8月23日に公式発表されたニコンのミラーレスカメラ Z 7 & Z 6 の件で、カメラ業界は大いに盛り上がっています。でもボディの話が中心で、レンズのことはそれほどでもないようです。ならば 私・アベっちがお伝えしましょう!

NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

画像2: www.nikon-image.com
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●レンズ構成:9群11枚(EDレンズ2枚、非球面レン ズ3枚、ナノクリスタルコートあり)●最短撮影距離: 0.25m●最大撮影倍率:0.19倍●絞り羽根枚数: 9枚●最小絞り:f/16●サイズ:約73.0×86.0mm ●質量:約370g

贅沢に設計した大柄なレンズ

もう1本紹介しましょう。誰もがこのレンズを見たときに思うのは「希望小売価格12万3120円って高い! 開放絞りF1.4じゃなくてF1.8でしょ。なんでそんなにするの?」だと思います。いや、アベっちもそうだったのです。 でも、使ってすぐにこのレンズの魅力がわかりました。

35mm f/1.8としては、かなり大柄なことがこのレンズの特徴です。
レンズはコンパクト化すると口径食や周辺光量などが著しく悪くなります。F1.8でありながら贅沢に設計したところにこのレンズの魅力があり、高価になった秘密があります。

ボケ具合は抑え気味なのに軟らかくふんわりと見える!

画像: ボケ具合は抑え気味なのに軟らかくふんわりと見える!

▲絞りF1.8 1/320秒 プラス0.6露出補正 ISO100

ピントの合ったところの描写は、絞り開放でもカリカリです。まつ毛1本1本がはっきり解像されています。後ろの耳のところの髪を見るとボケてはいますが、団子のようにひと塊りにはならずにちゃんと分かれています。
背景には普通ならゴチャゴチャと汚くボケそうな立ち並ぶビルとクルマを選んでいます。 絞り開放がF1.8でボケ具合は抑え気味なのに、軟らかくふんわりと見えるのがこのレンズの持ち味です。

口径食の少なさ、 周辺光量不足が まったく感じられない!

画像: 口径食の少なさ、 周辺光量不足が まったく感じられない!

▲絞りF1.8 1/125 秒 プラス0.3露出 補正 ISO250

アベっちがエスカレーターの下の段に乗って、振り返ってモデルのまきちゃんを撮っています。
ピントはまつ毛にバリバリきています。天井のライトのボケに注目しましょう。輪郭がはっきりしないようにボケているのがわかります。ライトのボケを中心から四隅に向かって見ていくと口径食の少なさに驚きます。また周辺光量不足がまったく感じられません。
アベっちがこれまでに見た35mmのレンズの中で最高!といってもいい描写です。使ってみると高価なのも納得できました。

ニコンシリーズは、今後のレンズ展開も大いに期待できる

レンズ設計をするには、マウント径が大きい方が後玉を大きくできるなど、自由度があります。大は小を兼ねる的な便利さです。ニコンのFマウントはマウント径44mm、これに対してニコンZマウントはマウント内径55mmです。長年、小さなマウント径でも高性能なレンズを設計してきたニコンの光学設計者たちは、Zマウントでは束縛から解き放たれたような設計ができるはずです。
ニコンZシリーズは、今後のレンズ展開も大いに期待できるのです。現場からは以上です。

画像3: www.nikon-image.com
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ニコン Z 7 主要スペック

●有効画素数:約4575万画素●撮像素子:35.9×23.9mmサイズ CMOSセンサー●常用ISO感度:ISO64~25600●連写性能(AF追 従):約9コマ/秒●EVF:0.5型 369万ドットQuad-VGA有機ELパネル●大きさ:W134×H100.5×D67.5mm●重さ:約675g

撮影・解説:阿部秀之

ヨーロッパの風景やスナップ、ポートレート、コマーシャルなど幅広いジャンルを撮影する。87年よりカメラグランプリ選考委員。

モデル:水穂まき

この記事は月刊カメラマン2018年10月号掲載時のものです。

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