ソニーの交換レンズ群の中でも特に解像力やボケ味などにこだわり、同社の光学技術の粋を集めて開発されるレンズの称号Gマスター。2016年にそのデビューを飾ったスターター3本のうちのひとつ=ナナニッパに2世代目モデルFE 70-200mm F2.8 GM OSSⅡが昨秋登場。6年も経過すれば、いろいろ進化もしますよね!?

FE 70-200mm F2.8 GM OSSⅡ 主な仕様

画像: FE 70-200mm F2.8 GM OSSⅡ 主な仕様

●焦点距離:70-200mm
●最短撮影距離:0.4~0.82m
●最大撮影倍率:0.3倍
●レンズ構成:14群17枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:11枚
●フィルターサイズ:φ77mm
●大きさ・重さ:φ88×200mm・1045g
●付属品:フード/ケース

高級レンズ=Gマスターシリーズの第2世代

画像: マウント部近くに並ぶスイッチ類。従来のレイアウトに加え、AF-C操作時にピントリングを回転するだけでいつでもピントの微調整が可能なフルタイムDMFスイッチが追加された。手ブレ補正には通常撮影時のモード1、流し撮り撮影時のモード2に加えて、予測の難しい動体の撮影時に効果を発揮するモード3が追加されている。一番下がアイリスロックスイッチ。

マウント部近くに並ぶスイッチ類。従来のレイアウトに加え、AF-C操作時にピントリングを回転するだけでいつでもピントの微調整が可能なフルタイムDMFスイッチが追加された。手ブレ補正には通常撮影時のモード1、流し撮り撮影時のモード2に加えて、予測の難しい動体の撮影時に効果を発揮するモード3が追加されている。一番下がアイリスロックスイッチ。

画像: 絞りリングのクリックストップを無効にできるスイッチを搭載。録画中に絞りリングを無段階に開閉できるため被写界深度の変わりゆく様を演出効果として動画に適用できる。静止画の場合「半シボ」(1/2絞り)が決めやすいかもしれないけどけど、そんなの今のご時世で使うとしたら大型ストロボでマニュアル撮影の時くらいかなぁ…。

絞りリングのクリックストップを無効にできるスイッチを搭載。録画中に絞りリングを無段階に開閉できるため被写界深度の変わりゆく様を演出効果として動画に適用できる。静止画の場合「半シボ」(1/2絞り)が決めやすいかもしれないけどけど、そんなの今のご時世で使うとしたら大型ストロボでマニュアル撮影の時くらいかなぁ…。

とはいえ、ソニーオンラインストアをみると初代FE70-200ミリGMも現行商品で価格差なんとたったの407円(原稿執筆時点)!で販売継続中。…どっちを買えばいいのー?と悩んでしまった迷える子羊さんのために、Ⅱ型の進化点をあらためて見ていこう。

 
FE70-200mmF2.8GM OSSⅡの進化点でも特質すべきは、その軽量化。鏡筒のサイズ感こそ変化はないものの、手に持つと明らかに軽い。対初期型で約29%・435gもの軽量化を実現しているのだ。

これは、鏡筒内の部材に軽量で堅牢なマグネシウム合金を採用したことや、ズーミングでレンズ重心が大きく動くことがないよう、従来のフロントヘビーな光学設計を見直したことによるもの。

画像: 専用フードも花型から大型で剛性のある筒型に変更された。先端はラバーで保護されているので、一時的にレンズを下向きにして床や地面に置くことも可能。着脱ロックのボタンつきで逆付けも可能。

専用フードも花型から大型で剛性のある筒型に変更された。先端はラバーで保護されているので、一時的にレンズを下向きにして床や地面に置くことも可能。着脱ロックのボタンつきで逆付けも可能。

三脚座の真上あたりに重心がくるため動画撮影用ジンバルの使用時の都合が良いだけでなく、スチール撮影時は三脚/一脚使用時もちろん手持ちのハンドリングバランスも良い。何にしても単焦点の広角レンズ1本分に相当する軽量化は、携行時の負担減としては大変ありがたい。

外観からすぐに分る変更点としては、鏡筒に絞りリングが追加された。この絞りリングは中間絞りのクリックストップをオフにするデクリックも可能。
動画撮影中にスムーズかつ連続的に絞りを調整し、被写界深度の変化を映像表現として加味できる。

スチール撮影時にもカメラを保持する左手だけで操作できるようになるので、右手はシャッターを切ることに集中できるし、もちろん従来通りのカメラ側のダイヤル操作と使い分けも可能。今後登場してくるGマスターの新製品には、絞リングは標準装備になっていくのだろう。

画像: ワイド端(左)とテレ端(右)。どちらも絞り開放だがシャープで細かい分部までしっかり解像して、スケルトンのゴンドラに乗客が乗っていることもしっかりわかる。銀塩機の頃から、様々なカメラやレンズのレビュー用作例として何度も撮ってきたこの観覧車が営業終了とのこと、で最後に良いレンズで撮影できてよかった。

ワイド端(左)とテレ端(右)。どちらも絞り開放だがシャープで細かい分部までしっかり解像して、スケルトンのゴンドラに乗客が乗っていることもしっかりわかる。銀塩機の頃から、様々なカメラやレンズのレビュー用作例として何度も撮ってきたこの観覧車が営業終了とのこと、で最後に良いレンズで撮影できてよかった。

圧倒的な軽量化のみならず、AFレスポンスの進化も顕著

画像: カメラ側の動物瞳AF(鳥)と4倍になったAF駆動速度の組み合わせで、飛翔中の鳥の瞳にピントを合わせた連写も容易。安心して絞り開放を使えるので瞳と動体の一部以外はフォーカスアウトしている。200ミリ開放の浅い被写界深度でも、的確にAFが追従制御できているかがわかる。 ■ソニー α1 シャッター速度優先AE(1/2000秒 F2.8) プラス0.7露出補正 WB:オート ISO160

カメラ側の動物瞳AF(鳥)と4倍になったAF駆動速度の組み合わせで、飛翔中の鳥の瞳にピントを合わせた連写も容易。安心して絞り開放を使えるので瞳と動体の一部以外はフォーカスアウトしている。200ミリ開放の浅い被写界深度でも、的確にAFが追従制御できているかがわかる。
■ソニー α1 シャッター速度優先AE(1/2000秒 F2.8) プラス0.7露出補正 WB:オート ISO160

画像: 今まで積極的に被写体にしたことがなかったので…カラスはただの真っ黒な鳥ではないことをこの写真で知る。微妙な光の当たる加減で紫や青味を帯びた羽根の色彩を見事に再現してくれた。 ■ソニー α1 シャッター速度優先AE(1/800秒 F3.5) プラス1.3露出補正 WB:オート ISO160

今まで積極的に被写体にしたことがなかったので…カラスはただの真っ黒な鳥ではないことをこの写真で知る。微妙な光の当たる加減で紫や青味を帯びた羽根の色彩を見事に再現してくれた。
■ソニー α1 シャッター速度優先AE(1/800秒 F3.5) プラス1.3露出補正 WB:オート ISO160

撮影結果に直結するAF性能の向上としは、鏡筒の全長変化を伴わないフローティングフォーカスを継続しながらも、レンズ駆動に強力なパワーを発揮するXDリニアモータを4基搭載。その結果、AF駆動速度が初期型比で約4倍に高速化されたとのこと。

実際、動体の撮影中にEVFのライブビューで気持ちよくAF合焦する様を体感できた。この感覚を一度味わってしまうと、正直なところI型に戻るのは難しいだろう。AFの強化は静止画での動体適応力だけでなく動画撮影時にも有効。

特に、接近しつつある被写体の撮影でズーム操作を伴う場合のAF追随性能も約30%向上というのだから、頼もしいことこの上ない。またピント移動にともなう画角の変化=フォーカスブリージングも抑制されているとのこと。

画像: 公園で散歩中のワシミミズクを数メートルの近距離から撮らせてもらった。細かな羽根の造作や幾重にも重なる様子を、くっきり写す解像度の高さと質感の再現力は流石Gマスター。手前の一羽と背景のボケ方も綺麗だ。 ■ソニー α1 絞り優先AE(F2.8) プラス0.3露出補正 WB:オート ISO160

公園で散歩中のワシミミズクを数メートルの近距離から撮らせてもらった。細かな羽根の造作や幾重にも重なる様子を、くっきり写す解像度の高さと質感の再現力は流石Gマスター。手前の一羽と背景のボケ方も綺麗だ。
■ソニー α1 絞り優先AE(F2.8) プラス0.3露出補正 WB:オート ISO160

画像: 新規光学設計により最短撮影距離が0.4メートルまで短縮された。美しい背景ボケを活かしたクローズアップ撮影で主被写体を際立たせる表現が容易に行える。■ソニー α1 絞り優先AE(F2.8) マイナス0.3露出補正 WB:オート ISO320

新規光学設計により最短撮影距離が0.4メートルまで短縮された。美しい背景ボケを活かしたクローズアップ撮影で主被写体を際立たせる表現が容易に行える。■ソニー α1 絞り優先AE(F2.8) マイナス0.3露出補正 WB:オート ISO320

肝心の描写力に関しては、新規光学設計でも変わらずまさにGマスターのシャープさと美しいボケを堪能できる。カメラのAF検出、追随制御の向上との相乗効果で絞りを開けても大きなボケ味を楽しめるし、Gマスターの多くのレンズに言えることだが、逆に絞り込みでの使用でも良好な画を得られるので、表現の幅も多彩だ。

ここまでくれば、もう羊の迷いは解消、2世代FE70-200mmF2.8GM OSSⅡの描写力のごとくクリアになっているはず。
結論としては、新規購入者はいうもでもなく、既存のⅠ型ユーザーも資金的な問題がなければ買い替えで幸せになれるはず。

ただし、動画は撮らないし風景など静止した被写体がメインで、AF速度は重要視しないという人は慌てる必要はないだろう。Ⅰ型の描写も素晴らしく見劣りすることもない。Ⅱ型に買い替えるユーザーが増えれば必然的に中古市場には多くのⅠ型が流れるわけで、状態が良く予算に会う個体を探してみるのも楽しいだろう。

画像: 港に新しくできたカフェのドアをイメージ的に写してみた。背景に入れ込んだ洒落たランプの存在感がうるさくならない程度にフォルムが分るよう絞りを決めた。綺麗な背景ボケの中に印象的なハイライトが入った。 ■ソニー α1 絞り優先AE(F8.0) マイナス1.0露出補正 WB:オート ISO320

港に新しくできたカフェのドアをイメージ的に写してみた。背景に入れ込んだ洒落たランプの存在感がうるさくならない程度にフォルムが分るよう絞りを決めた。綺麗な背景ボケの中に印象的なハイライトが入った。
■ソニー α1 絞り優先AE(F8.0) マイナス1.0露出補正 WB:オート ISO320

画像: 日没1時間くらい前の太陽を画面に入れている。海面の反射も含め結構強い光だが、コントラストの低下やハレーションの発生など、大きな画質低下を伴わないのは有害光対策がしっかりされている証。 ■ソニー α1 絞り優先AE(F8.0) マイナス0.3露出補正 WB:オート ISO100

日没1時間くらい前の太陽を画面に入れている。海面の反射も含め結構強い光だが、コントラストの低下やハレーションの発生など、大きな画質低下を伴わないのは有害光対策がしっかりされている証。
■ソニー α1 絞り優先AE(F8.0) マイナス0.3露出補正 WB:オート ISO100

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