サードパーティ製レンズとのボディマッチング、あるいはツァイス

編集部:やっぱり純正と非純正レンズでは微妙に動きが違うと思う?
阿部:気のせいなのかなって昔から思ってたんだけど、でもやっぱりあるよね。マウント情報も公開しているはずなんだけどね。
桃井:でも全部は伝えていませんから。
阿部:そうみたいだね。最後の隠し味みたいのがあるの? 「秘伝のタレ」みたいなの(笑)
曽根原:特に最近は排他的になってきているみたいですね。自社製品を守らなきゃいけないからね。
桃井:Eマウントの黎明期は、レンズメーカーと一緒に頑張って数を増やしますよ、って言ってたけど。ここにきて純正レンズが揃ってきたら、なんだか自分のところのことしか言わなくなってきている(笑)
阿部:どこかで差をつけないと安い方を買っちゃうからね。
山田:そもそも連写性能が違います。
桃井:そこは大きく差が出てますよね。
山田:純正レンズならα9Ⅱで秒30コマ出るけど、サードパーティーだと15コマとかさ。
桃井:信号のやり取りの速度とかが違うんでしょうね。ある意味、決定的な部分です。でも、秒15コマだから困るかっていったら…そこまでの人だったら、純正買いなよって話になる。
阿部:さすがにハイエンドに特化した部分では譲れないだろうし。
編集部:意地悪と言うよりは既得権益ですかね。
桃井:だろうね。たぶん僕の使い方であっても97、8%ぐらいで困らないから(笑)
   ■   ■   ■
桃井:それにしてもソニーは、標準ズームに関してはこれだけ細かく刻んで用意するのもすごいですよね。
阿部:そう。まったく違うようなアプローチで出している。パワーズームだったり、ドローンに載せてとか、それでいてツァイスがあったり。
桃井:16-35mm(F4G)はツァイスと比べると圧倒的に軽いよね。広角好きだったら付けっぱなしでもいいかも。
阿部:いかにもドローンに載せてください、みたいな感じ(笑)
編集部:いつの間にかテーブルの上にツァイスを発見!?
桃井:これ(バリオテッサー16-35mmF4)は僕の私物です。Eマウント黎明期のレンズです。最初はこれしかなかったから。
山田:最初の頃のユーザーは、選択肢がなかったからね。
阿部:そもそもデザインからして全然違うね。
山田:この頃の作りが好きなんだよね。いかにもレンズっぽくて。
曽根原:ツァイスですよ、って感じがする。
阿部:今でも誇らしげです。
桃井:僕の仕事では、画角的にこのレンジがメインになることがまずないんです。だから
F2.8よりF4のほうが軽量コンパクトで便利に使えるんです。ボケ量が必要なときや被写体が建築とか分かっていれば、F2.8 とかさらに超広角とか持っていくけど。押さえ的な意味合いで使うならF4で十分です。
編集部:だったらもっと軽いGレンズにすればいいじゃん。パワーズーム。
桃井:その辺は優先順位もありますから。16-35mmそのものが後回しなんです。
山田:あえて買い換える必要はないよ。
阿部:なんかツァイスはレンズの匂いが違うような気がする。
桃井:それ、きっと僕の臭いですよ(笑)
編集部:(笑)。でもツァイスのレンズそのものがもう古臭いとか、そういうのはないの? 写りに関しては?
曽根原:よーく比べてみれば、くらいかな。
阿部:古臭いとは思わないな。
桃井:ガチ撮り比べするとやっぱ違いますよ。いわゆるそういう意味では新しい方がよく写ってますよ。
山田:比べなきゃ分からないよ。
阿部:我々はけっこうドライに撮り比べたりMTFとか見ながら語ったりするので、基本的に新しい方が良いことは知っています。でも、10年も使い続けていれば、そうした僅かな性能差よりも愛着とかが勝る部分も出てくるんですよ。とくにツァイスなんて一流ブランドですからね。ツァイスを持っていることが嬉しいとか楽しいってお客さんもいるわけだし。
編集部:GやGマスターレンズがいくら優れていても、「歴史」においてはツァイスにはかなわないですからね。
阿部:とは言え、僕は去年は16-35mm(F4G)で今年は20-70mm(F4G)推しになったから、節操ないヤツだと言われればそれまでかも知れない(笑)。でも、こうした毎年のような買い替えについていけなくなったときに、ツァイスが1本残っていたら幸せなのかもね。ツァイスがあるから、ここで最前線から退いてもいいかなって。ツァイスの良さってそこにあるんじゃないかな。
   ■   ■   ■

This article is a sponsored article by
''.