シグマ 90mmF2.8 DG DN | Contemporary 主な仕様
●焦点距離:90mm
●最短撮影距離:0.5m
●最大撮影倍率:1:5
●レンズ構成:10群11枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:9枚(円形絞り)
●フィルターサイズ:φ55mm
●大きさ・重さ:φ64×59.7(61.7=Lマウント)mm・295g
●付属品:フード マグネット式メタルキャップ
このサイズゆえ、スナップとして持ち歩くのもまたヨシ!
発表されるのが90mmと先に聞いた上で実物が映し出されたときには、見ていた多くの方が驚いただろう。手のひらにチョンと乗り、もう片方の手で簡単に隠せてしまうサイズだ。昔だったらタバコの箱と比較したであろうが、イマドキは何が良いかと考えて単三の電池と並べてみた。この小ささが判ってもらえるだろう。
重さも295gととても軽い。SIGMA fpシリーズボディとの組み合わせでも大きすぎず、装着した際の佇まいはとてもバランスのいいものだ。メーカーWebに載っているのであえてここでは載せていないが、fpに装着して真横から見てもスゴく収まりがいい。
開放F値はF2.8で大口径ではないが実用十分な明るさ。ポートレートなどで溶けるようにボケきった像を求める人には物足りないかも知れないが、焦点距離が90mm望遠であるためボケは十分に得られる。
むしろこのサイズにより、常に持ち歩ける望遠レンズとしての存在価値があり、スナップなどにも積極的に使っていけるレンズだ。学術的な裏付けがあるわけではないがこのくらいの画角は注視して見る範囲を捉えやすい画角であり、スナップに使ってみると意外と楽しいのだ。
さて、前回もIシリーズの24mmを紹介しているため、Iシリーズ共通の造りの良さの話はもう十分って人もいるだろうけど、その金属筐体の質感の良さ、絞り環のクリックフィールの良さ、ピントリングの回転フィールの良さと、いたる所にこだわりが見え、実にレベルの高いビルドクオリティを備えている。見た目にも、実用にも、そして所有して楽しむにもこの上ないクオリティだ。
本レンズもプラスチック製のレンズキャップとマグネット式メタルキャップ両方が付属。ただ24mmのところでも書いたが、フードを使用状態にしているとメタルキャップに指がうまくかからず着脱がしにくい。指の細い人なら大丈夫かもしれないが、筆者の場合は無理(笑)。フードを逆付けしてしまうときには簡単に着脱できるが…。
ただマグネットでの着脱は素早い着脱を求めてしまうので、是非ともシグマさんには取っ手をつける、指掛かりのよい凹みをつけるなどして欲しい。オプションで別売でもそれなら筆者は全Iシリーズレンズ用に買い足すだろう(笑)
開放から絞るごとに表情が変わる…
画質面を見ていこう。本レンズはSLDガラスレンズが11枚の構成中5枚も採用されており、内一枚は非球面のSLDと贅沢な構成。サイズはコンパクトだが画質への期待が膨らむ。
まず解像感を見てみると、開放絞りでは中央付近はシャープだが、中央から外れると周辺に向かってジワジワと甘くなっていく。少しレトロな感じの写りだ。そこだけを見ておや?っと思ってしまう人もいるかも知れないが1段、そしてまた1段と絞っていくとどんどん表情を変えていく。F4を過ぎたあたりからはピリッとしてくるのだ。
遠景の比較カットを見ても、かなり写りが違うのが判るだろう。開放ならではのフワッとした写りと、キリッとした写りを絞りでコントロールできるレンズなのだ。アプリリアのバイクのカットなどを見ても判るが、F5.6などではゾクッとするような質感の描写をしてくれる。
逆光耐性も高め。今回も太陽が高い位置のオーバーめのカットと、日が傾いてからのカットなどいろいろな位置に太陽を置いて撮っているがほとんど出ない。四隅に近いところに太陽を置き、特定の角度では外側にわずかにゴーストが見られるがその程度だ。
開放絞りでのカリッカリの描写を求める人には微妙かも知れないが、そもそもこのサイズ感といい常用することを想定した望遠なだけに、コンセプトからすればかなり優秀なレンズと言っていいはずだ。
筆者も24mmF3.5、45mmF2.8、そして本レンズとF2.8シリーズ3本をバッグに入れてフラッと撮影に出たりする。もっと身軽にというときには本レンズだけということもある、それくらいお気に入りのレンズの一つだ。価格も健全なものだし(笑)、コンパクトだし、Lマウント、Eマウントのユーザーの方はぜひ試してみて欲しいレンズだ。