OM-3ならにびOM-1 Mark Ⅱ、OM-5の主な仕様


レトロな外装もヘッドロゴは当然ながら「OM SYSTEM」

ビンテージデザインがウリのOM-3。シルバーボディをレザーが覆い、正面だけ見れば、フィルムカメラと見間違うような佇まいだ。マウント左下に見えるのが、目玉機能のひとつであるクリエイティブダイヤルだ。
モードダイヤル側面などのローレット加工も、上位機OM-1 Mark Ⅱのひし形に対して、四角形に。さらに再生、ゴミ箱ボタンも白で統一するなど、デザイナーのこだわりをも感じられる仕上がりになっている。
カメラの顔とも言うべきトップカバーには「OM SYSTEM」の文字が浮かぶ。ずいぶん見慣れてきた印象だが、現在でもOLYMPUSと刻まれるのは最古参のE-M10 Mark Ⅳ、天体用のE-M1 Mark Ⅲ ASTROのみでリブランド化が進む。

おなじみの再生ボタン、ゴミ箱ボタンへの着色を廃止。すっきりモノトーンでまとまり統一感が美しい。コンピュテーショナル機能へショートカットできる、ファインダー右のCPボタンが新設されたのもトピック。
旧ブランドに思い入れの深いベテランファンからは嘆きの声も聞かれるが…近年ではソニーも通った道。こればかりはOMDSが良い製品を送り続け、新ブランドを築きファンに納得してもらうほかない。
外装はレトロな雰囲気で気分を盛り上げてくれるが、中身はおおむねフラグシップのOM-1MarkⅡとほぼ同じで、見た目と裏腹にしっかり最新機能で武装されているのがうれしい。

12-45mm F4.0 PROは、キットレンズとして少ないハイグレード製品の組み合わせ。描写性能だけでなく、防塵防滴などと合わせて、OM-3の性能を手軽に堪能できる。日常的なスナップにもうってつけだ。
■ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO 絞りF8 1/1000秒 ISO200 WB:オート
防塵防滴性能はIP53、耐低温性能もマイナス10℃を誇り、不意の雨や子どもの水あそびの相手くらいなら楽勝。信頼性の高さもフラグシップ機譲りだ。もちろんレンズもPROシリーズなど防塵防滴耐性のある製品との組み合わせが前提になる。
OM-1 MarkⅡを愛用している私が手にすると、かなりスリムになった印象だ。
前面グリップがないため、やや心もとない感じもするが、スッキリした風貌の裏返しでもあるので悩ましいところ。
PEN-Fで採用された「クリエイティブダイヤル」が復活。

メカメカしくダイヤルやボタン類が並ぶ。左に大きなダイヤルは、静止画 / 動画 / スロー&クイックダイヤル。スロー&クイックとは、スローモーションや早回し映像の設定へ移れる。
一方、背面のサムグリップは大きめで、いい仕事をするが、それでも日常的に付けたままで持ち歩くレンズボリュームは、ED 12-100mm F4.0 IS PROくらいまでの印象だ。その気になれば同社が力を入れている超望遠レンズを取り付けて、AI被写体認識AFを活かした本格的な野鳥撮影なども楽しめるが、取り回しやホールディングを考慮すれば素直にOM-1 Mark Ⅱが良いだろう。
OM-3では、PEN-F(2016)由来の「クリエイティブダイヤル」の搭載もトピック。近年、メーカー各社カメラ内での色づくりやエフェクト機能に注力しているが、クリエイティブダイヤルに設けられたアートフィルターは、OMが先駆者。


クリエイティブダイヤルより、カラープロファイルコントロールを選択。色相環から好みの色を選び、彩度をコントロールできる。E-P7と違い、OM-3ではEVF内蔵のため外光の影響を受けずに緻密な調整が可能だ。
■M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO 絞りF5.6 1/1250秒 ISO200 WB:オート
同ダイヤルで設定すれば、アートフィルターをはじめ、カラープロファイルコントロール、モノクロプロファイルコントロール、カラークリエイターの4種から、お好みの色や画像効果などを演出できる。現行製品ではE-P7と本機でのみで楽しめる特権だ。
ファインダー右には、シリーズ初となるCPボタンを新設。CPとは同社の提唱するコンピュテーショナルフォトグラフィの略。手ぶれ補正機構を応用して画素数を増やすハイレゾショットほか、デジタル技術を利用したライブND、ライブGND、HDR機能などに素早くアクセスできるようになっている。

モノクロ写真を基本に特定の色だけを残せるアートフィルターの「パートカラー」。ここでは赤系+ピンホール効果を選択。適度に背景を残し、花を浮き立たせるが、残す色は画面内で大きすぎないのがコツ。
■ M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 Ⅱ 絞りF1.8 1/400秒 ISO200 WB:オート ※アートフィルター:パートカラー
なかでもハイレゾショットは、センサーサイズが小さなマイクロフォーサーズにとって、高精細画像が得られる福音。三脚ハイレゾで8回撮影して約8000万画素相当。手持ちハイレゾショットでは12回で約5000万画素相当の高解像で撮れて、さらにノイズが約2段分改善されるという優れもの。
レンズは高解像に耐えるPROシリーズなどの併用が望ましいが、コンパクトな機材のまま、大伸ばしに耐えるクオリティが欲しい方におすすめしたい。
リニューアル&フードが同梱された「Ⅱ型レンズ」も投入!
OM-3と同時にM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 Ⅱ、同25mm F1.8 Ⅱ、同ED 100-400mm F5.0-6.3 IS Ⅱレンズ3本が発表となった。
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 Ⅱ
●焦点距離:35mm判換算34mm相当
●最短撮影距離:0.25m
●最大撮影倍率:0.08倍
●レンズ構成:6群9枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:7枚
●フィルターサイズ:46mm
●大きさ・重さ:57.6×37.6㎜・112g
●付属品:フード

35ミリ換算34ミリ相当で扱いやすさが魅力。撮りたいときにバックからすぐに出して、サッと撮れるのがうれしい。「モノクロプロファイル2」は、ザラザラとした粒状性を残し、メリハリが強めなのが特長。
■ M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 Ⅱ 絞りF3.2 1/250秒 ISO200 MONO2:クラシックフィルム モノクロ
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 Ⅱ

●焦点距離:35mm判換算50mm相当
●最短撮影距離:0.25m
●最大撮影倍率:0.12倍
●レンズ構成:6群9枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:7枚
●フィルターサイズ:46mm
●大きさ・重さ:59.4×42.0㎜・156g
●付属品:フード

フィルムカメラを知るものからすれば、原点に戻るように気持ちが引き締まる単焦点レンズ。開放は素直な描写で少し絞ればグッと落ち着きを見せる。クセはないので、万人向け
向け。ズームがないのは不便だが、OM-3と流れる時間にマッチする。
■ M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 Ⅱ 絞りF1.8 1/500秒 ISO200 WB:オート
このうち単焦点の17mm F1.8 Ⅱと25mm F1.8 Ⅱは、ふだん持ちしやすいOM-3にぴったりのコンパクトサイズ。名前の通り、旧モデルからの仕様変更だが、外観デザインのほか、シーリングを施して防塵防滴に対応、フードの同梱が主な変更点。
光学系はともに前モデルより踏襲している。17ミリはマニュアルフォーカスへ瞬時の切り替えや目測撮影などに便利だったスナップインフォーカス機構が割愛されたが、防塵防滴採用とサイズ拡大を避けてとのことだ。
マイクロフォーサーズ機は構造上、大きなボケを得るのはあまり得意としないが、レンズの小型化を持ち味に両方のバランスが良い落とし所が、このF値あたりに落ち着くのだろう。レンズ単体で上着のポケットに入れても忘れてしまうようなボリュームで価格も手頃。OM-3の持ち味を活かして本格的に楽しむなら一本あっても良いセレクトだ。

メリハリが強く、古いフィルムで見られたザラザラした粒状感が特長のモノクロプロファイル2。その持ち味からドキュメンタリー風の写真が似合う。迷うならブラケット機能で、一度のシャッターで複数種の効果も得られる。
■ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO 絞りF8 1/1250秒 ISO200 WB:オート ※モノクロプロファイル2/クラシックフィルムモノクロ
