■今浦友喜氏プロフィール
1986年埼玉県生まれ。風景写真家。雑誌『風景写真』の編集を経てフリーランスに。日本各地の自然風景、生き物の姿を精力的に撮影。雑誌への執筆や写真講師として活動している。
公益社団法人 日本写真家協会 会員(JPS)・アカデミーX講師
X-T50の価格とデザイン
「もはやエントリー機ではナイ!上位機に迫るT2桁の新ミドル機」フジフイルム X-T50を今浦友喜氏が解説
2024年6月末、フジフイルムからAPS-Cミドルクラスのミラーレス一眼「X-T50」が発売されて約半年(注:元記事執筆当時)。初値が24万6000円ほどで恐ろしく高いなと感じていたが、この原稿の執筆時11月半ばにはネットの最安値で20万円を切るくらいまで下がってきており半年で4万円も安くなっている。
そう考えると「ギリギリなしではない…」という印象がしてくるから面白い。とはいえ、上位機種であるX-T5が現在23万円台であることを考えると、まだ積極的に選択したい価格帯とは言い難い。

写真はブラックボディ。左右の切り立ちが直線的だったX-T30Ⅱから、X-T50は上に向かってテーパードしたフォルムになった。
まぁ、為替の影響もあるし、高い高いと文句ばかり言っても始まらないのでX-T50を再確認してみよう。センターファインダースタイルでオールド感の漂う、かわいらしい見た目が万人受けしそうなデザイン。ボディを上面から見たときの両側面が「中にフィルム巻かれている?」ってくらい綺麗な半円型のフォルムもフィルムカメラライクでGoodだ。世の中の謎のフィルムカメラブームにもマッチしそうなノスタルジーを感じるデザインと言える。

グリップはX-T30Ⅱと比較してやや大型化され、ホールド感は良くなっている。
ボディ左肩に設置されたフィルムシミュレーションダイヤルは、Xシリーズの新しい入門機である「X-M5」にもしっかり継承されているので、少なくとも当分はこのスタイルを貫くぞというメーカーの意思を感じる。
本誌(注:カメラマン リターンズ#13)の座談会ではこのフィルムシミュレーションダイヤルの可否はかなり別れているが、「このクラスならばこれくらい分かりやすいのもいいんじゃない?」というのが私の見解…ではあるのだが、同時にいえることは買ってから半年ほどであまり触らないダイヤルになるだろうということ。多くのユーザーが気に入ったシミュレーションを見つけたら、ほぼ固定するような気がするからだ。

ボディ左肩にはX、GFXシリーズを通して初のフィルムシミュレーションダイヤルを採用。新フィルムシミュレーションの「REALA ACE」も初搭載された。また、X-T30Ⅱ(写真奥)と比べると、側面の丸みが際立つ。
X-T50の性能
見た目カワイイけど、中身はゴリゴリの仕様
X-T50は外観こそ上品さとかわいさを併せ持つミドルクラスらしい佇まいだが、中身の性能面はといえば、かわいらしさ皆無で上級機譲りのゴリゴリに使い倒せる仕様だ。
センサーは4020万画素のX-Trans CMOS 5 HRセンサー、プロセッサーはX-Processor 5でそれぞれX-H2、X-T5と同じ心臓部。シャッターユニットはメカシャッターで最高1/4000秒と上位機種の1/8000秒には及ばないが、センサーもプロセッサーも画質性能にかかわるユニットは同じで、電子シャッターなら1/180000秒という超高速シャッターが切れるのはお得感がある。もちろん積層型センサーではないからローリング歪みは並程度には発生する。が、通常の撮影では気になることはほとんどないだろう。

オオモミジの芽出しの赤茶色が美しく色づいていた。風に揺れていたのでAF-Cで撮影したがピントの食いつきは良く、葉先を繊細に描くことができた。
■XF70-300mm F4-5.6 R LM OIS WR 123mm(185mm相当)絞りF5 1/600秒 ISO250 WB:4950K フィルムシミュレーション:ASTIA
■共通撮影データ/AF-C
さらにボディ内手ブレ補正も上位機種と同じ5軸7.0段のユニットを搭載。X-T2桁シリーズはこれまでボディ内手ブレ補正は非搭載だったことを考えるとかなり大きな進化だといえる。それでいてボディ重量は前モデルのX-T30Ⅱからわずか60グラムの増加に留めたのは素晴らしい。
ちなみにファームアップについて補足しておくと、先のカメラマンリターンズ#11で「X-T50とXF60mmの組み合わせでAFが異様に速い」と記載したが、X-T5等も後のファームアップでこっそりAFスピードが上がったことをここに報告しておこう。それにしても、イイことなのにアナウンスをしないフジフイルムのスタイルは謎としかいえない。

被写体認識AFの精度が優秀でフレーミングに集中できる。ボケを入れるために超ローアングルから狙ったが、レンズとのバランスも良く安定して撮影できた。
■XF70-300mm F4-5.6 R LM OIS WR 300mm(450mm相当) 絞りF5.6 1/210秒 ISO250 フィルムシミュレーション:クラシッククローム
X-T50とライバル機との違いは?
ここまでX-T50がどんなカメラかを語ってきたが、最後に同クラスの他社モデルにも触れてみたい。APS-Cセンサー搭載の中級機カテゴリーではニコンZ50ⅡやキヤノンEOS R7、ソニーα6700などが挙がる。ボディ内手ブレ補正の有無という違いこそあれ、Z50Ⅱなどは価格的にもひと回り安いので非常に強力なライバルだといえるだろう。
とはいえ、色の美しさや階調、写真として見たときの叙情的な仕上がりなど、フジならではの魅力はX-T50でも健在。そうした数値的スペックでは言い表せない部分が分かる人にこそ使ってもらいたい一台だ。

千羽鶴が鮮やかなシーン。狛犬とのカラーバランスもあるため色味には悩んだが、クラシッククロームを選択した。フィルムシミュレーションダイヤルを回して表現にあった色を簡単に選ぶことができるのがいい。
■XF60mmF2.4 R Macro 絞りF2.4 1/125秒 ISO250 WB:5050K フィルムシミュレーション:クラシッククローム
フジフイルム X-T50 の「◯と×」
◯
・上位モデルと同じ高画質と手ブレ補正
・フィルムライクなスタイル
・小型軽量
・発売から半年経って少し値下がってきた
×
・電池の保ち
・元箱が残念… ※エコは理解も、あまりに安っぽい
(写真&解説:今浦友喜/一部製品写真:豊田慶記)
フジフイルム X-T50 のスペック
- センサーサイズ:APS-Cサイズ
- 画素数:約4020万画素
- ファインダー:0.39型 EVF 約236万ドット
- レンズマウント:フジフイルムXマウント
- モニター:3.0型 約184万ドット
- 感度:ISO 125~12800 ※拡張ISO 64/51200
- 連続撮影速度: 約8コマ/秒(メカ)※ 電子シャッター時は約20コマ/秒
- チルトアングル タッチパネル
- SDXC(UHS-Ⅱ対応)
- 大きさ:123.8×84×48.8mm
- 重さ:約438g
- 発売日:2024年6月28日
- 価 格:24万6400円(ボディ)/ 26万4000円(XC15-45mmレンズキット)
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本記事は「カメラマン リターンズ#13」の記事を転載したものです。興味のある方は、本誌もぜひチェックしてみてください!↓