ひさびさのフィルムカメラの新製品、PENTAX 17。予想を超える人気ぶりで発売からひと月ほど経った2024年8月27日現在、入荷待ち状態。

リコーイメージング PENTAX 17 主な仕様

●フィルムサイズ:135(35mm判)
●レンズ名:HD PENTAX25mm F3.5(35mm判換算37mm相当)
●レンズ構成:3群3枚
●画角:61°(対角)
●最大撮影倍率:約0.13倍(25mm時)
●フィルター径:Φ40.5mm
●ISO感度:ISO50~3200
●フィルム巻き上げ:手動(巻き上げ角130°/予備角35°)
●ファインダー:ブライトフレーム方式 光学式ファインダー
●ピント合わせ:ゾーンフォーカス(手動選択)
●測光方式:部分測光 EV2.5~16.5(ISO100)
●シャッター:電子シャッター 1/350~4秒、バルブ
●フラッシュ:内蔵フラッシュ GN 約6(ISO100・m)

初めてフィルムカメラを買う初心者向けに誕生した
新世代フィルムカメラ

ペンタックスがフィルムカメラプロジェクトを発表したのは2022年12月。それから1年半を経て、ついにその全貌が明らかになった。

画像: レンズ構成は3群3枚で、高画質で定評だったエスピオミニの光学系がベース。HDコーティングを採用し、よりクリアでシャープな像が得られる。

レンズ構成は3群3枚で、高画質で定評だったエスピオミニの光学系がベース。HDコーティングを採用し、よりクリアでシャープな像が得られる。

古くからフィルムに親しんできたシニア層や、熱心なペンタキシアンの中には、「肩透かしを喰った」という意見も聞かれるが、ペンタックスが想定するメインユーザーは「初めてフィルムカメラを買う初心者」。野暮なことは言わずに、新世代フィルムカメラの誕生を素直に祝うべきだろう。

前置きが長くなったが、PENTAX 17(ペンタックス イチナナ)はペンタックス初のハーフサイズカメラ。ふつうにカメラを構えると画面が縦位置になり、慣れないうちは縦位置の写真がやたらと増えてしまう。

画像: PENTAX 17のアパーチャーをノギスで測ってみたところ、短辺の長さはピッタリ17mmだった。念のため、ハーフサイズの元祖と言うべきオリンパスペンのサイズを測ってみたら17.2mmだった。

PENTAX 17のアパーチャーをノギスで測ってみたところ、短辺の長さはピッタリ17mmだった。念のため、ハーフサイズの元祖と言うべきオリンパスペンのサイズを測ってみたら17.2mmだった。

フィルム巻き上げはレバーによる手動式。フィルムカメラらしい操作が楽しめるが、ふだんデジタルカメラや全自動カメラを使っていると、シャッターボタンを押した瞬間にフィルムを巻き上げていないことに気付き悔しい思いをすることも。

巻き戻しクランクの回転でフィルム送りが確認できる昔ながらの仕様は大歓迎。クランクが回転する限りフィルムは確実に送られているので、とても安心感がある。

画像: 巻き上げレバーの形状はオート110を踏襲。シャッターボタン回りの処理もLXに良く似ている。

巻き上げレバーの形状はオート110を踏襲。シャッターボタン回りの処理もLXに良く似ている。

画像: オートローディングのメカは、ペンタックス最後の手動巻き上げ式一眼レフP30/50の流用だ。

オートローディングのメカは、ペンタックス最後の手動巻き上げ式一眼レフP30/50の流用だ。

フィルムカメラ初心者に向けて…
とはいうものの、操作は難しいかも

PENTAX 17のピント合わせはゾーンフォーカス式。AFが普及する以前、普及タイプのコンパクトカメラに盛んに採用されたピント合わせの方式だ。

PENTAX 17の場合、最短撮影距離が短いこともあり、最短から∞まで6点ものクリックがある。そのためピントリング上に隙間なくアイコンが並び、どれを選べば良いか瞬時に判断に迷うことも。

画像: 上面のカバーには往年のロゴマークが渋滞中。気持ちは分からないでもないが、全体にまとまりが欠けるような…。

上面のカバーには往年のロゴマークが渋滞中。気持ちは分からないでもないが、全体にまとまりが欠けるような…。

撮影モードはプログラムAEが基本。ボディ上面のダイヤルで、フルオート、絞り開放、夜景、バルブ。さらにストロボ発光の有無など全部で7種類のモードが選択できる。ただし測光方式が部分測光なのにAEロックがないのは謎としか言いようがない。

25cmという最短撮影距離を考えると致し方ないが、目的の被写体を的確に画面に収めるのは至難の業だ。

画像: 最短撮影距離の25cmで撮影。付属のストラップをピンと伸ばすと25cmになり近接撮影時のメジャーとして使えるが、このときピントが合うのは24~26cm。被写界深度はわずか2cmしかないので、シャープな写真を撮るならカメラがしっかり固定できる三脚が必要だ。

最短撮影距離の25cmで撮影。付属のストラップをピンと伸ばすと25cmになり近接撮影時のメジャーとして使えるが、このときピントが合うのは24~26cm。被写界深度はわずか2cmしかないので、シャープな写真を撮るならカメラがしっかり固定できる三脚が必要だ。

新品のフィルムカメラが手に入る!
…とはいえ、この価格は!?

PENTAX 17の実売価格は税込みで8万8000円前後。決して安くない売値だが、この影には円安の影響がある。フィルムカメラの海外での人気は高く、最初は500ドルの販売価格を目指していたという。

こんな状況下では88000円は妥当かもしれないが、このクラスのカメラにしては高いと思うのは私だけではないだろう。それに「この値段を出すなら、程度の良い中古品を買った方が得」という気持ちもふつふつと湧いてくる。

すでに説明した通り、ペンタックスがターゲットにしているのは「初めてフィルムカメラを買う初心者」。

最初に「野暮なことは言うまい」と言ったにも関わらず、厳しいことを書いてしまったが、アナログ操作にこだわり過ぎた結果、使い勝手が犠牲になったことは否定できない。

画像: 24×36mmのフルサイズを半分にして使うので、ハーフサイズの画面サイズは一般に18×24mmと思われているが、コマ間に空きが必要なので、実際の画面サイズは17×24 mm。「17」の商品名はこの数字に由来する。

24×36mmのフルサイズを半分にして使うので、ハーフサイズの画面サイズは一般に18×24mmと思われているが、コマ間に空きが必要なので、実際の画面サイズは17×24 mm。「17」の商品名はこの数字に由来する。

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