■宇佐見健氏プロフィール
1966年東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。専門誌出版社、広告代理店を経て独立。撮影ジャンルは360度全天球、水中、旅、風景、オーロラ、ポートレート、モータースポーツ、航空機、野鳥など多岐に渡る。カメラ誌等では新製品機材の実写インプレッションやHOW TO関連、カメラメーカー工場取材など多方面の記事を執筆中。カメラグランプリ外部選考委員。日本作例写真家協会(JSPA)会員。
■撮影共通データ:ソニー α1 Ⅱ 絞り優先AE WB:オート
ソニー FE 100mm F2.8 Macro GM OSS 主な仕様

●焦点距離:100㎜
●最短撮影距離:0.26m
●最大撮影倍率:1.4倍
●レンズ構成:13群17枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:11枚
●フィルターサイズ:67mm
●大きさ・重さ:φ81.4×147.9mm・646g
●付属品:フード ケース
ギミックを廃した「堅実な作り」に好感が持てますな。

レンズ先端方向にスライドした時が通常のAF撮影(AF合焦後のピント調整可能なダイナミックマニュアルフォーカスなども含む)。後方(マウント方向)にスライドするとフォーカスレンジリミッターの設定状況なども関係なく全域でピントリング回転のMF撮影に切り替わる。
フルサイズデジタル対応の中望遠90~120㎜クラスのマクロレンズカテゴリーで見渡すと、現況はレンズ単体での最大撮影は等倍までのレンズがほとんど。しかし、このFE 100mm F2.8 Macro GM OSSは最大撮影倍率は1.4倍まで撮影可能。さらに別売の2.0×テレコンバーターの使用で最大撮影倍率2.8倍まで稼げます。製品発表の際にマクロ撮影好きなユーザー界隈が少々ザワついたのは当然ですね。
従来の90㎜マクロ(SEL90M28G)に比べるとフィルター径が67mmへとワンサイズアップ。となると「それなりの重量になるのでは…」と心配しましたが、差は僅か数10グラム程度。最大径にいたっては2mm程度なので持った感触もほとんど変わりません。

ずらりと並んだ切替スイッチ類。DMFはAFでもピントリング操作によりMFに移行できる機能だが、レンズだけでON/OFF設定が可能。上位機種の新世代レンズでは搭載がお約束ともいえる、絞りリングと鏡筒の上方に追加された2基となったフォーカスストップボタンはとても便利。
この新型マクロでは4基ものXDリニアモーターを搭載したフローティングフォーカス機構を実現。フォーカシングによる鏡筒の伸縮はなく、重量バランスの変化もほぼナシ。メーカーの製品紹介サイトで謳われている「撮影可能な領域すべてにおいて高速かつ静粛なAF駆動が被写体をフレームに捉える」という安定感を実感できます。

見上げた高さにある落葉間近の一葉を透かし気味の光線で。撮影後の再生画面を確認した際に手応えを得ていたのですが、パソコン画面で展開(Imaging edge VIEWERで拡大 画像右)すると、迷路のような葉脈をくっきりと捉えらえています。これぞGマスターの真骨頂。
■絞りF2.8 プラス1.7露出補正 ISO125
さらに安定感と言う部分では、前後方向とシフトブレにも対応できる最新の光学式手ブレ補正が効果的に働いてくれます。静粛で快適なAF駆動のおかげもあって、良いフィーリングで被写体に向き合えました。
軽快なAFはソニーならでは! そしてGマスターの描写力!

背景でキレイな花がとろけるようにボケていたとしても、被写体の生々しさが画面を支配していまいますね。…このテの被写体が苦手な人は、夢に出てしまったらごめんなさいね。
■絞りF5.6 プラス0.3露出補正 ISO125

撮れと言わんばかりのカマキリ。コントラストが低く白っぽい複眼でしたが迷わず瞬速でAFを合わせに行っていたのは感心しました。
■絞りF4.0 プラス0.3露出補正 ISO125

最短距離付近で撮影できたので等倍以上の撮影倍率は稼げているはず。拡大すると太陽光を受けてキャッチライトのように光る一部の複眼レンズも確認できます。
■絞りF5.6 プラス0.3露出補正 ISO400

アブの飛翔をクロップでとらえました。以前は多点測距の一眼レフで結構撮ったシーンなのですが、腕がすっかり鈍り寄り切れません。でも、被写体検出&トラッキングAF&プリシャッター撮影&Gマスターレンズの描写力さらにトリミングで体裁は整ってしまうものですね。
■絞りF5.6 1/1600秒 ISOオート
久しぶりに公園の花壇で昆虫を撮影をしました。αの被写体検出(昆虫)やトラッキングAF、さらにシャッターボタン押下のタイミングを遡って記録するプリ撮影と組み合わせての撮影が楽しく、あっと言う間に時間が過ぎてしまいました。
マクロレンズといえども遠景撮影にも抜かりナシ。


夕景の空を羽田空港へ向かう機影が2つ。試しに画像調整の明るさを最大に調整して400%の拡大で確認すると、どちらもANAの機体と判別でき、Gマスターレンズの解像力に感服。
■絞りF8.0 マイナス1.3露出補正 ISO100
現場でシャッターを切りながら、また要所要所で行う画像の再生確認からも十分な手応えが得られましたが、パソコン画面で大きく展開すると撮影中には気づかなかった被写体ティテールの再現性や解像性能に驚かされます。
既存のマクロ好きにも初めての人にも満足度の高い一本!

手前数メートルから奥までの構図ですが、絞りをF11で撮影、ピントを合わせた樹皮の描写はリアルで手で触った時の触感が想像できそうなほど。ボケとなった部分も柔らかく画面に自然な奥行を感じさせます
■絞りF11 マイナス0.3露出補正 ISO400
ソニーの光学技術の粋を集めたGマスターレンズだけに、極めて高い解像性能と美しいボケ味を兼ね備えていることは言うまでもない。が、100mmマクロのカテゴリーではレンズ単体で手軽に最大撮影倍率1.4倍を得られ、しかも無限遠から最短撮影までオートフォーカスで被写体を追える軽快さは「無双」と言える。
もちろん、何でも最高倍率で撮れば良いということではない。撮影倍率が高くなるほど昆虫などの動体の被写体は補足・追従などフレーミングが難しくなるし、静止状態の被写体でも撮影者の身体の些細な動きが撮影結果に大きく影響する。
その点でも高速・高精度の被写体検出・追従機能といったAFシステムに加えてレンズとカメラボディのダブルで威力を発揮する手ブレ補正の効果は絶大で歩留りが良い。上級者の領域だった超マクロ撮影はもはや誰もが楽しめる身近な撮影テーマになったことを実感できるはず。
近接撮影性能重視のマクロレンズとはいえ100㎜ならば「風景やポートレート撮影にも重宝…」なんて文言は月並みだが、ことポートレート撮影においては、「お肌の調子が見え過ぎちゃって困る」とモデルの心証を損ねることなどないよう撮って出し至上主義の人は留意されたし。ネイチャーマクロ系に限らず多ジャンルの撮影でマクロGマスターの描写力を堪能できる至上の1本だ。



