サスガというか、やっぱりというか…シグマのカメラって、良くも悪くも我々の感性をキックしてくれますよね。たくさんの後付けユニットが用意されたfpとは真逆、BFではオプション的要素をとことん排除、さらに内部でも「断捨離」しまくっています!

撮影共通データ ■シグマ50mm F2 DG | Contemporary 絞り優先AE WB:オート

シグマBFの主な仕様

画像1: シグマBFの主な仕様
画像2: シグマBFの主な仕様

使うかもしれない?…なモンは搭載しません!

画像: とにかく美しいのヒトコト。持ってるだけでニヤニヤしてしまう美しさだ。

とにかく美しいのヒトコト。持ってるだけでニヤニヤしてしまう美しさだ。

どうしていつもシグマなんだろう。SIGMA BFの発表を目にした最初の感想だ。CP+前に発表になったSIGMA BFがいよいよ5月24日に発売となる。

必要なものを厳選し可能な限りシンプルな構成としたSIGMA BFは最も美しいカメラといっても過言ではないだろう。ミニマルな基本ボディをベースにアレコレを追加することで様々な要望に応えられるfpシリーズとは異なり、SIGMA BFは使わないものは使わない、と、限定された使い方に特化している。

画像: ゴムシボなどは使わず、すべてが削り出し。細かな凹凸加工のおかげで滑りにくい。上部の小さな穴はステレオマイクだが、その穴ですらデザインの一部となっている。さらにボディキャップもしっかりデザインに組み込まれている。

ゴムシボなどは使わず、すべてが削り出し。細かな凹凸加工のおかげで滑りにくい。上部の小さな穴はステレオマイクだが、その穴ですらデザインの一部となっている。さらにボディキャップもしっかりデザインに組み込まれている。

画像: 直線的なラインが印象的だが、手の当たる部分はしっかり面取りされて、金属ボディの硬さを感じない。この仕上げもまた美しい。

直線的なラインが印象的だが、手の当たる部分はしっかり面取りされて、金属ボディの硬さを感じない。この仕上げもまた美しい。

同社の製品ページにもわざわざ「創造性を妨げるあらゆる要素を排除しています」と表記しているくらいだ。fpのようなEVFはオプションでも用意されず、ホットシューも装着不可。fpシリーズと共通だがメカニカルシャッターは持たない。

fpシリーズユーザーの多くが単体利用をベースにそのデザイン性とライフスタイルへのマッチングを楽しんでいることから、その方向性で全ブリしたスペシャルなモデルといえるだろう。

アルミボディは経年でどう変化する?

画像: バッテリーは底部カバー一体形。本機のスタイルからすると予備バッテリーの心配はせずに、1つでなんとかなるのでは?


バッテリーは底部カバー一体形。本機のスタイルからすると予備バッテリーの心配はせずに、1つでなんとかなるのでは?

画像: 一番下の電源ボタン以外はハプティクスタイプ。最初は違和感を感じるかもしれないがすぐに慣れるはず。サムレストも装備しており持ちやすさは悪くない。

一番下の電源ボタン以外はハプティクスタイプ。最初は違和感を感じるかもしれないがすぐに慣れるはず。サムレストも装備しており持ちやすさは悪くない。

既にあちらこちらで紹介されているがSIGMA BFはアルミの削り出し。ブロック状態のアルミから削り出して形成されてる。そのためつなぎ目のない美しい外装を持だけでなく剛性も高く、また外装にはゴムシボなど一切追加されずにシルバーの輝きを放つ。

つまりは金属の塊だけに、手にしてみると見た目のサイズ以上に重みを感じる。左右の手が当たる部分の角は適切な面取りが施され、持ったフィールに硬さは感じない。非常にスペシャルな存在であることを感じずにはいられない。そんなボディだ。ただその製造方法から一日の生産台数は限られており、既に供給の遅れがアナウンスされているほどだ。

画像: ストラップ穴は右側のここだけ。ハンドストラップや片持ちのストラップで使うのがシグマがガイドする使い方、ということだろう。

 ストラップ穴は右側のここだけ。ハンドストラップや片持ちのストラップで使うのがシグマがガイドする使い方、ということだろう。

筆者として気になるのはこのアルミボディがどう育っていくかだ。新品の綺麗な状態が最も美しいのであろうが、経年で増えていくキズなどがどのような味となるのか気になるところなのだ。

すでにネットで見かけたボディでは何かが当たってキズがついている個体も見かけた。キズが増えていったときにどんな風貌になるのか気になるところだ。アルミはそれほど硬いものではないので、自分で“エイジド加工”を施す強者が現れたりするのだろうか(笑)

ちなみに、削り出しのボディの上にはアルマイト加工が施されており、キズ等で削れれば地のアルミが見えてくる。シルバーボディでは違和感はないであろうが、ブラックボディではキズがハッキリ見える形になるだろう。

操作系、UIもまずは慣れるしかない。

画像: 唯一の外部インターフェイスはこのUSBスロット。メモリーカードは非採用で内蔵の230GBストレージにデータは保存され、USBで転送する。USBは10Gbps対応のUSB 3.2で、マスストレージ、UVC、UAC、外部映像出力、充電・給電に対応する。


唯一の外部インターフェイスはこのUSBスロット。メモリーカードは非採用で内蔵の230GBストレージにデータは保存され、USBで転送する。USBは10Gbps対応のUSB 3.2で、マスストレージ、UVC、UAC、外部映像出力、充電・給電に対応する。

さてSIGMA BFが真新しいのはデザインだけではない。その操作系、UIもこれまでのカメラとは大きく異なるものだ。

まず物理ボタンになっているは電源ボタンのみ。他は振動による触感のフィードバックが返されるハプティクスタイプであるため、電源オフの状態では押すことはできない。それに物理的に回転するダイヤルが一つ装備され、ダイヤル部は十字ボタンとして機能するがこれも物理ボタンではなくハプティクスタイプだ。

画像: ボディは小さくともセンサーはフルサイズ。美しいボケが手軽に得られる。画作りはfpに似ているがややライトで彩度も高められている印象。 ■絞りF2.8 1/320秒 プラス0.3露出補正 ISO:オート(400)


ボディは小さくともセンサーはフルサイズ。美しいボケが手軽に得られる。画作りはfpに似ているがややライトで彩度も高められている印象。
■絞りF2.8 1/320秒 プラス0.3露出補正 ISO:オート(400)

画像: Standardで撮影しているが、ただ撮るだけで独特な空気感を演出。高性能でコンパクトな同社製レンズらしいキレのある描写が可能だ。 ■絞りF8.0 1/10000秒 マイナス1.0露出補正 ISO:オート(400)

Standardで撮影しているが、ただ撮るだけで独特な空気感を演出。高性能でコンパクトな同社製レンズらしいキレのある描写が可能だ。
■絞りF8.0 1/10000秒 マイナス1.0露出補正 ISO:オート(400)

実物を見ないでそう聞くと使いづらそうに聞こえるかもしれないが、電源オンの状態では特に違和感を感じることもなく、例え感じたとしてもすぐに慣れるだろう。

個々で好みが分かれそうなのが、それら少ないボタン類に割り当てられた機能だ。モードの切り替えは絞りやシャッター速度のどれをオートとするかで変わり、電子ダイヤル部の十字ボタンを左右に動かすこことでどの項目を変更するかを選択し、ダイヤル等で設定を変更する。

慣れは必要だが露出補正はすぐに呼び出されるようになっており、慣れるのにそれほどの時間は要しないだろう。再生ボタンは軽くタッチしている間だけ直前の画像を表示してくれるなど考えられたUIとなっている。LCDの表示項目、それからシステム設定のメニューと階層を分けた設定ができるようになっている。

画像: ボディキャップもデザインされていると書いた、これもしっかりアルミ製で、装着マウント部はこれまたしっかり金属製。妥協がない仕上げだ。


ボディキャップもデザインされていると書いた、これもしっかりアルミ製で、装着マウント部はこれまたしっかり金属製。妥協がない仕上げだ。

さて、そのUIだが好みが分かれそうな部分だ。常時表示したいものが常時表示できない、リアルタイムに変更したい項目が1つに限られるなど、決して撮影最優先のUIとは言いがたい。

ただそんなことはシグマだって百も承知のはずで、あえてこういう構成にしてボタン数を減らし、そういった用途には他のカメラを使えばいい、というコンセプトなのだろう。
とりあえずいざという時にはこだわった撮り方もできるが、普段は撮ることのみを考えるように、いやそういうことすら考えずに使えるように構成されているといえるだろう。

画像: SIGMA BFに合わせてロゴも変わっている。化粧箱からすべてがリデザインされている。


SIGMA BFに合わせてロゴも変わっている。化粧箱からすべてがリデザインされている。

それは撮影していてもわかる。ISO感度オートに設定していると、ISO400がベースとなる。ピーカンの明るい状況であっても、ISO100などに落とさず、ISO400のままでよりシャッター速度を速める設定になっている。

もちろん暗ければ感度は速めに上がっていくし、こだわる場合はISO感度を固定することも可能だ。ISO400がベースではあるが2400万画素のこのセンサーはノイズも少なく実用上気になることは少ないはずだ。

他のカメラと同列には語れない。だからシグマ。

画像: 質感の描写もしっかり。いくつかの感度で撮影したが、ISO200まで下げたところで大きな画質差はなかった。実用はISO400で十分、というシグマの判断もあながちズレたものでもないだろう。 ■絞りF2.8 1/320秒 ISO200


質感の描写もしっかり。いくつかの感度で撮影したが、ISO200まで下げたところで大きな画質差はなかった。実用はISO400で十分、というシグマの判断もあながちズレたものでもないだろう。
■絞りF2.8 1/320秒 ISO200

画像: 階調再現がかっこいい。何でもないものを特別に見せてくれる。ハイライトは冴えつつも階調を失わず、シャドー側も締めながら丁寧に再現されている。 ■絞りF2.0 1/3200秒 マイナス1.7露出補正 ISO:オート(400)


階調再現がかっこいい。何でもないものを特別に見せてくれる。ハイライトは冴えつつも階調を失わず、シャドー側も締めながら丁寧に再現されている。
■絞りF2.0 1/3200秒 マイナス1.7露出補正 ISO:オート(400)

SIGMA BFの2400万画素センサーはSIGMA fpのものとは異なり像面位相差AF対応。SIGMA fp Lは像面位相差AF対応の6100万画素センサーを搭載するが、fpはコントラストAFのみ。fpと比べるとAFは圧倒的にスムーズになっており、後発な分fpLよりも合焦率が高いことも多かった。

もちろん顔や瞳も検出するし、人物+動物、人物、動物を認識する。コンティニュアスAFでも精度と速度が向上している。本機でバリバリにスポーツ撮影を行うとは考えにいので、必要十分なAF性能と言える。動画撮影ではL-Log撮影もしっかり可能になっている。画質面を見ると、シャープさはfpと同等で、階調の再現はBFの方がややシャドーから粘って良い感じだ。

画像: あまり明るくない場所では積極的に感度を上げてくる。楽にしっかり撮れるように、といった味付けのISO AUTOだ。このシーンでも、そこまで上げなくても、というところまで上げてきた。 ■絞りF5.6 1/100秒 マイナス0.3露出補正 ISO:オート(2500)


あまり明るくない場所では積極的に感度を上げてくる。楽にしっかり撮れるように、といった味付けのISO AUTOだ。このシーンでも、そこまで上げなくても、というところまで上げてきた。
■絞りF5.6 1/100秒 マイナス0.3露出補正 ISO:オート(2500)

画像: ヒストグラムを見ながらギリギリのハイライトを狙い、花びらの白の冴えを表現。しかしヒストグラムの常時表示はできない。そういうカメラではないのだ(笑)。ハイライトベースの撮り方をすると実に渋みのある印象的なカットになる。ISOオートでISO400になっているため、1/8000秒の高速シャッターになっている。十分速いシャッターでも感度は落とさないのがデフォルト。 ■絞りF2.0 1/8000秒 ISO:オート(400)

ヒストグラムを見ながらギリギリのハイライトを狙い、花びらの白の冴えを表現。しかしヒストグラムの常時表示はできない。そういうカメラではないのだ(笑)。ハイライトベースの撮り方をすると実に渋みのある印象的なカットになる。ISOオートでISO400になっているため、1/8000秒の高速シャッターになっている。十分速いシャッターでも感度は落とさないのがデフォルト。
■絞りF2.0 1/8000秒 ISO:オート(400)

さて、カメラのレビューは紹介すべき内容が多いのでここでは書き切れていないが、憧れに値するカメラに仕上がっているといえるだろう。持ち歩いて使ってみるとその良さがさらにビシビシと伝わってくるし感性に訴えてくるものがある。

それは小難しい撮影テクニックウンヌンではなく、撮ることを楽しめ、そして所有する満足感を存分に与えてくれるのだ。ハッキリ言えば“撮る”という行為にこだわればfpシリーズの方が筆者は撮りやすいと思う。

画像: モノクロ撮影も楽しいカメラだ。再現はフラットではなくややシャドー側カーブを寝かせたものだ。 ■絞りF5.6 1/320秒 マイナス0.7露出補正 ISO100


モノクロ撮影も楽しいカメラだ。再現はフラットではなくややシャドー側カーブを寝かせたものだ。
■絞りF5.6 1/320秒 マイナス0.7露出補正 ISO100

画像: 首から提げて、あるいは手首にかけて「あっ!」と思ったときに難しいことを考えずに綺麗に撮れる。しかもボケを活かすカットも。そういうインスピレーションを大切にしたカメラといえるだろう。露出補正はいつでもダイヤルで調整できる。 ■絞りF2.0 1/1600秒 プラス0.7露出補正 ISO:オート(400)


首から提げて、あるいは手首にかけて「あっ!」と思ったときに難しいことを考えずに綺麗に撮れる。しかもボケを活かすカットも。そういうインスピレーションを大切にしたカメラといえるだろう。露出補正はいつでもダイヤルで調整できる。
■絞りF2.0 1/1600秒 プラス0.7露出補正 ISO:オート(400)

ただシグマは単にカメラをデザインしただけでなく、その独特なUIを通じてカメラの使い方や、もっといえばライフスタイルまでデザインしてきた。そんなカメラなのだ。他のカメラと同列に見てはいけないのだ。

画像: カメラがスタイリッシュだと造形的に魅力的なポイントを探してしまう。こういったシナジー効果も与えてくれる。そんなカメラなのだ。 ■絞りF5.6 1/400秒 マイナス1.0露出補正 ISO:オート(400)


カメラがスタイリッシュだと造形的に魅力的なポイントを探してしまう。こういったシナジー効果も与えてくれる。そんなカメラなのだ。
■絞りF5.6 1/400秒 マイナス1.0露出補正 ISO:オート(400)

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