとえ軽くてもグリップが良くないと重く感じるので、スペックだけで判断すると楽しくない場合がありますから要注意。

外装は爪の擦過痕が付きやすいタイプで、トヨタ的には好きじゃないです。拭けば簡単にある程度キレイにはなるけれど、ハンドクリームや日焼け止めなどを使っていると跡になりやすくて美しくない。キヤノンにも似たような仕上げのレンズがあるけれど、同じく好きじゃないです。管理だけで言えばシグマやLUMIXのような仕上げだと嬉しい。

画像: 恵方巻のハーフくらいのサイズ感なので、ギリギリ「日常使いができる大きさである」と言っても許されると思います。コレよりデカいとバッグを選ぶからね。この機動力を味わうとフルサイズ機を持ち歩く理由を見失いそうになります。 ■プログラムAE(F10 1/400秒) マイナス0.3露出補正 ISO100

恵方巻のハーフくらいのサイズ感なので、ギリギリ「日常使いができる大きさである」と言っても許されると思います。コレよりデカいとバッグを選ぶからね。この機動力を味わうとフルサイズ機を持ち歩く理由を見失いそうになります。
■プログラムAE(F10 1/400秒) マイナス0.3露出補正 ISO100

AFアクチュエータはSTM。撮影していて動作音が気になることは無く、動作も小気味良し。風で揺れる草花も撮りましたが、AF追従に不満ナシ。この点だけでもMC50mmよりかなり印象が良かったので、撮影リズムにコダワリがあるMC50mmユーザーは、敢えてのダウンサイジングを検討するのもオススメでしょう。

描写について、「本当にこのお値段で!?」が正直な感想。物価上昇に収入が周回遅れにされそうな昨今において、良心すら感じさせるプライスタグからくるイメージを大きく凌駕する実力に驚かされました。

強いて言えば、遠景シーンで開放絞りだと僅かに滲みがあることと、半端な距離感(縦位置での膝上ショットみたいな距離感)で規則的なパターンの対象を背景に配置した場合のボケ描写がウルサくなることが、気になると言えば気になる感じ。

だけれども、実売で5万円台で手に入るレンズであることを考慮すると誤差みたいなモンだとも思いました。それに、本レンズはS-Lineに属する性能で幅を利かせるキャラではないしね。

接写領域でのボケ味&ピント位置のシャープネスはお見事!

画像: 風が強かったので堪らず1/1000秒に。ほぼ至近端で少しイジワルな撮り方をしていますが、ハイライトエッジの色付きがよく抑えられていて良いね。ちなみに、ニコンは実効絞りなので、至近端近辺だとF3.5でも開放から1/3段しか絞ってません。開放F2.8の一般的なマクロレンズだと至近端では開放F5.6になるから、本レンズの開放F1.7ってのは威力がデカいね。 ■シャッター速度優先AE(F3.5 1/1000秒) プラス1.3露出補正 ISO100

風が強かったので堪らず1/1000秒に。ほぼ至近端で少しイジワルな撮り方をしていますが、ハイライトエッジの色付きがよく抑えられていて良いね。ちなみに、ニコンは実効絞りなので、至近端近辺だとF3.5でも開放から1/3段しか絞ってません。開放F2.8の一般的なマクロレンズだと至近端では開放F5.6になるから、本レンズの開放F1.7ってのは威力がデカいね。
■シャッター速度優先AE(F3.5 1/1000秒) プラス1.3露出補正 ISO100

それでも、開放口径がF1.7のレンズとして十分以上の実力があって、例えばヌケの良いクリアな描写で、ハイライトエッジの色付き(フリンジ)もよく抑えられていて好印象。あと、シャープなのだけれども、カリカリ過ぎないので、長時間鑑賞しても眼がチカチカしてこないのもGoodです。

特筆すべきと感じたのは撮影距離1m以内の領域。さらに、接写領域でのボケ味はとても美しく、それでいてピント位置はシャープさと柔らかさが調和していて、撮影画像を眺めているだけでも写真が上手くなったような心地。いわゆる性能の暴力的な写りじゃなくて、存在が軽いというかウキウキするような高揚感というか…。

画像: 逆光だと微妙にフレアっぽいかな? という気がしなくもないけれど、自然で良い感じ。個人的にはフレアが軽く出るレンズが好きです。お仕事だと出ない方が助かるけれども、フレアが出てないとCGみたいで違和感を覚えちゃう。ちなみに、将来的にZを買ったら絶対に買うレンズに選出しました。コレとシグマの20-200mmが使えればそれで事足りそう。DXで使うなら16-300でも良いか。フットワークが良い機材の魅力ってもっと語られて欲しいよ。 ■シャッター速度優先AE(F2.5 1/640秒) プラス1.3露出補正 ISO100

逆光だと微妙にフレアっぽいかな? という気がしなくもないけれど、自然で良い感じ。個人的にはフレアが軽く出るレンズが好きです。お仕事だと出ない方が助かるけれども、フレアが出てないとCGみたいで違和感を覚えちゃう。ちなみに、将来的にZを買ったら絶対に買うレンズに選出しました。コレとシグマの20-200mmが使えればそれで事足りそう。DXで使うなら16-300でも良いか。フットワークが良い機材の魅力ってもっと語られて欲しいよ。
■シャッター速度優先AE(F2.5 1/640秒) プラス1.3露出補正 ISO100

トヨタの勝手なイメージだけど、「ニコン、性能一直線から方針転換したのかな?(良い意味)」と思いました。これと同じことをZ 24-70mm f/2.8S Ⅱにも感じたのだけれど、グッと来ました。

注意点として、APS-CフォーマットのZシリーズはボディ側に手ブレ補正機構を持っていないので、手ブレに対してある程度の緊張感が必要。対応策としては、ISO感度設定で感度自動制御をONとし、低速限界設定をオートの+1か2(高速)にしておくか、シャッター速度を1/500秒程度にしておけば、ある程度の手ブレ対策になります。個人的にニコンのこの制御をとても高く評価しているので、他社さんもドシドシ追従して欲しい。

「マクロの愉しみ」を存分に味わえる=Zユーザーの特権がまたひとつ。

画像: 今回のファーストショット。もっとガリガリに写るかな?と思ってたけれど良い意味で裏切られて高揚感がありました。ピントも結構薄いし「これは性能出してきてる系だな」って感じだけど、アポランター教官みたいな緊張感はナシ。高性能だけど、肩肘張らない使用感って本当に爽やかな気持ちにさせてくれますね。 ■シャッター速度優先AE(F3.2 1/500秒) マイナス0.3露出補正 ISO100

今回のファーストショット。もっとガリガリに写るかな?と思ってたけれど良い意味で裏切られて高揚感がありました。ピントも結構薄いし「これは性能出してきてる系だな」って感じだけど、アポランター教官みたいな緊張感はナシ。高性能だけど、肩肘張らない使用感って本当に爽やかな気持ちにさせてくれますね。
■シャッター速度優先AE(F3.2 1/500秒) マイナス0.3露出補正 ISO100

「被写体に寄る」という、撮影という行為の中で大きな喜びがある手法を存分に楽しめるだけでなく、開放が明るくて軽いレンズというワガママの詰め合わせみたいなレンズだったので、撮影を心から楽しめました。

ヨイショ抜きにして、このレンズからでしか得られない心の栄養素があるし、悩む暇があったら分割払いにでもしてさっさと手に入れて持ち歩いて欲しいレンズのひとつとして強く推奨したいところ。

画像: ディープトーンモノクロームでパチリ。芯があるけれど僅かに滲むその塩梅がとても良い感じ。ピント面から僅かに外れたところがキレイに滲んで、すごく好き。AFレスポンスが良いから撮影が捗りましたよ。■シャッター速度優先AE(F2.1 1/640秒) プラス1.7露出補正 ISO180


ディープトーンモノクロームでパチリ。芯があるけれど僅かに滲むその塩梅がとても良い感じ。ピント面から僅かに外れたところがキレイに滲んで、すごく好き。AFレスポンスが良いから撮影が捗りましたよ。■シャッター速度優先AE(F2.1 1/640秒) プラス1.7露出補正 ISO180

仮の話として、遠くない将来、MC105mmに手を出したとしても、本レンズの魅力は微塵もゆらぎません。寄れて性能が良く、それでいてハンドリングも良いレンズなどナンボあっても困ることは無いからね。

語弊のある表現をすると、どれだけ素晴らしい光学性能や撮影性能の機材を持っていたとしても、日常的に持ち歩けなければ高価な文鎮と同じ、だからね。
機動力や腰の軽さも重要な性能のひとつとして、もっと認知されて欲しいと思っています。
ということで、大好きなレンズの登場を心から歓迎しています。

画像: 「マクロの愉しみ」を存分に味わえる=Zユーザーの特権がまたひとつ。

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