デジタルカメラの動画撮影機能を使っていますか?「そう言えば購入してから一度も使ったことがないなぁ...」なんてモッタイない! 写真家、映像作家として活躍する上田晃司さんに動画の楽しさ、奥深さを教えてもらう連載企画です。この記事は月刊カメラマン誌に掲載されたものです。

応用編ポイント

・X-H1は動画でも10種類以上のフィルムシュミレーションが使用可能!
・「F-Log」により本格的なグレーディングも可能に!

まずはフィルムシミュレーション「ETERNA」を試してみよう!

富士フイルムの一つの魅力と言えば圧倒 的な色表現の豊かさだろう。富士フイルム の色作りが好みで X シリーズのカメラを選 択するプロも多い。その色に拘った X-H1 は動画でもフィルムシミュレーションモードが使用可能だ。動画撮影に使えるベーシックなフィルムシミュレーションモードは 10種類ある。P R O V I A ( プ ロ ビ ア )、Velvia(ベルビア)、ASTIA(アスティ ア)など有名なものから、新たに搭載され た映画用フィルムの色・階調を再現した 「ETERNA(エテルナ)」も搭載している。 ETERNA は落ち着いた発色に加え、豊かなシャドートーンが魅力のフィルムシミュレーションモードだ。実際に使用してみたが非常に使いやすい。

作例動画03 フィルムシミュレーションモードの比較など

▼動画モードで使用できるフィルムシミュレーションモー ドとF-Log、F-Log+グレーディングのサンプルを作ったので確認してほしい。色や色味、彩度など画作りが変わることで印象が大きく変化することが分かるはずだ。

画像: 月刊カメラマン2018年5月号「動画しましょう!」作例03 youtu.be

月刊カメラマン2018年5月号「動画しましょう!」作例03

youtu.be

そのままでも勿論使うことができるが、グレーディングとの相性もよい。調整しやすく、データ量も豊富なので作業効率がよい印象だ。筆者の場合、特別な理由がない限り、ETERNAを選択するだろう。

さらに本格的なグレーディングを考えている方はハイダイナミックレンジガンマカーブ「F-Log」も使用できる。広いダイナミックレンジを確保できる上、グレーディングの調整もしやすい。F-Log はそのまま使用することはなく LUT を使い、グレーディングをする必要がある。そのため、手間は 掛かってしまうことも覚えておこう。

また、F-Log に限らず Log での収録は感 覚で露出を決めてしまうと大失敗してしまうこともあるので、外部モニターなどを接続して波形を見ながら露出を決めるとよいだろう。F-Log は魅力的ではあるが、慣 れるまでは ETERNA など直感的に扱えるフィルムシミュレーションを使うと良いだろう。

次にダイナミックレンジ拡張機能について見てみたい。X-H1に限らず X シリーズのカメラにはダイナミック拡張が搭載されており、DR100% -400%まで拡張できる。DR400%で約 12 段相当のダイナミックレンジに相当する。

特にハイライト側のダイナミックレンジに粘りが出る印象だ。人物と風景で比較してみたので確認しみてほしい。綺麗で美しい色表現が可能なカメラなので X-H1 ユー ザーは、まず X-H1の動画機能の高いポテンシャルを知り、こだわりの動画制作をして頂きたい。

作例動画04 ダイナミックレンジ拡張の比較

▼ダイナミックレンジ拡張を使い比較した。モデルの背景を見てみると DR100%では白トビしているが、 DR400%になると白トビしていない。ダイナミックレンジを豊富に残すのであれば DR400%で撮影しよう。

画像: 月刊カメラマン2018年5月号「動画しましょう!」作例04 youtu.be

月刊カメラマン2018年5月号「動画しましょう!」作例04

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作例動画05 DR100%とDR200%の比較

▼朝の新宿方面を撮影。画面右側の空が少し明るいため、ダイナミックレンジを調整した。DR100%では明るいが、DR200%にするとディテールまでしっかりと写っていることが分かる。

画像: 月刊カメラマン2018年5月号「動画しましょう!」作例05 youtu.be

月刊カメラマン2018年5月号「動画しましょう!」作例05

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フィルムシミュレーション

▼新たに追加されたETERNA(エ テルナ)は豊かなシャドートーン と落ち着きのある発色が魅力の フィルムシミュレーションモード だ。グレーディングもしやすく、とても使いやすい。PROVIA(プ ロビア)ももちろん選択可能だ。

画像1: フィルムシミュレーション
画像2: フィルムシミュレーション

F-Log 撮影も可能

▼ダイナミックレンジ拡張はメニューの中で変更する。DR400 にするとISO800 に なるのでNDフィルターを用意するなどしてシャッタースピードを調整しよう。

画像: F-Log 撮影も可能

DR400に設定

▼ F-Log も選択可能。広いダイナミック レンジが魅力だが、必ずグレーディングが必要になるので手間が掛かってしまうことも覚えておこう。

画像: DR400に設定

撮影と解説は写真家・映像作家の上田晃司さん

画像: 米国サンフランシスコに留学し、写真と映像を学ぶ。現地滞在中からテレビ番組、 CM、ショートフィ ルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フォトグラファーとして活動開始。現在は雑誌、広告を中心に活動し、写真教室の講師や講演、書籍の執筆活動も精力的に行っている。現 在、ニコンカレッジ講師、パナソニックLUMIXフォトスクール講師、Profotoオフィシャルトレーナー、Hasselblad 2015アンバサダーを務める。

米国サンフランシスコに留学し、写真と映像を学ぶ。現地滞在中からテレビ番組、 CM、ショートフィ ルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フォトグラファーとして活動開始。現在は雑誌、広告を中心に活動し、写真教室の講師や講演、書籍の執筆活動も精力的に行っている。現 在、ニコンカレッジ講師、パナソニックLUMIXフォトスクール講師、Profotoオフィシャルトレーナー、Hasselblad 2015アンバサダーを務める。

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