パナソニックから、フルサイズ機「LUMIX Sシリーズ」用のLマウント単焦点レンズ「F1.8シリーズ」が続々登場している。今回はもっとも発売が新しい「LUMIX S 35mm F1.8」について紹介しよう。

LUMIX S 35mm F1.8 主な仕様

画像: LUMIX S 35mm F1.8 主な仕様

●焦点距離:35mm
●最短撮影距離:0.24mm
●最大撮影倍率:0.22倍
●レンズ構成:9群11枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:9枚(円形絞り)
●フィルターサイズ:φ67mm
●大きさ・重さ:φ73.6×82mm・約295g
●付属品:フード/キャップ

動画撮影に軸足を置いた4兄弟

画像: 外観はやや大きめに見えるが、重さは295gと軽量で軽快。LUMIX S5とのバランスも上々だ。

外観はやや大きめに見えるが、重さは295gと軽量で軽快。LUMIX S5とのバランスも上々だ。

この「F1.8シリーズ」は現在、24mm、35mm、50mm、85mmの4種をラインナップ。同シリーズのコンセプトは独特で、各レンズともに、明るさはもちろん、外観デザインやサイズ、操作感を統一している点だ。

これは動画撮影時にリグを使ったり、ジンバルやドローンに搭載したときの操作感や重量バランスを統一することで、レンズを交換しても重量バランスの再調整や周辺機器の位置変更を最小限に留めるのが目的。

画像: レンズフードはロック付きで、持ち歩いていても外れる心配がな、とても安心。

レンズフードはロック付きで、持ち歩いていても外れる心配がな、とても安心。

さらにF1.8シリーズは、描写性能までもシリーズで統一されているという。静止画はもちろんだが、動画撮影時にレンズ交換をしてもカット毎の描写の違いを抑えているわけだ。もちろんこれは、現場でのプロ用途をかなり重視した結果である。
つまり、同じLマウントでも各レンズが個性的で趣味性を重視した「シグマIシリーズ」とは対局の存在となるのだ。

ちなみにLUMIX Sシリーズでも、このシリーズ以外のレンズは個々の焦点域でベストの性能を追求したものになっていることから、この「F1.8シリーズ」の立ち位置がいかに特別なものであるか理解できるだろう。

パッと見、見分けがつきませーん

画像: 「F1.8シリーズ」3本を並べたところ。フードなしだと外観上の違いはほぼ側面の焦点距離表示のみ。サイズや重さ、操作性はきちんと統一されている。

「F1.8シリーズ」3本を並べたところ。フードなしだと外観上の違いはほぼ側面の焦点距離表示のみ。サイズや重さ、操作性はきちんと統一されている。

今回、レビュー用に、24mm、35mm、50mmが一緒に届いたが、外観デザインはもちろん、最大径73.6mm、全長約82.0mmとサイズも同じで、重さも15g程度しか変わらない。フードこそ異なるが、どのレンズを装着してもボディとのバランスが変わらないので、確かに、使いやすい。
 

画像: 撮影共通データ ■パナソニック LUMIX S5 絞り優先AE(F1.8) WB:オート ISOオート 最短撮影距離は0.24mと至近距離まで寄れる。だが、この距離域になると、軸上色収差が見られる。

撮影共通データ
■パナソニック LUMIX S5 絞り優先AE(F1.8) WB:オート ISOオート
最短撮影距離は0.24mと至近距離まで寄れる。だが、この距離域になると、軸上色収差が見られる。

実際に使って見るとサイズが統一されているため、レンズスペッの割に外観が大きく感じる。が、それでも重さは295gと見た目よりずっと軽量。

AFは動画時の作動音を配慮してか、とても静音に仕上がっている。動作もスムーズで、意外なほど軽快感がある。また、フォーカスリングの幅が広く、マニュアルフォーカスも楽々。AF/MF切り替えがレンズ側でもできる。さらに、リングやスイッチの位置も統一されているので、この点もとても便利。

「描写力」までも統一!

画像: 光源の後ボケは、輪郭部の色収差も感じられず、点光源のボケの明るさも均一でクセが少ない。

光源の後ボケは、輪郭部の色収差も感じられず、点光源のボケの明るさも均一でクセが少ない。

画像: ゴーストはよく抑えられており、なかなかクリア。絞り開放では、周囲の点光源をよくよく見ると、収差により光源は羽を広げたような感じに写っている。

ゴーストはよく抑えられており、なかなかクリア。絞り開放では、周囲の点光源をよくよく見ると、収差により光源は羽を広げたような感じに写っている。

描写は比較的クセのない、ニュートラル志向のもの。だが、最新のF1.8単焦点レンズとして考えると、もう少し個性というか切れ味が欲しい気がしたのも事実。
全体にカリカリした描写ではなく、かといって変なクセもない。ある意味、シーンを選ばない描写のレンズという印象だ。つまりはピーキーで強い個性がない代わりに、大きな欠点もないということ。

画像: 近距離での撮影だが、エンブレムの金属の質感もよく再現されており、ボケ感も自然でクセがない。

近距離での撮影だが、エンブレムの金属の質感もよく再現されており、ボケ感も自然でクセがない。

また、最短撮影距離が0.24mと近いのだが、その距離域で絞り開放で撮ってみると、軸上色収差が意外に残っているのも気になるところ。
夜景を撮ると、画面周辺での点光源に非点収差が残っている。ボケ味は比較的穏やかでクセは少ない。全体に安定した安心感のある描写になっている。

このレンズは前記の通り、「F1.8シリーズ」というシステムの中で使われるレンズなので、強い個性や卓越した描写力よりも安心して使える安定感を重視した描写といえるだろう。
私のように単焦点レンズに、実用性より趣味性を求める者にはやや物足りなさも残る。しかしどんなときも安心、信頼できる良妻賢母型のレンズといえるだろう。

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