みなさん、こんにちは。「アベッちの知らなきゃソンだぞー!」の時間です。今月は手ブレではなく、被写体ブレの話をしたいと思います。“えっ! 被写体ブレってな〜に?”という方、番組終了までお付き合いください。

歩く時の上下動と撮る側の上下動を合わせられると写し止められる

被写体ブレを打ち消すユニークな方法があるので紹介しましょう。手ブレ補正機能がレンズやセンサーを移動させてブレを打ち消すように、被写体ブレも被写体の動きに合わせてカメラを動かすと打ち消すことができます。

モデルが、こちらに向かって歩いて来るのを後ろに下がりながら撮影しています。人物が歩く時に上下する動きに撮る側が歩く上下の動きが合わせられないと大きくブレます。しかし、動きをピタリと合わせられると写し止めることができるのです。

秘技! 通常の速度で歩く人物と一緒に下がりながら撮影

▼動きが合っている

この写真のシャッター速度は1/30秒です。ちょっと自慢しますが、なかなかすごいでしょう。モデルさんと呼吸を合わせてスタートするとそれほど難しくありませんよ。

画像1: 秘技! 通常の速度で歩く人物と一緒に下がりながら撮影

▲呼吸を合わせてスタート。なんと1/30秒ながら上下の動きが合っているのでブレていない。みなさんもぜひ試してほしい。

▼動きが合っていない

画像2: 秘技! 通常の速度で歩く人物と一緒に下がりながら撮影

▲モデルが歩く時に上下する動きとカメラが上下する動きが合っていないから大きくブレている。

■共通撮影データ:絞りF1.8 1/30秒 ISO100

一瞬の激しい動きを写し止めるならば1/8000秒以上!

画像: 一瞬の激しい動きを写し止めるならば1/8000秒以上!

▲写真はメカニカルシャッターの最高速1/8000秒で撮影したもの。選手の表情、ボールの動き、水しぶき、すべてが写し止められている。

■ニコンD7500 AF-P NIKKOR 70-300 f/4.5-5.6E ED VR 絞りF9 1/8000秒 ISO1250

動きの速いスポーツシーンでは被写体ブレは顕著になります。写真は水球のキーパーがボールに手を伸ばしても届かなかったシーンですが、こういった撮影では1/8000秒以上でないと写し止めることができません。

メカニカル制御のシャッターでは、高級機で1/8000秒でしたが、いまでは電子シャッターのおかげでさらに高速な1/16000秒や1/32000秒も得られるようになり、動体を写し止めるのに役立っています。現場からは以上です。

撮影・解説:阿部秀之

ヨーロッパの風景やスナップ、ポートレート、コマーシャルなど幅広いジャンルを撮影する。87年よりカメラグランプリ選考委員。

モデル:水穂まき

この記事は月刊カメラマン2018年7月号に掲載時のものです。

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