「Stay home」の時は、じっくりと自宅で撮影に専念してみませんか? 各ジャンルのエキスパート写真家が、その撮影ノウハウをアドバイスしてくれました。「料理編」は水咲奈々さんです。

まずは気軽にチャレンジしてみましょう!

料理写真はいざ撮ろうとすると、カフェのメニュー写真のように綺麗に撮らなくちゃと身構えてしまいがちですが、簡単なポイントを押さえれば画になりやすい写真でもあります。ここでは、料理写真を撮ったことがない方でも、気軽にチャレンジできる撮り方をお教えします。

まず撮影のセッティングですが、カメラは三脚に設置して、ライブビューを使用すると構図を決めやすいです。お皿や小道具のカップなどの位置を微調節しても、肝心のカメラの撮影位置が変わってしまうと、構図の調節をやり直さなければなりません。ピント合わせやシャッターを切るときは、ファインダーを覗いても、ライブビューでそのまま行っても、どちらでも構いません。

画像: ▲撮影するときは斜め45度上から撮ると、自然な立体感のある写真になります。縦位置の構図のときは、メインの料理のお皿の奥にコップやカトラリーなどの小道具を、Cの字やSの字になるように配置すると、奥行き感と共にテーブルらしさを演出できます。白い無地のお皿は清涼感を演出できるので、どんな料理にも使えるオールマイティーな小道具です。 ■ニコン Z 6 + FTZ + AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED 絞りF4.5 1/60秒 +1.0EV ISO100 WB:5000K ピクチャーコントロール:ビビッド 三脚使用

▲撮影するときは斜め45度上から撮ると、自然な立体感のある写真になります。縦位置の構図のときは、メインの料理のお皿の奥にコップやカトラリーなどの小道具を、Cの字やSの字になるように配置すると、奥行き感と共にテーブルらしさを演出できます。白い無地のお皿は清涼感を演出できるので、どんな料理にも使えるオールマイティーな小道具です。
■ニコン Z 6 + FTZ + AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
絞りF4.5 1/60秒 +1.0EV ISO100 WB:5000K ピクチャーコントロール:ビビッド 三脚使用

カメラの設定は、露出モードは絞り優先AEかマニュアルで、ホワイトバランスはオートでも構いませんが、5000〜6000Kの間で美味しそうに見える色温度に設定すると、自分好みの色味に仕上げられます。ピクチャーコントロールなどの画づくり設定は、被写体の料理に赤、緑、青などの色味が入っているときは、鮮やかさの増すビビッドな設定にすると、より華やかな写真になります。

レンズは被写体に近付ける、最短撮影距離の短いレンズがお勧めです。お持ちでしたら、マクロレンズがベストです。所持していない場合は、大口径の単焦点レンズが、その次にお勧めです。ズームレンズの場合は、50mm前後の標準画角でなるべくF値の小さいレンズを使用して、背景をボカしたいときに大きくボカせるようにしましょう。

画像: ▲横位置の構図のときは、お皿全体が入るように撮ると記録写真のようになってしまうので、お皿が見切れるくらい被写体にぐっと近付いて撮ってみましょう。肉料理などの重厚感のある被写体は、黒いお皿に盛り付けると引き締まった印象になります。また、露出はあまり明るくし過ぎずに、肉の重なりの部分の影を残すと、立体感を演出できます。メインのローストビーフにピントを合わせて、添え物のニンニク丸焼きとパプリカを前ボケにすることで、お皿の上だけで遠近感を出しました。 ■ニコン Z 6 + FTZ + AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED 絞りF4 1/60秒 +1.0EV ISO100 WB:5500K ピクチャーコントロール:ビビッド 三脚使用

▲横位置の構図のときは、お皿全体が入るように撮ると記録写真のようになってしまうので、お皿が見切れるくらい被写体にぐっと近付いて撮ってみましょう。肉料理などの重厚感のある被写体は、黒いお皿に盛り付けると引き締まった印象になります。また、露出はあまり明るくし過ぎずに、肉の重なりの部分の影を残すと、立体感を演出できます。メインのローストビーフにピントを合わせて、添え物のニンニク丸焼きとパプリカを前ボケにすることで、お皿の上だけで遠近感を出しました。
■ニコン Z 6 + FTZ + AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
絞りF4 1/60秒 +1.0EV ISO100 WB:5500K ピクチャーコントロール:ビビッド 三脚使用

料理のセッティングですが、テーブルは自然光の入る窓際に置きましょう。光の状態は、被写体の斜め後ろから当たるような半逆光か、被写体の後ろから当たる逆光の位置にします。室内の照明はすべて消して、お皿に照明が写り込んだり、ミックス光にならないようにしましょう。

その状態のままですと手前側が暗くなりますので、小さなレフ板か、白い画用紙などを使用して、手前から光を起こしてあげましょう。料理の写真は、基本的に明るいほうが清潔感が出て美味しそうに見えるので、露出は見た目よりも明るめに仕上げるのがポイントです。

画像: ▲こちらは生ハムを先ほどのローストビーフと同じお皿に盛り付けています。このように、メインの料理が優しい色味のときは、ポートレートのようなコントラストが低い画づくり設定を使用すると、ふんわりと優しいムードの写真に仕上げられます。山なりに盛ったハムの後ろにボケているのは、同じく山なりに盛ったチーズです。斜めの位置に盛り付けて斜線構図にすることで、単調な画になることを避けられます。 ■ニコン Z 6 + FTZ + AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED 絞りF3 1/60秒 +0.3EV ISO100 WB:5300K ピクチャーコントロール:ポートレート 三脚使用

▲こちらは生ハムを先ほどのローストビーフと同じお皿に盛り付けています。このように、メインの料理が優しい色味のときは、ポートレートのようなコントラストが低い画づくり設定を使用すると、ふんわりと優しいムードの写真に仕上げられます。山なりに盛ったハムの後ろにボケているのは、同じく山なりに盛ったチーズです。斜めの位置に盛り付けて斜線構図にすることで、単調な画になることを避けられます。
■ニコン Z 6 + FTZ + AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
絞りF3 1/60秒 +0.3EV ISO100 WB:5300K ピクチャーコントロール:ポートレート 三脚使用

ピントの位置は、山なりに盛ってある料理は、一番高くてカメラに近い目立つところにします。平面的な料理は、お皿の上でメインとなる料理や具材の、カメラに近いところにピントを合わせると画になりやすいです。

絞りは、開けすぎるとボケて何の料理かわからなくなってしまいますし、絞り過ぎるとムードが無くなってしまいます。絞り開放からF8くらいまでの間で、料理によって使い分けましょう。ピント位置もですが、構図や明るさ、お皿の配置などで迷ったら、自分が美味しそうに見える写真を目指して撮りましょう!

撮影・解説:水咲奈々

東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するが、モデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し、編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので、撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。 (社)日本写真家協会(JPS)会員。

This article is a sponsored article by
''.