タムロン 50-400mmF4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXD 主な仕様
●焦点距離:50-400mm
●最短撮影距離:0.25m (WIDE) / 1.5m (TELE)
●最大撮影倍率:1:2 (WIDE) / 1:4 (TELE)
●レンズ構成:18群24枚
●最小絞り:F22-32
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:67mm
●大きさ・重さ:φ88.5×183.4mm・1155g
●付属品:フード
なんとワイド端ではハーフマクロ撮影が可能!
100-400mmズームレンズと同程度のサイズ・重量=全長約184mm・重量1155gにおさえつつ、ワイド側を50mmまで広げているのが特徴のひとつ。実際にDSLR用の100-400mmF4.5-6.3 Di VC USD (Model A035)とほぼ同サイズであることがタムロンの矜持を感じさせる。
が、個人的には最短撮影距離と最大撮影倍率にも注目してほしい。ワイド端では驚異の0.5倍(いわゆるハーフマクロ)、テレ端でも0.25倍までイケる。ちなみにワイド端での最短撮影距離は25cmだが、レンズ長が約18cm、フランジバックがEマウントは大体2cm弱なので、レンズ先端から約5cm(フード先端からで言えば1cmくらい)まで寄ることができる。この瞬間がタムロンだね!!
フードは花形のものが付属するが三脚座は別売。三脚座はModel A035TMが使用可能。これは上述のModel A035と共用だ。三脚座が約145gなので合体させてもフード込みで約1.5kg未満に収まるのは大変に素晴らしい。三脚使用の場合は別途購入を推奨したい。
AFは快適も、手ブレ補正は…これはソニー側の問題?
触れた感触はいつものタムロン。スムースな操作感と手馴染みの良い塗装が好感触。擦過痕が目立ちやすい塗装のレンズもあるが、レンズをデコピンしてもそういった痕がつかないのはタムロンレンズの地味だけど良いところ。
今回、組み合わせたボディはα7 IV。重量バランスはややボディ寄りなので、構えた時に重量を感じにくく、テレ側ではレンズ中央より少しだけ先端寄りになるので振り回した時でも重心が近すぎず自然で快適。あまり重さを意識せず撮影できたので、帰宅後にスペックを確認してみて「あれ、そんなにあったの?」とビックリ。手持ちで連続4時間ほどロウロしてみたが、コレくらいなら我慢できるサイズ感だと思った。
AFは高速かつ静粛。α7 IVとの組み合せで問題なく被写体認識も動作。VC(タムロンの光学手ブレ補正)については、手ブレ補正の効果は135mmくらいまでは非常に強力でピタリと止まるが、300mm以降はちょっと…という感あり。まぁソニー機は他社と比べて手ブレ補正が弱いと感じることが多いので、EOS R5とRF100-500mmの組み合わせだと当然勝負にならない。
また、そのキヤノンにまで迫っているフジX-H2sとXF150-600mmとの組み合わせと比べても、旗色は悪い。が、これはタムロンが頑張れてないのではなくてソニーのボディ内手ブレ補正が物足りないから、 というのが経験に基づく豊田の見解です。α7 IVでだいぶ良くなったと思うけど、もう少し頑張って欲しいです。
この描写で文句言うなら、単焦点に行ってください…いや、マジで。
ここ数年の超望遠ズームレンズの描写性能には目を瞠るものがあるが、本レンズも同じ印象。さすがは希望小売価格19万5800円(税込)するだけある…というかお値段以上であることは間違いない。
どのズーム位置、撮影距離でもオベンチャラ抜きで申し分無い。例えば動物のカットだと毛の再現性が見事。正直コレでも文句があるなら「もう黙って単焦点レンズに行ってください」って思えるレベル。それくらいにスゲー写ります。
テレ端が400mm以下の超望遠ズームで屈指の実力だろう。繰り返しになるけど、お世辞抜きで良い。
今回の作例では、歪曲補正はすべてOFF、周辺光量と色収差の補正はあり(これがデフォルト設定)。歪曲補正ONでもズーム位置によっては糸巻き型の歪曲がちょっとだけ残るがごく軽微なもの。
●50mm
●400mm
上述の通り至近側でもギンギンに写るので撮影の楽しさがハンパない。撮ってる時に重さを意識しないで使えるレンズってのは疲労感が少ない。加えてズームレンジが広いので、当然ながら撮影領域も拡がるというもの。さらに接写性も高いので「あと少し寄れれば!」というストレスが無いのだ。この3つの柱がこのレンズの大きな魅力になっています。
その上、PCでチェックするとめっちゃ写りが良いので気持ちイイ。こういうレンズはいままでにない写真に出会わせてくれる。いわば撮影者にとって、この上ないプレゼントだと思いました。やっぱりワイド端の50mmってのが効いている。
150-500㎜にとって代わる、「新たなる銘玉」の予感!
非の打ち所がないレンズが出てきたぞ、というのが感想です。タムロンには150-500mm(Model A057)という好バランスな超望遠ズームがあって個人的にも大好きなレンズのひとつ。このレンズもテレ端500mmというスペックの割には小型軽量に出来ているけれど、それでも物理的には大きく重いレンズだった(1725g)。
さらにワイド端が150mmというのはちょっと長いので、持ち歩きやバッグへの収納性、撮影時の画角など広い意味での「取り回し」という点でシーンを選ぶレンズであったことは確か。
本レンズの場合はバッグへの収納性に優れているし、ボディ込みで約2kg程度なので、バッグに詰める際の覚悟が要らないのだ。ワイド側が50mmで接写性にも優れるので旅行にもピッタリ。
すでに開発発表されている20-40mmF2.8(Model A062)があれば、ひととおりのシーンがハイクオリティで撮れちゃうってのがタムロン/ソニー連合軍の強みだろう。こりゃ参りましたな。
今回は炎天下での影響とかは試せなかったけど、33℃以上で直射に30分以上晒されるような状況じゃなければ安定した描写性能とAF性能を堪能できると思った。実際に高温下だとAFが怪しくなるレンズがあるから。まあ、そういうシビアコンディションでの撮影をするなら純正レンズ(GとかGマスター)が良いと思います。そういうところにもコストかけてるから高いんだよね、純正って。