Voigtlanderブランドレンズの中でも特に高性能な製品に与えられる「APO-LANTHAR(アポランター)」銘を受け継ぐレンズ。コシナの製品ページでも「フォクトレンダー史上最高性能の準広角レンズ」や「極めて高い性能」というパワーワードが用いられている通り、性能に自信アリの逸品…なんてのはコシナの病(やまい)を患っている方にとっては常識ですね。
■撮影共通データ パナソニック LUMIX S5 マウントアダプター SHOTEN LM-LSL M Ⅱ 絞り優先AE WB:オート

コシナ Voigtlander APO-SKOPAR 90mmF2.8 VM 主な仕様

●焦点距離:90mm
●最短撮影距離:0.5m
●レンズ構成:9群11枚
●最小絞り:F16
●フィルターサイズ:49mm
●大きさ・重さ:φ55.6×58.1mm・304g
●付属品:-

あのコシナが「最高の描写」と認めた逸脱性能

画像1: あのコシナが「最高の描写」と認めた逸脱性能

「アポランターって何?」という正常な人に向けて軽く触れると、ザックリ言えば「凄い性能を持ったレンズである」という認識でOKです。が、さらに詳しく説明すると、名称前半部分の「APO(アポ)」は光の3つの現職を構成するR・G・Bの各色の軸上色収差を限りなくゼロに近付けるアポクロマート設計であることを表しています。APO-SKOPARなどでも同じ。

さらに、解像力やコントラスト再現性についてもコシナが設ける厳格な基準をクリアした究極の性能を追求したレンズだけに「アポランター」が冠されます。ということで「アポランター伝説」云々については各自検索して下さいまし。

画像2: あのコシナが「最高の描写」と認めた逸脱性能

本レンズには同じスペックと名称を有するEマウント版もあり、レンズ構成図を見る限りは基本的に同じ感じに見えます。が、レンズ間隔調整に留まらず硝材の種類についてもマウントにあわせて最適化させ
という途方もない情熱が注がれております。

↑が信じられない場合は公開されているMTF曲線を見比べてみると、Eマウント版の方が高解像っぽい特性に見えますね。
オブラートに包んだ言葉を選んでも「酔狂」です。
マジで、よくこんな企画通ったね。
えっと絞り羽根は12枚で、開放絞りとF2.8/F5.6/F16時に絞り羽根の形状が円形となる設計が採用されています。

304gと最近のレンズとしては軽量な部類ではあるけれど、実際に手にしてみると存在感のある重量感。ビルドクオリティはいつものコシナで、高い加工精度の金属鏡筒からでしか得られない満足感があります。そして極めつけは、他のVoigtlanderよりクオリティというか「遊び」が少なく、また重めの操作トルク設定のフォーカスリングなど、緊張感のある操作感となっています。

ピント面、薄っすいなんてモンじゃありません! 

画像1: ピント面、薄っすいなんてモンじゃありません!

フィルム経験者で、かつアポランター未経験だと「35mmのレンズってこんなにピントが薄かったっけ?」と混乱するくらいにはピントがシビア。しかも開放絞りから高解像なので、ピント面とそれ以外の分離がハッキリと分かる独特の立体感というか、ピント精度が見える感というか。独特の緊張感のある描写は中判カメラや大判カメラに通じるものがあると思いました。

歪曲はほとんど無く、「APO」付きなだけあって色収差の類についてもほぼナシ。かなりイジワルしても、それが周辺部まで維持されるので、「コレだけやっても駄目か!」とニヤニヤしてしまいます。

というかね、このサイズのレンズから発揮される光学性能とは、とてもじゃないけれど信じられない感じよ。ホント、アポランターには毎度驚かされます。
ボケはちょっとウルサク見えるシーンが無いワケではないけれど、それはレンズのストライクゾーンから少し逸脱していると理解し、撮り方を工夫してみるってのも楽しいです。

画像2: ピント面、薄っすいなんてモンじゃありません!

VMのアポランターには、他に50mmF2と50mmF3.5が現行品としてありますが、本レンズが一番ピントにシビアというか正直というか、ありのままが見えてしまうと思いました。
引きのシーンでもPCでチェックすると「あ…、ピントがわずかに甘い」が結構ある感じなので、撮っていて緊張感があるというか、毎回が真剣勝負です。

それくらいに難しい(自身の技術を正直に反映する)レンズなので、ちゃんとキマった時の達成感は大きく、描写の良さがその感動をさらに大きくしてくれます。

いつも通り、ヘリコイドアダプターによって6mm繰り出しての撮影も確認しましたが、ピント位置の解像低下は感じられず。周辺部は、コシナ基準だと流石に「ムムム」となっているのかも知れませんが、撮ってる本人的にはサッパリ気になりません。

人生一度は体験して欲しいレンズ…良くも悪くも!

画像1: 人生一度は体験して欲しいレンズ…良くも悪くも!

まとめとして、素晴らしい光学性能ってことは声を大にしてアピールしたいところではありますが、だからといって無邪気に「良いぞ凄いぞ」と推す気にはなれない部分があります。

なんで?というと「エモさ」みたいな”誤魔化し”が利かないっていうと語弊がありますが、写る方も撮る方もありのままが出るというか、まさしく「Capturing it All」な、試されるレンズだから。

ピントが甘いのは否応なしに分かるし、ポートレートシーンではお肌の荒れやメイクのムラなんかも一目瞭然。下手にレタッチすれば、その部分に違和感出ちゃう感じ…。

ネガティブなところを挙げると、そういう気難しさがありまっせってことです。それくらいに性能が出ています。AF用のレンズって性能高くてもここまで尖ってないからね。

画像2: 人生一度は体験して欲しいレンズ…良くも悪くも!

それを踏まえても人生一度は体験して欲しいレンズのひとつとして、心の神棚に掲げておきたいです。
というのが正直な感想。

あとね、レンズについてアレコレ語りたいなら、アポランターは義務教育(必修科目)って感じ。これ経験してないと分からないことが多いと思うんだ。繊細な描写ってこういうことなのか、みたいな感じね。

画像3: 人生一度は体験して欲しいレンズ…良くも悪くも!

使いこなせるようになると、上達というか、引き出しが凄く増えると思うし、他のVoigtlanderレンズの魅力を再発見できるようになれるって言えば良いかな?
例えば、なぜVM現行の35mmだけで6銘柄もあるのか、みたいな部分が、魂で理解できるようになると思います。

結局のところ、全てをカバーできる究極の1本みたいなのは無さそうだし、数揃えてそれぞれの違いを楽しむという方向性も良いんじゃないかな。

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