■助川康史氏プロフィール
1975年10月生まれ、鉄道写真が専門のプロカメラマン。鉄道ジャーナルや時刻表表紙などで活躍中。(有)マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ所属。日本鉄道写真作家協会(JRPS)所属。
プロカメラマン助川康史氏のニコンZ5IIのセッティングは?
ガチ鉄には嬉しい被写体検出&高いAF能力
ニコンZ5IIのAF性能の高さやその他機能は兄貴分であるZ6III、そしてZ9やZ8からも受け継がれていて、その能力の高さは『スタンダード機』という枠を超えた驚きを覚えてしまう。その中でもZ5IIの驚愕のAF能力は鉄道写真撮影でもピカイチの働きをしてくれるに違いない。

編成写真撮影を始め、列車を大きく撮影する場合でも構図を固定することがほとんど。よって、列車の動きに合わせてAFポイントが移動する「3D-トラッキング」がベストだ。
特に編成写真などの列車を大きく撮影する時のセッティングは「被写体検出(乗り物)」+AF-C&3D-トラッキングの組み合わせがオススメだ。列車の先頭部でピントを合わせる位置はヘッドライトやその周辺部がセオリー。Z5IIの被写体検出(乗り物)は列車の顔全体を認識し、ヘッドライト周辺部にピント合わせをしようとしているそうだ。そういう設定は編成写真撮影大好きの「ガチ鉄」には嬉しい限り。
またZ6IIIと同じくマイナス10EVの低輝度でも検出するAF能力を持つ。Z9やZ8のマイナス9EVを上回ることが驚きである。暗所での撮影も多くなりがちな鉄道写真撮影で威力を発揮することは間違いない。
ちなみに3D-トラッキングのAFポイントは列車が奥に見えた時からAFがスタートできる場所に配置しよう。被写体検出(乗り物)の検出枠が出る前からAF-ONでピント合わせは可能だが、列車と判断して検出枠が出現し、3D-トラッキングのAFポイントに近づいた時にAF-ONにすれば両者がしっかり合わさって動作するので安心感が増す。あとはシャッターポイントの少し奥から「高速連続撮影(拡張)」で撮影すればOK。なおRAWデータを含む撮影をする場合、高速連続撮影(拡張)は11コマ/秒になる。
さらに速い連写が欲しければ、JPEGのみなら最大14コマ秒、ハイスピードフレームキャプチャー+(C30)なら約30コマ/秒の超高速連写も可能。ただしハイスピードフレームキャプチャー+(C30)はZ6IIIよりもリフレッシュレートが遅い電子シャッター撮影なので、高速で走る列車を画面いっぱいに大きく撮るとローリング歪みが目立つ。鉄道写真撮影ではメカシャッターを常用するのが良いだろう。

大雨の中、水しぶきを上げて驀進するN700S系を狙う。当然露出は厳しく、追尾AFでのピント合わせは苦しい状況だが、Z5Ⅱの被写体検出(乗り物)と高精度AFが先頭部を難なくベストピントで捉え続けてくれた。
■NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR マニュアル露出(絞りF6 1/1600秒) ISO6400 WB:晴天
ニコンZ5IIのオススメ設定【鉄道編】
鉄道写真撮影では撮影モードを『マニュアル』にして露出を予め固定した方が良い。露出オートにすると、列車が来た時に列車の色やヘッドライトの明るさに露出が左右されやすいからだ。鉄道風景写真のように列車が小さい場合はほとんど影響が無いが、それでも『マニュアル』をおすすめする。
また、編成写真のような列車が大きめの構図でカメラに向かってくるようなピントの前後移動が大きい場合にAF-C(コンティニアスAFモード)、鉄道風景写真のように列車が小さく、列車の撮影範囲が被写界深度内に収まるようであればAF-Sを使い分ける。AF-C設定時のAFエリアは画面内の列車の動きに合わせて最適なものを選ぼう。
- 撮影モード:マニュアル露出
- 画質モード:「RAW」のみまたは「JPEG・FINE★(14コマ/秒高速連写使用時)」
- フォーカスモード:AF-C(編成写真などの車両走行写真)、AF-S(鉄道風景写真や鉄道スナップ)
- AFエリアモード:3D-トラッキング(AF-C時)、シングルポイント(AF-S時)
- 被写体検出:乗り物
- レリーズモード:高速連続撮影(拡張)
- ISO感度:マニュアル
- ISO感度オート範囲:デフォルト
- シャッター方式:メカシャッター
- ピクチャーコントロール:ニュートラル(カスタマイズ済み)
- WB:晴天・曇天・晴天日陰・K(ケルビン)を使い分け
Text&Photo:助川康史
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