キヤノン PowerShot V1の主な仕様


カメラボディは手のひらサイズで、余計な凹凸をなくしたシンプルなデザイン。3.0型のTFT式カラー液晶モニターはバリアングル式で、自撮り時の見え具合も快適でした。レンズをこちら側に向けた自撮り時は、左手でボディを握ることになるのですが、グリップ上部の切り込みのような凹んだ部分のおかげで、とても握りやすかったです。
●センサー:1.4型CMOS
●有効画素数:約2230万画素(動画時約1870万画素)
●レンズ焦点距離:約16-50mm(35ミリ判換算)
●レンズ開放値:F2.8-4.5
●ISO感度:100~32000(動画100~12800)
●動画性能:4K60P(クロップ)
●液晶モニターサイズ:3.0型TFT 約104万ドット
●記録メディア:SD/SDHC/SDXC UHS-Ⅱ
●大きさ・重さ:約118.3×68.0×52.5mm・約379g(本体のみ)
手持ちで気軽に自撮り撮影できる!
●撮影モード:オート●動画記録サイズ:FHD59.94fps●動画電子IS:オン
youtu.beキヤノンの「PowerShot V1」は、1.4型CMOSセンサーを搭載したコンパクトデジタルカメラで、発売前から動画界隈でかなり話題の製品でした。まず、35mm判換算で約17mm(静止画は約16mm)の広角画角スタートが大きなメリットで、自撮り動画撮影時に自分の顔だけではなく、周りの風景を多く取り入れた撮影が可能です。
光学式手ブレ補正は静止画撮影時で5段の補正効果で、動画撮影時は電子式手ブレ補正との同時使用が効果的です。ジンバルを使用しなくてもカクカクしない、滑らかな動画になります。コンニャク現象も見られず、驚くほど綺麗な映像が手持ち撮影で撮れました。
少し意地悪なくらいカメラを速く動かしてみましたが、AFは外れることなく追従し、シャボン玉や後ろの人へピントが移ることもありませんでした。また、カメラを持ってぐるぐる回転して、被写体である筆者に当たる光の状況を変えたりしてみましたが、見やすい自然で綺麗な露出を保ってくれました。
頑張って粘るAF
●撮影モード:マニュアル(絞りF5 1/50秒)●動画記録サイズ:FHD59.94fps●動画電子IS:オン●NDフィルター:オフ
youtu.beかなり風の強い日に撮影したのが、こちらの花のトンネルの動画です。造花が風に強く揺らされている状況で、AFが迷子にならないかと心配しながら撮影していました。実際、2度ほどピントが外れて一瞬ドキッとしましたが、すぐにリカバリーして、構図中央部の目立った花にピントを合わせてくれました。
スチールと違い動画の場合は撮りながら歩いたり、全体を右から左にパンして写したいなどのシチュエーションが多く、少し前まではピントが意図しないところに行ってしまうことを回避したくて、MFで固定して撮っていたりもしました。
このように、色とりどりの被写体があるシーンなんて、AFが苦手なシーンなはずなのに、粘ってピントを合わせ続けていました。これはレンズ一体型ならではの強み=性能なのでしょうが、かなり感動しました。
Vlogをライトに撮りたい方にオススメ!
●撮影モード:マニュアル(絞りF5 1/50秒)&オート●動画記録サイズ:4K29.97fps●動画電子IS:オン●NDフィルター:オート
youtu.beこちらはマニュアルの撮影モードと、オートモードを併用して撮影しています。本機のダイナミックレンジは最大13ストップです。これは1.4型センサーとしては高い数値なので、本格的にカラーコレクション、カラーグレーディングをして仕上げるなら、Canon Logをオンにして撮影したいところ。ですが、今回はどれだけ気軽に動画を撮れるかを追求したいので、ピクチャースタイルも色々試してみました。
「ピクチャースタイル:スタンダード」が派手すぎず、見た目に近い色合いになるのでこちらをメインに使用しましたが、前述の花の動画は「ピクチャースタイル:風景」を使用して、鮮やかさを強調しています。動画の場合、ともすれば鮮やかになりすぎて目が疲れるような映像になってしまうこともある「風景」モードですが、色飽和しない、自然な色味の強調効果で、筆者的にかなり好感度が上がりました。
この動画も、青空や白い壁が変に強調されず、見た目に近い色合いで再現され、質感も損なわれていないので、後からカラコレしたくない気軽なVlogなら、ピクチャースタイルを好みのムードに合わせて変えて、ライトに撮るほうが楽しそうです。
ズームとパンの作例動画
●撮影モード:マニュアル(絞りF5 1/50秒)●動画記録サイズ:FHD59.94fps●動画電子IS:オン●NDフィルター:オフ
本機はレンズ一体型で、8.2-25.6mm(35mm判換算:約17-52mm相当)のレンズが搭載されています。動画時のズーム動作も滑らかで、普段は動画でズームを使用しない筆者も、これなら使いたくなりそうです。
続くパンの作例動画は、前半は「カラーフィルター:StoryTeal & Orange」を、後半は「カラーフィルター:Sepiatone」を使用しています。14種類のカラーフィルターを搭載しているので、好みのカラーフィルターを充当して撮影して、スマホに転送してスマホアプリで編集、SNSアップなんて流れで楽しく使えそうです。
肝心のパンの写りですが、カメラを水平移動させる分には問題なく、歪みのない、気持ちの良い写りになりました。広角端で斜めにカメラを移動させると、四隅に少し歪みを感じる画になるので、水平垂直がシビアな建物などが多いシーンでは注意して撮影しましょう。
広角側スチール作例

■絞りF2.8 1/160秒 ISO500 WB:オート ※ワイド端
静止画のクロップなしの撮影時の広角端は、35mm判換算で約16mm相当の焦点距離になります(1.4倍クロップの静止画撮影時は約23mm相当、クロップなしの動画撮影時は約17mm相当の焦点距離)。本機を持ち出すのは旅行や日常の街中が多いでしょうから、景色を広く写せる16mm画角はありがたいです。
ホワイトバランスはオートで撮影しましたが、色味のバランスが自然で、見た目に近い色合いを再現しています。広角端では最短5cmまで近付いて撮影ができるので、カメラの小ささもあって、体感的に、ものすごく近寄れる印象でした。

■絞りF5 1/1600秒 ISO100 WB:オート ※ワイド端
筆者は動画撮影する可能性のある機種は、スチール撮影時もウィンドスクリーンを付けっぱなしにしているのですが、本機はこのウィンドスクリーンのもふもふが、本体の電源ボタンに少しかかってしまう構造で、いつも電源オン・オフ時に「あれ?電源ボタンどこだ?」と、もふもふに隠れたボタンを探す事象が頻繁に発生しました。
少し毛足が長いかなとも感じたので、ノイズ防止に大きな影響がないなら、もうちょっと短くカットしたいくらいでした。もしくは、電源ボタンの逆側に毛の流れを癖付けすると、使いやすくなるかもしれません。
望遠側スチール作例

■絞りF4.5 1/500秒 ISO100 WB:オート ※テレ端

■絞りF4.5 1/160秒 ISO100 WB:オート ※テレ端
静止画のクロップなしの撮影時の望遠端は、35mm判換算で約50mm相当の焦点距離になります(1.4倍クロップの静止画撮影時は約71mm相当、クロップなしの動画撮影時は約52mm相当の焦点距離)。開放F値はF2.8-4.5なので、望遠端でもとろけるようなボケはさすがに難しいですが、わざとらしくない自然なグラデーションのボケなので、人物でも風景でも、使いやすいボケ味です。
画質、AF、描写性能共にバランスの良い一台ですので、バッグに小さいカメラだけを入れてフットワーク軽く動きたい方、Vlogを日常的に撮る方、自撮りの多い方にお勧めできる機種です。
人物でも風景でも、使いやすいボケ味です。

■絞りF4.5 1/200秒 ISO100 WB:オート ※テレ端
本機はコンデジではありますが、スマホからステップアップする動画入門機というよりも「すでにミラーレス機で動画を撮っているけど、大きなカメラやジンバルを持ち歩くのが嫌になった方」が、より気軽に、でも本格さは失わずに撮影をしたい、さらに「サブカメラ」としても最適な機種だと感じました。
画質、AF、描写性能共にバランスの良い一台ですので、バッグに小さいカメラだけを入れてフットワーク軽く動きたい方、Vlogを日常的に撮る方、自撮りの多い方にぜひお勧めしたいです。