■豊田慶記氏プロフィール
広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープ等の写真に感銘を受け写真の道を志す。スタジオマン・デジタル一眼レフ開発などを経てフリーランスに。作例デビューは2009年。カメラ誌でのキャリアは2012年から。カメラグランプリ外部選考委員。日本作例写真家協会(JSPA)会員。
キヤノン RF24-240mm F4-6.3 IS USMのインプレッション
利便性に優れる高倍率ズーム

フレア・ゴーストが発生するシーンもあるが、個人的にはむしろ有り難い特性。ワイド側はシャープで気持ちの良い描写だ。
■24mm 絞り F5.6 1/250秒 プラス0.7露出補正
■共通撮影データ/ EOS R1 ISO100 WB:オート
2019年8月末に登場したフルサイズに対応する光学10倍ズームレンズ。キヤノンは「小型・軽量」であることをアピールしているものの、全長約123mm・重さは約750gもあるので首を傾げたくなるが、スペックからすれば頑張っているという感触だろう。少し極端な例となるが、本レンズとRF200-800mmを組み合わせることで、たった2本で24mmから800mmまでをカバーするシステムが構築できるのは魅力だ。
適度な重さと滑らかな操作感のズームリングで使用感が良く、テレ端までレンズを伸ばしても鏡筒にガタツキはなく安心感がある。

ワイド端での最短撮影距離は0.5mだが、レンズ自体の長さを考慮するとレンズ先端から35cm程度まで寄れるので、スペックから想像するよりもポジティブな印象。またテレ側では0.78mまで寄れ、撮影倍率は0.26倍となかなかに高いので全体としては使い勝手が良いという感想を持った。ナノUSMによるAFは快速かつ静粛で心地良く、EOS R1との組み合わせでは手ブレ補正もかなり良好だった。
本レンズは過去2度テストをしており、当時の印象は「高倍率ズームとしては素直なボケで140mm程度までは解像性能も悪くない」というもの。だが、それ以上の領域は「高倍率ズーム」という前提があったとしても褒められないぞ」という感想。率直に言えば「ワイド側は良いけどテレ側がイマイチ」だったので、あまり良い印象を持っていなかった。

テレ側の遠景では解像が厳しく見えることもあるけれ ど、この便利さからすればそれは些細なことだろう。
■240mm 絞り F9 1/500秒 マイナス2.0露出補正
疑心暗鬼で今回、再々度テストしてみたが、当時の印象よりも良かった。個体差というよりはDLOを含むレンズ補正がより洗練された結果と想像するが、200mm弱まではカメラJPEGで楽しむ限りにおいては10倍ズームと思えないほどシャープに解像しており、前述の通りボケも悪くないので撮影を楽しめた。フードが付属しないことは少々残念だが、この実力であればオススメしたいレンズだ。

Photo&Text:豊田慶記
RF24-240mm F4-6.3 IS USMのスペック
- 焦点距離=24~240mm
- レンズ構成=15群21枚
- 画角(対角線)=84°~10°20′
- 最短撮影距離=0.5m(24mm 時)
- 最大撮影倍率=0.26倍(240mm 時)
- 最小絞り=F22(24mm 時)、F36(240mm 時)
- 絞り枚数=7枚(円形絞り)
- フィルター径=72mm
- レンズフード=EW-78F(別売)
- 最大径×長さ=約φ80.4mm×122.5mm
- 重量=約750g
価格:オープン(実売14万8500円)※価格は記事執筆当時のものです
発売日:2019/8/29
