■共通データ AF-C WB:オート
コダワリというよりもはや矜持? のフィルター径67mm
テレ側開放をF6.3、フィルター系67mmと抑えたことで、メーカーではコンパクト超望遠ズームと謳ってはいるが、実際の大きさ重さはどうだろうか。ニッコールZ100-400と比べてみた。
ワイド側での全長はニッコールZの222ミリに対し。タムロンは186ミリと36ミリコンパクト。ただしテレ側に伸ばすとその差はグッと縮まり10ミリ程度の差に。重量はニッコールZが三脚座込みで1435g、一方タムロンは1180gだが別売りの三脚座をつけると約200g増えるので両者の差はほとんどなくなる。
ニコンに負けずタムロンもズッシリとした高画質を期待させる質量感だ。理由は後述するが、この三脚座はぜひとも装着して使用することをオススメする。
純正を超えた? VXDリニアモーター採用
今回は400mm側での使用をメインに、サーキットで使用してみた。ニコンが頑なにSTMを使用するのに対し、タムロンはVXDというリニアモーターを採用している。レーシングスピードで走行するマシンを捉えるのにVXDのタムロンがかなり有利では? と期待を込めて撮影に臨んだ。
確かにAFの出足はタムロンの方が速く、ニコン純正を凌駕するまさに価格の下克上。しかしマシンを捉えてからの連写ではSTMとVXDの差はあまり無く、両者同等のAF捕捉力だ。ニッコールZ100-400mmはSTMを2個搭載しているせいもあるのだろう。
しかしレース以外の、不規則な動きをするスポーツ撮影では、初動の速いタムロンに分があると思われる。動画はともかくスチル撮影ではSTMよりリニアモーターの方がメリットが大きいので、このレンズの存在価値は大きい。
純正Sラインに肩を並べるタムロン技術の結晶!
では画質はどうか? 結論から言えば、解像度についてはSラインのニコンと見分けが付かなかった。さらに、以前テストしたニッコールZ28-400mmのテレ側よりも良好だ。ただし開放F値での周辺光量の低下がタムロンでやや目立つ(筆者は周辺光量補正をOFFにしている)。
フィルター径67mmに拘らずに前玉を大きくすれば発生しなかったのに、と思うのは素人考えだろうか? ただこれはカメラ側の補正量によっては影響はないだろうし、そのままでも雰囲気ある描写になるので筆者には気にならない。
さらに言えば、DXクロップすることでこの現象は解消できる。正直、この描写力は2倍の金額を払ったニッコールZ100-400mmユーザーにはややショックな結果だと思われる。
プロカメラマンからちょっとだけ言わせて~
使用していて気になった点は、フードのロック機構がないこと。
400mmまで鏡筒を伸ばすと自ずと左手はレンズ先端のフードを持つことになる。フード自体のクリックは固く通常の撮影では外れることはないだろうが、スポーツ撮影などではフードが外れる回転方向に左手の力が入ってしまう。ロック機構があればフードが外れずにすむのだが。
従ってレンズ保持には前述した三脚座を手のひらに乗せホールドした方が安心して撮影できる。50mm側でのズームロック機構はあるのだが、肝心のフードロックが備わっていないのはもったいない気がする。蛇足だが伝統的にリアキャップが緩く、ボディキャップと結合させて保管ができないのだが...。
カメラメーカーの”縛り”が無ければ購入すべし!
ニコン純正としてはニッコールZ 100-400mm f/4.5-5.6 VR Sがラインアップされているが、実売価格が40万円弱と敷居が高い。一方こちらのタムロン製はほぼ半額の18万円強で手に入るうえ、ワイド側が50mmと汎用性が高くより実用的だ。
AF駆動もリニアモーターを採用しておりニコン製を上回る実力を持っている。プロは現場でのサポートがあるカメラメーカー製を使用するのだが、それ以外のユーザーはこちらの方が有力な購入候補になりそうだ。