アクティブD-ライティングはもうオワコン?
森田:ちょっと質問なんだけど。ニコンって、いわゆるピクセルシフトマルチみたいな機能がないよね。どうしてなのかな? パテントの問題?
豊田:やろうと思えばできるけど、要望が少ないだけ、という話でした。ピクセルシフトマルチみたいなのって、官公庁の需要が多いみたいみたいですね。
森田:フジのX-H2なんて、1億6千万画だっけ? 某写真家がすごく興奮してたなぁ。
豊田:博物館とか美術館からの要望が強いみたいです。マルチショットすることで画素補完せず1画素毎の正しいデータを得られますので、色再現や細部再現が忠実、というのがメリットですね。
今浦:ペンタックスのリアレゾ(リアルレゾリューション)方式も試したことがありますが、なかなかよかったです。
森田:でもニコンは採用しない。
豊田:優先度が低いだけだと思います。
山田:やらないのか、それともファームアップVer.4とかで入れてくるのか。
今浦:スタジオワークなら出番もあるので、あって困る機能ではないと思います。実際、複写とかは事業として成立しているみたいなので。
豊田:とは言え、Photoshopに任せれば「スーパー解像度」でそこそこ近い画が出てくるんですよね。どっちが効率的かってなると…。
今浦:そうか。今後は外部ソフトに頼っちゃったほうが楽っていう面もありますね。
山田:そう。三脚立てないといけないとか、被写体が動いちゃいけないとか、いろんな条件が入ってくるので。あと、フリッカーがあったら即アウトです。
豊田:ピクセルシフトで撮ると、いかに世界が揺れてるかっていうのが実感できます。
今浦:ですねー。無風だなって思って撮っても絶対に動いている部分がありますからね。
豊田:都内だと地下鉄がいっぱい走ってるから、ほぼダメです。
阿部:元々ニコンはHDRがそんなに好きじゃなくて、アクティブDライティングを推奨してたから。画像を重ね合わせるよりも、一発でやりたいっていう気持ちの方が強いんだと思う。
今浦:だとしても、この辺は手遅れ感が強いですけどね。
豊田:アクティブD-ライティングはもう古いですよ。
今浦:あれはオワコンと言ってもいいですね。早くやめた方がいい。
編集部ダメなの? アクティブD-ライティング。
今浦:正直、ムダだと思います。
豊田:ムラがすごく出るんですよ。
今浦:たとえば遠景で、背景が青空の山を撮るとするじゃないですか。それでアクティブD-ライティングを入れると、山の輪郭がシューッと白くなるんです。昔の、無理に画像処理でコントラストを上げたみたいな感じ。どう見ても不自然(笑)
豊田:覆い焼きしたみたいな明度のムラ。
編集部分かりやす過ぎる輪郭強調。
今浦:この処理に関してはニコン独特。ほかのメーカーにはない仕様ですね。
山田:けっこう昔からあったからね。でもこれだけ画素数が上がってきて画像の解析もできるようになったんだから、輪郭処理に関してもそろそろ新しい展開があると思う。僕が勝手に思っているだけも知れないけど。
今浦:ダイナミックレンジでいうと…ニコン以外のほとんどメーカーは、ISO感度をちょいと上げてダイナミックレンジ広げるっていう処理を採用していますよね。その方が圧倒的に自然に仕上がるんだから、ニコンもやればいいのに。僕の中ではそこがニコンのネックになっています。
阿部:アクティブD-ライティングっていうのは、元々風景とかに使うよりも、たとえば真っ暗闇の料亭から政治家とか著名人が出てきたところを鮮明に撮る、みたいな報道寄りだったと思う。ちょっとぐらいムラがあってもストロボを焚かずに撮れるっていう。あとはフィギュアスケートとか屋内スポーツみたいな厳しいシーン。とはいえ他のメーカーとか見てると、ニコンも他のアプローチを考えた方がいいような気もします。
今浦:アクティブDライティングがはまるシーンって、確実にあるんですよ。でも、最近は対応できないシーンの方が多いような。
阿部:その辺はニコンも対応していて。昔はデフォルトで入っていたけど、今だと外すこともできるし、後からでも調整できるようになった。使い方の自由度は上がってきているよね。
今浦:そうですね。
森田:阿部さんはどうされてますか。「オート」にしてます?
阿部:状況によるよね。動画で光が硬い時はフラットな方が仕上がりが自然なのでアクティブD-ライティングを入れることがある。逆に静止画は後からも入れられるし。でも「オート」だと、一番強いところには絶対に入らないようになっている。だから「オート」で普通に撮ってて、えーってなることはない。そもそも昔はオフだと後から変えられなかったし。
今浦:あれもナゾ仕様でしたね。
豊田:たしか昔は「弱」が推奨でしたよね。
今浦:D850あたりからオフでも後から入れられるようになった。そこら辺からだと思う。それ以前はオフで撮ってると、後から入れられない。
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