大きなお世話かもしれませんが、EOS R10が“Kiss”を名乗っていれば、すべて丸く収まっていたと思います。「超絶エントリー機!やっぱキヤノンはスゲーな」、「Mマウントは捨てたけどKissはやっぱり残したんだー」ってね。んでも、あくまで“R10”でした。この先もーしかしたら、想像を絶する「 Kiss R」が出るのかもしれませんが、ひとまずここはキッチリと較べてみましょう。

「迷ったらKiss、考えないでKiss、Kiss買っときゃえーねん」で30年!

画像: R10の方がひと回り大きいのは事実。この辺はKissを名乗らなかった理由? ってことは、もっとコンパクトなのが出るってこと? いやー、悩んじゃうー。

R10の方がひと回り大きいのは事実。この辺はKissを名乗らなかった理由? ってことは、もっとコンパクトなのが出るってこと? いやー、悩んじゃうー。

画像: 「迷ったらKiss、考えないでKiss、Kiss買っときゃえーねん」で30年!

EOSのエントリークラスといえば古来(1993年から、だったかな)からKissブランドがありました。簡単操作・軽量コンパクト・静音の3つの軸を高次元に突き詰めたコンセプトによってカメラをグッと身近なものにし、写真文化の拡大に多大な貢献をしたと言っても過言ではないでしょう。

フィルム時代はプリワインド式で、撮影したコマはパトローネの中に巻き込まれるので、うっかり裏蓋を開けてしまっても被害は最小限に抑えられる安心仕様でしたね。広告もオシャレだったし。デジタル化以後も「We Need KISS」っていうキャッチコピーでロックバンドのKISSをオマージュしたポスターが好きだった思い出があります。

そんな簡単キレイの究極形態であるKissシリーズはミラーレスのEOS Mシリーズにも投入されています。忘れている人も居るかもしれないけれど、キヤノンってばEOS Mっていうミラーレスシリーズもあったんだよ。過去形で語っていますが、豊田的に「そのうち過去形になるだろう」と思ってますぜ。

画像: EOS R10最大のポイントが「マルチコントローラー」。カメラオヤジにとって、このあるなしは大違い。まあ、キヤノンの賢い「AFエリア自動選択」でほぼほぼ事足りるんですけどね。

EOS R10最大のポイントが「マルチコントローラー」。カメラオヤジにとって、このあるなしは大違い。まあ、キヤノンの賢い「AFエリア自動選択」でほぼほぼ事足りるんですけどね。

で、キヤノンのミラーレスといえば? でご存知のEOS Rシリーズにもローエンドモデルが追加されました。あれ? と思ったのがR10ってミドルクラス機なのよね、キヤノン的には。

EOS M6 MarkⅡっていう32MPのスペックガン盛り機がエントリーモデルであったように、スペックだけでは判断出来ないんだね。正直な気持ちを言えばミドルクラスって一眼レフで言うところのEOS 90Dとかじゃないの? って思ってるのだけど、違うのかな?? 
ちなみにフルサイズのEOS RPも、APS-Cの雄ことEOS R7も同じミドルクラスにカテゴライズされています。

どちらも24MPのデュアルピクセルCMOS

KissM2とR10はどちらも24MPのデュアルピクセルCMOS。有効画素数はKissM2が約2410万画素に対してR10は約2420万画素とほぼ同一。でも読み出し速度が違うので、おそらくはベースは同じで近代化改修を施したセンサーじゃないかな?

エンジンはKissM2がDIGIC 8、R10はR5などと同じDIGIC Xになっています。R10の興味深いところが、メカシャッター/電子先幕時のコマ速がEOS Rシリーズ最速の約15コマ/秒(R7と同等)の高速性と、この価格帯では初となる高度な被写体認識AF(人物以外に動物と乗り物の検出)を搭載しているところ。サイズや見た目から受ける印象に対して全く見合ってないことをキヤノンがやってきたって事に意図を感じてしまいます。

サイズ感についてはKissM2がボディ単体(バッテリとメディア込)で約390gに対して、R10は約430gとKissM2が40g軽い。手に馴染むサイズはR10だけど、バッグへの収納性はKissM2だな。どちらもフラッシュ内蔵ってのがエライ!

質感はKissも、操作感は圧倒的にR10

画像: 質感はKissも、操作感は圧倒的にR10

手に持った時の質感は個人的にはKissM2の方が上。ただし、操作するとR10の操作感が明らかに上質。電子ダイヤルやモードダイヤル、電源スイッチなど物理操作出来る部分の感触はミドルクラス感がある仕上がり。R10で残念なのはバッテリー蓋からバネが無くなったこと。ここだけすっげー安っぽいのよね。

こころなしかEVFの覗き心地というか、クリアさがR10の方が良くなっている気がしました。念のためスマホで複写してみたけれど、肉眼ほどの差は出ませんでしたが、覗き比べてみるとR10のほうが少しだけ良い感じに見えます。

握り心地はR10が圧倒的に良い。撮る気にさせるグリップって感じで、いかにもサブ機としても使えそうなニオイがします。もしかしたら、この辺が良くも悪くも“Kiss”とは一線を画す部分なのかも知れませんが。

実写比較/キットズーム 
RF-S18-45mmF4.5-6.3 IS STM vs EF-M15-45mmF3.5-6.3 IS STM

それぞれ2種類のキットレンズで比較してみました。システムでどれだけ画質が改善しているのか? というのと、これから買う場合にはコンパクトなキットレンズか、少し大きいけれど高倍率ズームにするのが良いのか、についてを探るのがテストの意図です。

画像1: 実写比較/キットズーム RF-S18-45mmF4.5-6.3 IS STM vs EF-M15-45mmF3.5-6.3 IS STM
画像2: 実写比較/キットズーム RF-S18-45mmF4.5-6.3 IS STM vs EF-M15-45mmF3.5-6.3 IS STM

まずは新旧から。
標準ズームと高倍率ズームのどちらのレンズについてもRF-Sマウントのほうが光学性能が上というか、クリアでシャープ。背面液晶で拡大せず判別出来るかどうか? については微妙だけど、タブレットサイズ(約10インチ)以上のディスプレイならすぐ分かるレベルで描写が違います。

画像: 画像左がEOS R10、右がEOS Kiss M2(以下同)

画像左がEOS R10、右がEOS Kiss M2(以下同)

逆光耐性はほぼ同等。トータルでは「さすがR10(RF-Sレンズ)、新しいだけあるね」って感じ。使い心地の点でもRF-Sのほうが良くて、操作感がスムースだし、AFの速度と精度が明らかに上。三脚に固定してKissM2とR10で同じところにAFさせてるけど、R10のほうが明らかに歩留まりが良い。これは手持ちでも同様で、スナップシーン含めてあらゆる条件でR10のほうが狙い通りにAFしてくれました。

画像3: 実写比較/キットズーム RF-S18-45mmF4.5-6.3 IS STM vs EF-M15-45mmF3.5-6.3 IS STM

レンズの使い勝手という意味では、標準ズームについてはほぼ同等。トータルで性能は良いけどちょっと暗いRF-Sに対して、性能で少し劣る代わりに接写性が高くてワイド画角も余裕のあるEF-Mでした。

実写比較/高倍率ズーム
RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM vs EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STM

画像1: 実写比較/高倍率ズーム RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM vs EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STM
画像2: 実写比較/高倍率ズーム RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM vs EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STM
画像3: 実写比較/高倍率ズーム RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM vs EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STM
画像4: 実写比較/高倍率ズーム RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM vs EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STM

高倍率ズームについてはRF-Sの方がワンランク上のレンズって感じです。ちなみにR10を買うなら間違いなく高倍率ズームでしょう。これまでキヤノンは高倍率ズームが苦手というイメージを持っていましたが、この出来であれば、これまでの悪い印象は払拭されそうです。

みんな大好き高感度画質

●ISO3200

画像: ●ISO3200

●ISO6400

画像: 作例はISO3200とISO6400。キットレンズの開放F値が暗いので、スナップシーンであってもシャッタースピード稼ぐ目的で高感度を使うというシーンが増えそうですが、これなら画質を気にして1段低いISO感度にしなくても良さそうです。

作例はISO3200とISO6400。キットレンズの開放F値が暗いので、スナップシーンであってもシャッタースピード稼ぐ目的で高感度を使うというシーンが増えそうですが、これなら画質を気にして1段低いISO感度にしなくても良さそうです。

パッと見でR10の勝ち。作例以外のシーンについても、撮影状況によってはISO800でも差が出ていて、特にフラットな部分やなだらかなグラデーション部で分かりやすく差が出ます。これはKissM2に限らず、EOS M系って空が妙にカラーノイズっぽくザラザラするぞ、APS-C機としてはイマイチだぞ、っていう評価を筆者はしていて、それもあって個人的にEOS Mシリーズが好きになれなかったのだけどR10はキレイで滑らか。

被写体認識AF

某基地近辺でF35を狙ってみました。もうね、圧倒的にR10。誰がレビューしても問答無用でR10。KissM2でもAF性能的に撮れないことはないのだけれど、KissM2は表示のレスポンスが悪くて動体を撮る気になりまへん。被写体をフレームに捉え続けるのがそもそも困難なので撮影効率が悪いです。一般的な用途だと運動会撮るのは相当キツイし、動き回るペットを撮るのも正直なところ時間の無駄だと思います。

画像: 着陸シーンをパチリ。そこまで難しいとは思わなかったけどKissM2は惨憺たる結果。ミドル機以上の操作性に慣れている筆者としては正直KissM2だと撮る気にならなくて、動体で4倍、スナップでも3倍撮影枚数が違いました。キヤノンがR10をミドルクラスにカテゴライズしているのが、こういったところからも分かるよね。 ■EOS R10 RF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STM シャッター速度優先AE(F11 1/1000秒) WB:オート ISO400

着陸シーンをパチリ。そこまで難しいとは思わなかったけどKissM2は惨憺たる結果。ミドル機以上の操作性に慣れている筆者としては正直KissM2だと撮る気にならなくて、動体で4倍、スナップでも3倍撮影枚数が違いました。キヤノンがR10をミドルクラスにカテゴライズしているのが、こういったところからも分かるよね。
■EOS R10 RF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STM シャッター速度優先AE(F11 1/1000秒) WB:オート ISO400

R10ならそういうイライラがないので撮影が楽。特に被写体認識AFが実用的なので、新時代の簡単きれいを実現してます。リアルな事を言えば時々ミスって大ボケになったり、被写体の動きが大きな時はフレーミングが追いきれない時もありましたが、それでも誰でも動体撮影が楽しめるレベルにあると思います。

画像: KissM2と比べると撮影が露骨に楽。あと撮っていて楽しめる感じ。AF性能は完全に次元が違うし被写体認識もバッチリで精度も良好。機動飛行でこういう構図だとミラーレスにはキビシイかな?と思ったけど、問題無く撮れました。このシーンで比較したワケじゃないですが、ニコンのZよりAFが抜けにくいね。レンズの写りも良いし、KissM2みたいに空に妙なノイズも出てません。リアルな事を言えばまだEVFの遅延はあるけれど、これくらいなら慣れで何とかできそう。 ■EOS R10 RF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STM シャッター速度優先AE(F11 1/1000秒) WB:オート ISO400

KissM2と比べると撮影が露骨に楽。あと撮っていて楽しめる感じ。AF性能は完全に次元が違うし被写体認識もバッチリで精度も良好。機動飛行でこういう構図だとミラーレスにはキビシイかな?と思ったけど、問題無く撮れました。このシーンで比較したワケじゃないですが、ニコンのZよりAFが抜けにくいね。レンズの写りも良いし、KissM2みたいに空に妙なノイズも出てません。リアルな事を言えばまだEVFの遅延はあるけれど、これくらいなら慣れで何とかできそう。
■EOS R10 RF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STM シャッター速度優先AE(F11 1/1000秒) WB:オート ISO400

一応触れておくけど、AF性能に関してはライバルのZシリーズとは天と地ほどの差があるね。AFセレクターの有無や後ダイヤル、起動速度、大型のグリップなど、R10はサイズがコンパクトなだけで本気の撮影に応えてくれる構成になってるってのが非常に良いね。

バッファは貧弱なのでRAW+JPEGでバシバシ連写みたいな無理は出来ないけれど、それでも日常使いだけでなく、上位モデルのサブ機としての役割も果たせそうなくらいの実力はあるんじゃないかな。

画像: こちらはKiss M2で撮りました。AF性能的には撮れなくはない感じだけど、EVFの遅延が大きくて撮り難い、というかフレーミングがキツくて心折れます。この条件での撮影画像から算出するAFのヒット率は60%弱くらいなんだけど、ピントが合わなくて撮れなかったとか遅延でフレームインできなかった、みたいなのを全て考慮すると正味な話ヒット率は10%くらいだと思います。 ■EOS Kiss M2 EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STM シャッター速度優先AE(F6.3 1/200秒) +0.7段補正 WB:オート ISO500

こちらはKiss M2で撮りました。AF性能的には撮れなくはない感じだけど、EVFの遅延が大きくて撮り難い、というかフレーミングがキツくて心折れます。この条件での撮影画像から算出するAFのヒット率は60%弱くらいなんだけど、ピントが合わなくて撮れなかったとか遅延でフレームインできなかった、みたいなのを全て考慮すると正味な話ヒット率は10%くらいだと思います。
■EOS Kiss M2 EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STM シャッター速度優先AE(F6.3 1/200秒) +0.7段補正 WB:オート ISO500

ということで、今回の2台であれば撮影を楽しみたいなら断然R10です。実際に動体以外のシーンも含めて、2台を同じ様に使ってみて撮影枚数が3倍違ったからね。KissM2の良いところはコンパクトさ。あとはガチの初心者には丁度良い性能だと思います。というのも、迂闊に余計な操作をしにくいシンプルな作りになっているので意図しない操作や設定による失敗に陥り難いと思います。R10は操作性が良い反面、ビギナーには難しく感じそうだし、出来ることが多いのである程度の知識は要求しそう。

まとめ

画像: Kiss M2はボディ内手ブレ補正がないので、ビギナーにはひょっとすると難しいかも知れない気はしますが、テレ端で1/80秒でもソコソコ撮れます。AFセレクターを持つR10と比べちゃうと、こういったシーンは正直イライラするね。タッチAFがあるだろう? と思うかもしれないけど、望遠だと使い難いのよ。 ■EOS Kiss M2 EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STM プログラムAE(F6.3 1/80秒) WB:オート ISO400

Kiss M2はボディ内手ブレ補正がないので、ビギナーにはひょっとすると難しいかも知れない気はしますが、テレ端で1/80秒でもソコソコ撮れます。AFセレクターを持つR10と比べちゃうと、こういったシーンは正直イライラするね。タッチAFがあるだろう? と思うかもしれないけど、望遠だと使い難いのよ。
■EOS Kiss M2 EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STM プログラムAE(F6.3 1/80秒) WB:オート ISO400

トータルで見てみると、R10は確かにミドル機で、KissM2はエントリーモデルでありました。近いのはサイズ感だけで、撮影体験としては全く別の次元です。R10の撮影性能はAPS-C機というカテゴリーで見ても結構良い方にあると思ったけれど、高倍率ズームと組み合わせると家電量販店で現状約18万円(税込・ポイント換算なし)っていうかなりの本気プライスによって問答無用で賢者タイムに突入させられます。

性能的には価格を納得させる内容ではあるけれど、18万円だしてトータルで満足出来るか? っていうと正直難しいよね。だってフルサイズのEOS RP+レンズキットの方が安いんだもん。こっちのが満足感高そうじゃね? そこんところをキヤノンも理解しているからこそ、被写体認識AF搭載だったり、ミドル機の操作性を持たせて差別化というか、小さいけれど撮影性能は上位機並っていう特徴を持たせて差別化を図っているのだろうね。

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