プラマウントはよろしくないでしょうが!
レンズについての詳しいスペック等は公式ページ(この記事の一番下)を確認してください。
手に持った感じは完全に太巻き寿司。
2013年以降のニコンAPS-Cフォーマット用ズームレンズって色といい艶といい、加えて太さと長さもまるで巻き寿司のサンプルのような雰囲気を纏うレンズであることが多い不思議があります。
宣伝が下手だったり、キャッチコピーがダサい、初物(Nikon 1の初代や伝説のKeyMissionなど)に弱い、など、豊田が一方的に認定している ”ニコン七不思議” の内のひとつ、「DXズームレンズは巻き寿司」がありますが、ご多分に漏れずそのDNAは引き継がれたようです。
この巻き寿司を手にした瞬間に、それこそ光の速度で気になった事があります。それは芸術点がマイナスに振り切ってしまう「プラマウント」。原稿執筆時点で豊田は写真展の真っ最中で心はハッピーになっていましたが、そんな豊田の心を漆黒に染め上げるのがプラマウントなのです。
ダークネス・トヨタがひと度出現してしまうと、”このレンズを積極的に選ぶ人は、頻繁にレンズ交換なんてするワケが無い。そうニコンは思っているに違いない” などと被害妄想がムクムクです。経験上の話になりますが、プラマウントのレンズってセンサーゴミが多いと思うのよね。あながち気のせいではないと思っています。
「画質最優先」は理解できますがー。
あとフードが同梱されていない事も気になります。定価で約8万5千円もするのにフード同梱しないのって…。ネガティブついでに、レンズの付け根の部分がツメ用のヤスリになっている事も非常に気になりました。ツメが当たりやすい部分なのに、ちょっと当たると筋が付いちゃうのよね。これネイルとかしてたらネイルへの攻撃性が高いのでは? と思うわけで。軽く拭けばレンズ鏡筒の筋跡はすぐ消えるんだけど、美しくないよね。
ということで芸術点は低めです。現実的な事を言えば、金属マウントにしてフード同梱するとおそらく定価が9万円を越えちゃうんだろうね。多分それだと製品企画的に許されない。工夫して頑張って限界まで切り詰めてるってのは想像に難くないです。
性能的に妥協はしたくない。例えば光学性能は妥協すれば価格は抑えられるが、Zレンズとしてそういう選択は無いのでしょう。で、苦渋の決断としてフードを別売、マウントはプラにした、ということなのだと。
とても分かります。でもね、そうじゃネ-と思うんだわ。道楽とか趣味って美学こそ大事なんじゃねーのかい??と、トヨ魂なので噛み付いておきますね。
本題の写りとか使い勝手について。
突然ですが、Zの高倍率ズームといえば豊田的に傑作認定しているZ24-200mmが真っ先に思い浮かびます。高倍率ズームらしからぬ素晴らしい写りのレンズですが、寄れないっていう弱点がありまして。Z24-200mmを称賛する度に心の奥底では「画竜点睛を欠くとはこのことを表しているのだ」と実は思っていました。
本レンズはZ24-200mmと近い画角をカバーするレンズになります。APS-C専用設計のメリットがちゃんと出ていて、相当寄れる。これだけでも「ZのAPS-C、使える…!」と思うのよ。接写できるってそれだけでも買う理由になるからね。
写りについても相変わらずというか何というか、悔しいけどスコブル良い。逆光耐性も結構頑張っているし、撮影距離や絞り、光線状態に依らず非常に安定してクリアでシャープ。
Zレンズってまたしてもハズレがないね。ヨイショするみたいで嫌なんだけど、Zレンズはひとクラス上の光学性能を持っているように思います。
使い勝手の点では、フォーカスブリージングが小さくてAF速度も上々。しかもほぼ無音。
VRは「本当に5段もある?」と何度か思いましたが、それは裸のZ fcと組み合わせだったから、なのかも知れません。
「グリップの良いZ50との組み合わせであれば…」と撮影中に何度も思いました。Z50って小さいのに安定感あるのよね。
Z fcとの相性は、少なくともエクステンショングリップなどを装着しない裸のZ fcと組み合わせるならイマイチ。あと豊田の美的感覚では「ダセェ組み合わせだな」と。Z fcって純正レンズと本当に仲良くなれないよね。数少ない例外のひとつであるZ28mmSEもさ、ずっと見てると前玉がつぶらな瞳で可愛いんだか可愛くないんだか釈然としない気持ちになるしね。
総じて、高倍率ズームらしからぬ見事な写りとサイズ感に唸らされる一方で、質感とかプラマウントやフードが同梱されないところなどに寂しさもあって、「可愛げがないぞ」という気持ちが豊田の心に居座っています。モノは良いんだ。足りないのは積極的にこのレンズを選ぶ理由だけだと思うのよ。効率的なレンズ選びって、少しだけ虚しくない??豊田だけ???