1997年に初めて鈴鹿に行ってから一瞬で虜となり、以降毎年欠かさず一般観客席(あるいはカメラマンシート)からF1を撮っています。つまり僕が写真を始めるようになった、その原点でもあるのです。ということで、カメラマン編集部にダメ元で「シグマの300-600mmあるいはソニー400-800mmを使ってみたい!」と懇願したところ、まさか「2本同時にインプレッションせよ」とは…。嬉しい反面、どう考えても無茶振りですよね(笑)

シグマ 300-600mm F4 DG OS | Sports

画像: シグマ 300-600mm F4 DG OS | Sports

●焦点距離:300-600mm
●最短撮影距離:280(W)-450(T)cm
●最大撮影倍率:1:6 (焦点距離470mm時)
●レンズ構成:21群28枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:13枚
●フィルターサイズ:40.5mm(リア)
●大きさ・重さ:φ167.0 x 469.9mm・3970g(ソニーE)
●付属品:フード・ケース・ストラップ・ドロップインフィルターホルダー

画像: なんとも言えない美しいボディーライン。パッと見は超望遠単焦点レンズだが、スーパー画質のズームレンズ。

なんとも言えない美しいボディーライン。パッと見は超望遠単焦点レンズだが、スーパー画質のズームレンズ。

画像: 編集部にて受け取りの図。このとき、シグマにはソニーのテレコンが使用できないことが分かり、軽くショックを受ける。

編集部にて受け取りの図。このとき、シグマにはソニーのテレコンが使用できないことが分かり、軽くショックを受ける。

F1日本グランプリは昨年から、これまでの秋から春開催に変わりました。光的には秋の方がキレイなんですが、仕方ありません。それよりもトピックとなったのは、なんと日本グランプリ直前で日本人ドライバー=角田裕毅が、あのレッドブルへ昇格!! カオスなことになるのは行く前から想像ついちゃいましたね。

予想は的中。金曜日からもう大混雑。そんな人込みの中、お借りした2本プラス自前のキヤノン機材と600mmも持っていくと言う暴挙。超望遠レンズ3本背負ったお馬鹿さんでしかありませんでしたよ!!

総額幾らなんだよって感じです。そしてその重量たるや撮影しにきたのか修行しにきたのか、どちらかというと後者になってしまい、翌日からは自前の機材は宿に置きっぱなしにして、シグマさんとソニーさんの2本に絞りました。

画像: シグマ300-600mm。なるべくローアングルで撮りたく、座っての撮影。ハイスピードコーナーリング時にこの画角で背景に看板を入れられるのはほんの僅かの瞬間だ。なかなかスリリング。 ■(600mm) F4 1/320秒 ISO50

シグマ300-600mm。なるべくローアングルで撮りたく、座っての撮影。ハイスピードコーナーリング時にこの画角で背景に看板を入れられるのはほんの僅かの瞬間だ。なかなかスリリング。
■(600mm) F4 1/320秒 ISO50

金曜日のFP1は、シグマ300-600mmからテスト。まずは外観、とにかくカッコいいですよね。色白さんで美しい!! このレンズにはオプションで可変NDフィルター、PLフィルターがあり、それもお借りできたので可変NDフィルターを入れて流し撮り。

これまでだと天候に合わせて絞りを決めISO感度を調整しつつ…と面倒だったのを、この可変NDフィルターだとクリクリするだけ!! これは各メーカーさんにも真似してもらいたい、というより他メーカーさんより先にやってしまうシグマさんを賞賛です!!

画像: シグマ300-600mm。日本グランプリではもう一人の日本人が走行。FP1だけだがF-1マシンをドライブした平川選手。シャッターチャンスはそう多くはないが、大好きなポイントでいい感じに撮れた。 ■(497.3mm) 絞りF8 1/20秒 ISO50

シグマ300-600mm。日本グランプリではもう一人の日本人が走行。FP1だけだがF-1マシンをドライブした平川選手。シャッターチャンスはそう多くはないが、大好きなポイントでいい感じに撮れた。
■(497.3mm) 絞りF8 1/20秒 ISO50

三脚座のクリック機構もお気に入りポイントです。ほぼ90度クリックにしてましたけど、切り替えられるに越した事はありません。また、このレンズは遮光塗料が施工されているので、炎天下でも鏡筒が熱を持ちにくくなってます。熱膨張による光学性能低下を少しでも回避するための仕様ですね。こうした配慮は、被写体が陽炎の影響を受けているようなシーンで「使える絵」として残せるかどうか、大きなポイントです。

ソニー FE 400-800mm F6.3-8 G OSS

画像: ソニー FE 400-800mm F6.3-8 G OSS

●焦点距離:400-800mm
●最短撮影距離:170-350cm
●最大撮影倍率:0.23倍
●レンズ構成:19群27枚
●最小絞り:F36-45
●絞り羽枚数:13枚
●フィルターサイズ:105mm
●大きさ・重さ:φ119.8 x 346mm・2475g
●付属品:フード・ストラップ

画像: 200-600mmだと焦点距離的にちょっと物足りなく、もう少し! という声が多かった?? そんな声を反映して出してくれたであろうソニーさんって素敵です。

200-600mmだと焦点距離的にちょっと物足りなく、もう少し! という声が多かった?? そんな声を反映して出してくれたであろうソニーさんって素敵です。

そして午後はソニー400-800mmに1.4倍のテレコンを付けて(シグマにはソニーのテレコンは装着不可でした!)ドアップ撮影。ヘアピンで撮影したのですが、焦点距離1000mm超えでマシン追従させるにはレンズの振り方にちょっとクセがあるので、手振れ補正はモード3を選択。

これがまた良い仕事してくれました!! 今までの自分では考えられないくらいの手ブレ補正の恩恵ってやつを受けられました。また、以前の200-600mmだとフードロックがなくてガッカリしましたが、今回の400-800mmはその辺もアップデートされてて安心!! 知り合いとかは担いで移動中に落としという声もチラホラ聞きましたからね。

画像: ソニー400-800mm。赤旗中断が4回もあったFP2。チャンスとばかりに2回目の中断の時に移動。太陽が出ていなかったらこの場所を選んではいなかっただろう。 ■(1120mm)絞りF11 1/1250秒 ISO250

ソニー400-800mm。赤旗中断が4回もあったFP2。チャンスとばかりに2回目の中断の時に移動。太陽が出ていなかったらこの場所を選んではいなかっただろう。
■(1120mm)絞りF11 1/1250秒 ISO250

こういった所は、ソニーはユーザーやプロサポートを受けている方の意見をどんどん取り入れて改善してくれるのだと感じました。ちなみに200-600mmと比べ一回り大きくなりましたが、持ち運ぶにはさほど問題ありませんでした。

これまでは自前のEF600mmに×2のテレコン(ボディはEOS-1Dx MarkⅢ)を付けて1200mmで撮影していたのですが、昨今のF1マシンは車幅が2.0mということで、微妙に長いんです。そこで、この400-800mmに1.4テレコンの1120mmはベストなんです!!

画像: ソニー400-800mm。オーダーの角田選手のドアップ。これを撮ったあとは赤旗中断が数回あり、さらに一部の影がヘルメットに掛かるようになってしまった。始まって直ぐに押さえられたのは幸いだった。 ■(1120mm) 絞りF11  1/1000秒 ISO200

ソニー400-800mm。オーダーの角田選手のドアップ。これを撮ったあとは赤旗中断が数回あり、さらに一部の影がヘルメットに掛かるようになってしまった。始まって直ぐに押さえられたのは幸いだった。
■(1120mm) 絞りF11  1/1000秒 ISO200

さすがに純正品ということで、AFも速くて快適でした。それにしてもテレコン装着の絞りF11でF1をしっかり追従するってカメラもレンズもヤバいです。おかげ様で赤旗が出る前にサクッとオーダーされた撮影を終えることができました。そのあとは自由にそのまま1120mmでやらさせて頂きました。ちなみに最近のF1は昔と違って自由席での撮影ポイントも激減、移動する時間も考えないとなりません。

ダブル金網地獄をクリアするには??

土曜日午前の撮影は、再びシグマ300-600mmで撮影。ここでも可変NDフィルターが大活躍です。また、この300-600mmには「フォーカスプリセット」もあり、僕もよく使う機能なのでとても有効でした。あらかじめ決めておいたフォーカス位置に瞬時に飛んでくれるので、そこから微調整するだけ。超望遠レンズでは大きなアドバンテージです。

画像: シグマ300-600mm。駐車してる車で背景ギラギラを狙っていたが、台数が少なく予想外。諦めず何か無いかと探して見つけたスイートスポット。 ■(396.9mm) 絞りF6.3 1/15秒 ISO50

シグマ300-600mm。駐車してる車で背景ギラギラを狙っていたが、台数が少なく予想外。諦めず何か無いかと探して見つけたスイートスポット。
■(396.9mm) 絞りF6.3 1/15秒 ISO50

午後に備えて移動するも昨年とは景色が違っていて、予定してたカットが撮れない状況に…。が、ションボリしてる暇はありませんので、慌てて移動。今回はお借りした2本がスッポリ入るカメラバッグを用意して本当に良かったと思いましたー。

競歩レベルで移動するも、人があまりに多くて…。次なる目的地まではムリと判断し、予選は厄介な「ダブル金網地獄」で撮ることに。

ここはもう、ソニー400-800mmに1.4倍テレコンで撮るしかありません。試し撮りしてみたら何とかなると判断して予選はそこで撮影しました。天気はラッキーなことに曇り…これが仮に晴れてたら金網の写り込みが凄くて使い物にならなかったでしょうからね。

画像: ソニー400-800mm。好きなバックショット。構図優先であえてマシンを少しだけ切っての撮影。マシン上部にはマシンから出る熱もいい感じに写ってくれた。 ■(1120mm) 絞りF11 1/1250秒 ISO400

ソニー400-800mm。好きなバックショット。構図優先であえてマシンを少しだけ切っての撮影。マシン上部にはマシンから出る熱もいい感じに写ってくれた。
■(1120mm) 絞りF11 1/1250秒 ISO400

画像: ソニー400-800mm。他のレースでは背景にこれだけのお客さんは写らない。直前は晴れてて露出が落とせなかったが曇ってきてくれたので、やりたかったスローシャッターに切り替えた。 ■(980mm) 絞りF11 1/80秒 ISO50

ソニー400-800mm。他のレースでは背景にこれだけのお客さんは写らない。直前は晴れてて露出が落とせなかったが曇ってきてくれたので、やりたかったスローシャッターに切り替えた。
■(980mm) 絞りF11 1/80秒 ISO50

とはいえ雲も厚くなったり少し晴れ間が差したりで露出変化に対応するのが大変でした。ドーンと曇った時には落とせるだけシャッタースピードを落としました。ソニー400-800mmはドロップインフィルターではないので、使いこなすにはその辺の投資も必要でしょうね。

ソニーでそれなりにいい感じで撮れたので、ここでまたシグマ300-600mmにスイッチ。と、ここで発見。なんと500mm以上で開放F4で撮れば、金網が写り込まないんです。ということで予選Q3はシグマで撮影し、土曜日を終えました。

画像: シグマ300-600mm。鈴鹿といえば赤い観覧車が頭に浮かび、それと絡めるには自由席ではここだけ。しかしダブル金網越しでそれを写し込まないようにするには工夫が必要だった。 ■(544.3mm)絞りF4 1/640秒 ISO80

シグマ300-600mm。鈴鹿といえば赤い観覧車が頭に浮かび、それと絡めるには自由席ではここだけ。しかしダブル金網越しでそれを写し込まないようにするには工夫が必要だった。
■(544.3mm)絞りF4 1/640秒 ISO80

そして決勝は、鈴鹿サーキットでは秘境の地であるスプーンへ。遠い。本当に遠かったです。のんびりし過ぎたのかすでに人がいっぱい。なんとか隙間を探し出してスタンバイ。が、少しすると前の人が移動してくれたのでサクッとポジショニング。

画像: シグマ300-600mm。F1撮影の締めくくりは、この初めての場所で。レンズを振るスペースがなかったので、ブラインドから出てくるのにはなかなか苦労させられた。 ■(600mm) 絞りF8 1/30秒 ISO50

シグマ300-600mm。F1撮影の締めくくりは、この初めての場所で。レンズを振るスペースがなかったので、ブラインドから出てくるのにはなかなか苦労させられた。
■(600mm) 絞りF8 1/30秒 ISO50

なんとか押さえは撮れたので、ここからは移動しながらのポイント探し。普段は撮らないような角度で撮ってみたくなり、残りの時間はこの場所に賭けることに。すぐ隣りにお客さんも居るので、レンズの振り幅は少なく、さらにマシンがかなりのスピードで駆け抜けて行くのでなかなかトリッキー。でも、、やってる内に慣れてきて上手くシンクロさせられました。

円安やインバウンドの影響で、ここ最近は外国の方も沢山来ていて異国のサーキットに来たみたいな雰囲気でしたね。それもそのはず、今年の来場者数は3日間で延べ26万6千人! 鈴鹿で日本グランプリが再開された2009年以降では最多記録とのことでした。

画像: 超望遠ドリームセットとでも言おうか。こんな贅沢なバッグの中身ってありますか?(笑) カメラボディの下には、なんとテレコンが2つも入っている!!

超望遠ドリームセットとでも言おうか。こんな贅沢なバッグの中身ってありますか?(笑) カメラボディの下には、なんとテレコンが2つも入っている!!

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